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エッセイ集

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2020年11月の記事一覧

犬と共に歩けば

「兄弟のわんちゃん? よく似ているわね」 犬を二匹連れて散歩をしていると、老若男女問わずとにかく声をよくかけられる。 引きずられながら散歩している私を見て「二匹の散歩は大変だ」と、心配してくれるのはウオーキング中の年配の方が多い。 「そりで引っ張らせればいいねっか」 「アハハ~、犬ぞり楽しそうですね~」 グイグイ引っ張られ、会話もままならない。 振り返り振り返り、返事をする私。 犬ぞりとはまた「南極物語」みたいだな。 まだ雪は降ってないけどね。 「俺は声かけられる

無題

親兄弟、夫、そして私自身、大病するわけがないし死ぬなんて絶対にないと根拠のない自信が昔からあった。 家族に別れなんてあり得ない。 永久に家族でいられると思っていた。 父にがん見つかったと、母から電話で報告があった。 初期のがんで、薬物療法とホルモン注射で経過観察するとの事。 「髪が抜けるとか副作用はないから心配するなよ」 母の声は普段通り明るかった。 「副作用でおっぱいが大きくなるとか、勃たなくなるって言ってた(笑)」 あれ、お母さんって娘の私に下ネタ言う人だったっ

ヘビロテで大江千里さんの曲をかけてみた

「お母さん。俺、ヤバいわ」 若い人はピンチじゃない時も「ヤバい」と言うので、良い話なのか悪い話なのかちょっと戸惑う。 早く聞いてくれと言わんばかりにニヤニヤ笑っている息子、高校三年生。 「どうしたん?」 「俺さ、学校で無意識に大江千里の曲歌ってた」 ・・・・・・・・・・ 朝起きて私が最初にする事は、大江千里さんの曲をかける事だ。 LINE MUSICだったり、にわかに買い漁り始めたCDを、台所にあるスピーカーに繋いでエンドレスでかけている。 狭い我が家はリビングまで