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父が少し帰ってきてたようだった。 毎朝壁の肖像画に挨拶するとき、今朝はほんの少し声が聞こえたのだ。 父は喉の機能を無くして何十年も生きていたので、手元の装置で鳴らす振動音が父の声だった。なのにその晩年の声とは違う父の喋っていた頃の声がしたのだ。今思うに、懐かしい友達に会ったようで、ちょっぴり照れ臭かった。