ブルックリン物語 #11 言いだしかねて”Can't Get Started With You”
僕の暮らすアパートは築100年の物件で古い煉瓦造りである。
煙突があるけれど、暖炉はない。それがあったであろうと思われる場所は潰されて、そこには僕が毎日クッキングするキッチンがある。
ウッドデッキに出て我が家を見ると、外見だけ風格のある煙突がにょきっと屋根から突き出て残っているさまは、どこか寂しげに映るけれど嫌いじゃない。
ある日、管理人でありハンデイマン(技術屋)の一人、ホセがデッキの上にある天窓を開けて階下から出てきたかと思うと、とんとんかんかんなにやら工事を始めた