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和裁の楽しみ・ウール着尺でひっぱり2枚



和裁の醍醐味

今の日本で呉服、和服ジャンルがメジャーでないのは自明だと思う。SNSで見ていれば周り中きもの好きだらけのようだが実際のところ、リアルで日常きもの姿の人を見ることはほぼ皆無。エリアにもよるだろうが、きものはもや趣味の1ジャンル。

そんな状況で「なんで和裁?」なのだが。
「和裁」は私にとってとても「合理的」なものなのだ。
幅38センチ、長さ13メートル内外の反物を割り付け、仕立てる。
ほどいて繋げればまた反物に戻すことができる。
コートの衿など特殊なものを除けば、仕立て終わったあと半端な端切れがほとんど出ない。(この場合の半端は、洋裁などででてくるカーブしたり先が細くなったりして捨てるしかないのでは?と思わせる残り布のこと)和裁の残り布はだいたい四角く残る。残しておいて何か別のものに作り替えたり、
長さがあれば半衿や帯揚げとして使ったり、仕立て直しの時にも使うこともできる。

和裁のそういうところが好きなんだよなあ・・・と思うわけである。

(もちろん、小物作ったり、ヘタなりに洋服作りもするので洋裁の良さはまた別のところあると思っている)

師匠は大正生まれ

今は亡き和裁の師は、無駄なく仕立てることを気にかけておられたように思う。
「そつにするな」
「きりちゃちゃこにしない」
記憶に残る言葉の一部。和裁をされる方なら皆そうだと思うが、実際に縫い始めたらそこからは無心というか
あまりあれこれと考えることは無い。
一番最初の「つもる」段階が一番神経を使うし、疲れる。ハサミを入れる前、どれだけそつがなく割りふれるか、
無駄にハサミを入れないよう、ささやかな脳みそをフル回転させるのである。

1反で2枚

閑話休題。和裁についてそんなに語れる立場でもないのだけれど、書き出したらとまらなくなってしまって。

ウール着尺で2枚のひっぱり。
「ひっぱり」・・・うわっぱり、ホームコート、作務衣、水屋着などということも。素材はウール、綿、化繊などなんでもok。絹でも素敵だけれど「洗える」方が使い勝手はよさそう。
形も色々、衽(立襟)つけてゆったり作るも良し、袖口にゴム入れて割烹着代わりにも。両脇にスリットを付けると動きやすくなるし、きものの上に着るだけでなく、部屋着としてカーディガン、エプロン代わりに1枚あると
冬場は暖かくて良き。

私が必須だと思うのは肩滑り(肩当て)。これは滑りの良い生地推奨。着脱のストレスがなくなる。
それからポケット。

今回のウール着尺、決して長さは無い。どうとるか考える。
柄合わせ、配置を考えなくてよいので、長さが足りるかどうかだけにフォーカス。

必要な部分は
【身頃(前後)×2、袖×2、えり】×2+ひも(紐飾りも取れたら)+ポケット

袖は舟底型。短い袖なので用尺の節約になる。
身頃の丈と衿の丈はリンクするので釣り合いが取れて最大取れる長さを探っていく。
たっぷり生地があればあれこれ悩まなくてよいのだが。
こうやってあれこれ考えてパシッと決まると達成感が半端ないのだ。

足りない部分はどうしても出てくる。
そこは別生地を継ぐ。今回は100均の手ぬぐいとさらし。
衿裏とポケットの中に使う。こういうところでも気に入った柄のものを使えば気分があがる。
100均の手ぬぐいは意外に重宝する。

自分で仕立てるとこういうふうに無駄なく使い切ることができるのが嬉しいところ。お客様のお仕立てだとこんな風に継ぐのはちょっと難しい。(お好みもあるので)

和裁って型にはまったいもののようだけれど案外工夫の余地がある。
毎回必ず同じパターンではない。
難しいけれど奥が深い。
やりがいを感じる一時。


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