佐藤心の一点から解釈したTake me☆Take you
はじめに
これは、大学生活4年間でじっくりとアイドルマスターに、佐藤心さんに向き合った私が、卒業論文として、佐藤心の一点のみからこの曲を見据えて執筆をしたものになります。
ほかの歌唱アイドルのことが好きなプロデューサーさんからしたら、そこは違うよ~とかうちのアイドルのものだよ~とかあるかもしれません。
不快になったら閉じてください。
考察内容
1番
人の波というのは基本的に乗るものでありますが、ここではスルリと通りぬけている。
つまり、人生の波において、いわゆる一般的な人生の波に乗らずに、アイドルの道を進んできた佐藤心さんを表しています。
佐藤心さんは26歳という年齢まで、アイドルの夢を追い続けてきました。その過程で自分より若い様々なアイドルのデビューを見てきたことでしょう。
目的地(アイドル)への到着が人より遅くなってしまった彼女の遠回りの道。
でも遠回りでも彼女は目的地へ到達しました。そして、アイドルになって満足。夢を達成!おしまい!ではありません。
お仕事、メジャーデビュー、テレビ出演、ソロCDリリース、そしてトップアイドルへ、彼女はアイドルになっても歩みを止めず、新たな目標へと走っていきます。
時間の大事さ、有限性は彼女自身が身をもって体感しているので、彼女は進み続けるのです。
わかりきった進路=一般的な人生の波、アイドルとしてのテンプレート
彼女は何が起こるかわからない、崖っぷちだけど、それでもやりたかったアイドルをやれていることに心から楽しんでいる。
アイドルとしてもいつもの動きだけじゃない、ただのレッスン⇒仕事みたいなローテーションでなく、輝き続けるために、彼女自身がアイドルの人生を楽しむために、自分から動いて、枠からはみ出して、アイドルの人生をより良く、アイドル『しゅがーはぁと』をより良くしていくのです。
夢を叶えられてそれでもなお、新たな夢に向かって突っ走る佐藤心さんは誰も止めることが出来ません。
そして、アイドルを心から楽しむ彼女だからこそ笑顔があふれていますが、これは本人だけでなく、楽しむ彼女を見て、周りの人たちも笑顔があふれているのではないかと思います。
特に彼女の夢をずっと応援してくれた両親と妹のよっちゃんが笑顔になってくれてればいいなと思います。
これはまさにこちらですね。
プロデューサーとなら、「トップアイドル」にたどり着けると、彼女は信じているから、期待してろよ、と宣言しています。
主語について、P take meと考えるとプロデューサーが自分をアイドルの場に連れて行ってくれた、という文脈となります。また、I take meと考えると、「佐藤心(のこれまでの努力やアイドルへの思い)がアイドルしゅがーはぁとをアイドルの舞台へ連れて行った」と読むこともできます。
お好みで。
そして、彼女のアイドルという今までつかめるかどうか危うかった夢は、覚めない夢となり、彼女のアイドル人生はまさにスタートを切ったのでした。
2番
これは、
実は佐藤心さんはダンスが苦手(年齢的にも…?)という初期設定がありました。でも、歌詞の通りですね。彼女にとってアイドルという夢はダンスが苦手だからやっぱやーめたとできるような夢ではないのです。ずっとずっとアイドルになりたかったんです。そして、
これです。
彼女にとって、もう「ダンスはヨユー」です。そして、それは彼女にとって彼女が努力したから!ではなく、「アイドルだから」なのです。
また、デレステのコミュ「躍るFLAGSHIP」では、恋愛曲を歌うことの表現方法に非常に苦戦をし、結論を得た彼女が、「Next Chapter」では、同様に悩むライラさんを優しく導く立場となりました。
これは、
このセリフに表れていると思います。スタミナが全回復したんだろ?なら、もっといろんなことできるよね☆キラキラしたいの☆
と言わんばかり。彼女にとって何かをするのに必要なスタミナ⇒可能性の塊⇒スウィーティーなのかな?なんて思ったりもします。
アイドルにとってのわかりやすい限界、もう何が言いたいかわかると思います。
そう、「年齢」です。
女性アイドルでは実際に25歳で限界を感じ卒業された方[2]や、25歳での卒業がほとんどとなっているアイドルプロジェクトもある[3]ようで、2020年の日本経済新聞によると[4]、卒業平均年齢は21.7歳である。
これらの数値からも、26でアイドルデビューという佐藤心さんがいかに遅咲きであるかわかると思います。
しかし、
そんな限界は誰が決めたのか
そんな限界は本当にあるのか
そんなものはいらない、そんなもの飛び越えて彼女は輝き続けます。
理屈で作られた誰が決めたかもわからない限界なんか、彼女は行動で打ち破ってみせるのです。
彼女とプロデューサーの出会い方をみなさんはご存じでしょうか。
彼女は、ドラマのエキストラとしてすごく目立って(悪目立ちして)現場から放り出されたところに、たまたまプロデューサーが通りかかり、名刺を渡したことがきっかけとなります。
つまりめちゃめちゃ運が良かったということになりますね。
こちらはこれまでに述べた、『ダンス』、『恋愛への向き合い』、『年齢の壁』などを越えられる彼女について考えさせられます。
この曲を歌った時にはまだぶつかってなかった壁も、彼女は宣言通り乗り越えてみせてくれました。
そして、これからも壁にぶつかっても、彼女は絶対に諦めずに乗り越えてみせてくれることを、ここまで読んでくれた方なら感じられると思います。
また、「目を逸らすな」という言葉は佐藤心さんがよくプロデューサーやファンに向けて言う言葉であります。
「目を離す」は気持ちが他の方へ向く、というニュアンスを感じる一方で、「目を逸らす」は見ることへの逃避的なニュアンスを感じます。これは自身のアイドル像が「イタい」とわかっているからこそ、目を逸らされるようなものという自覚が本人の中であるからこそ出る言葉です。
一番と同じく、youについて二つの視点で見ます。
you→Pのとき
佐藤心さんが「トップアイドルのプロデューサー」の立ち位置までプロデューサーを連れて行ってくれる、と考えることが出来ます。
また、you→佐藤心のとき
アイドル『しゅがーはぁと』が、トップアイドルの夢に憧れ続けた佐藤心を、トップアイドルの場へ連れていくと捉えることもできます。
どちらの解釈も好きなので、並列して書いています。
現実的に見る夢(目標)がアイドル活動の持続からトップアイドルになり、彼女が長らく自称してきた「崖っぷちアイドル」を自身で否定しています。
トップアイドルという夢が果てしない夢であると共に、彼女はトップアイドルという夢を叶えた後もまた新たな目標と共に努力し続けるのでしょう。
そういった意味で「果てない夢」はまだまだこれからというわけです。
Cメロ~ラスサビ
佐藤心さんは、なんと小学生くらい?の頃から自身を「はぁと」と名乗っています。また、アイドルを熱心に目指すあまり、恋愛をしたことがないとも言及されています。
これより、佐藤心さんが、かなり幼い頃からアイドル『しゅがーはぁと』を目指していたことが伝わるのではないでしょうか。そして、シンデレラガールズの中でも年齢が高めの彼女が、「信じて歩んできた軌跡」。これがどれだけ長いものか、想像できるかと思います。
そして、その裏付けが、彼女に自信を持たせてくれるものになります。
迷った過程も、彼女にとっては今の自分を補強するファクターとなります。
イベント「ダンシング・デッド」では、『しゅがーはぁと』を見せることにこだわる彼女だからこそ、これまでと違う姿を見せることに対して抵抗がありましたが、変化は過去の否定でなく、過去があるからこそ新たな姿も見せられることに気付きます。
また、[愛されクイーン・はぁと]佐藤心では、「後がない人との仕事はできない」「年相応の振る舞いをしろ」など、彼女のコンプレックスであることを理由に仕事を断られてしまっている、まさに「躓きそう、迷いそう」な事態であり、担当Pとしては非常にハラハラする状態であります。
しかし、彼女が歩んできた軌跡において、もうそれらは乗り越えたものであるのです。
私のとても好きなセリフです。トップアイドルという夢にたどり着くために、前に進む彼女は誰も止めることができません。
また、ここでの「思い描いた景色」というものは、より具体的な「トップアイドルとしてステージに立ち、たくさんのファンとペンライトに囲まれている景色」であると想像しています。
これまで、歌詞では「夢」という単語が多く使われていましたが、ここで「景色」という単語を用いることによって、まさに夢を達成してステージに立つ彼女を想起することができると共に、「目を離さないで/逸らさないで」と、プロデューサーやファンの視線をずっと釘付けにしてきた彼女が、対象を初めて他のものへ移しています。
このようなことから、その景色をどれだけ見たいか、そして見せたいか、の強い思いが伝わってくるのではないでしょうか。
こちらについては、1番と同様のため省略。
違う点である「Take me☆Take you」の歌詞についても、それぞれが相互に関与することによって、アイドルも、プロデューサーも、アイドルを応援するファンも、夢の目的地へ連れて行ってくれていることがこれまでの文章からわかるのではないかと思います。
トップアイドルを目指すあなたの夢は、あなたをトップアイドルにする私の夢は、まだまだ始まったばかりです!
まとめ
もっとも好きな曲について自身の考察内容をまとめることができて非常に良かったです。
特にCメロの歌詞について、[愛されクイーン・はぁと]がまさにそれを体現しているカードとなっており、佐藤心としゅがーはぁとの集大成のようなカードであるなと思っています。サ終前に成長がまとまってくれてよかったです。
この曲でシンデレラガールになった島村卯月さんとは、少し似ているところがあるため、このようにほぼ全ての歌詞を佐藤心さんの視点で見ることが出来たと考えています。いつか、佐藤心さんのために作られたシンデレラガールの曲を……。
Take me☆Take youの佐藤心ソロ・リミックスは発売済みではありますが、ライブ会場限定CDであるので、入手タイミングがかなり限られています。(なにかのイベントで過去の会場限定CDが発売されることもあります)
私は卒業しますが、もし、弊大学の弊サークルに入られた方で、音源が欲しい方はいつでも貸しますので、ご一報ください。
謝辞
まず、私にアイドルマスターのあり方を示し、プロデュースする背中を見せてくれ、時に議論し考えを深め合い、時にイベランに付き合ってくれた同期のK君に感謝申し上げます。
また、サークルの歓迎会において、楽しくデレマスの話をしてくれ、以降も年齢の壁を感じさせず、明るく楽しそうにお話をしてくれた、K先輩に感謝いたします。
お二方のおかげで、楽しく熱心にアイドルマスターシンデレラガールズを深めることができました。
また、あまり多く機会があったわけではありませんが、後輩のみなさんと、それぞれの考え方について意見を交わすことは、とても新鮮で、たくさんの視点を得ることが出来ました。ありがとうございます。
最後に、サークル運営に携わってくれたみなさま、みなさまのおかげで充実したサークル生活を送ることが出来ました。本当にありがとうございました。
2024.03.30 なごみ
参考文献
[1] "Take me☆Take you", Uta-Net, 2016.11.16
https://www.uta-net.com/song/218810/
[2] 大貫 真之介, "元アイドリング!!!遠藤舞の告白「25歳がアイドルの限界だった」", 文春オンライン, 2018.11.25
https://bunshun.jp/articles/-/9787
[3] 大宮 高史, "ハロプロ「25歳定年説」ついに破られる ファンに囁かれ10年以上...卒業年齢は「二極化」か", J-CASTニュース, 2021.07.04
https://www.j-cast.com/2021/07/04415263.html?p=all
[4] カネコシュウヘイ, "女子アイドルのグループ卒業 21歳が決断の分かれ目", 日本経済新聞, 2020.04.20
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57987700T10C20A4000000/
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