業界地図63 縦糸と横糸
最近本屋の店主をしている方の本を読んだのですが、その本によると縦の糸と横の糸があるという事です。
縦の糸は「時代が変わっても普遍的な内容」
横の糸は「時代と共に変わる内容」
その方は今の本屋は横の糸ばかり並べていて、縦の糸はほとんどない、と書いてありました。
確かに時代に合わせた内容の本が並んではいると思う反面、縦の糸の哲学的な内容って実はあまりページにならないんじゃないかと思いました。確かに本質的に時代がいくら変わっても変わらないものってあるんだと思うけど、その内容は「利他とか、損とか、お金を追わないとか、優しさとか」
そんなエンターテイメント性が排除された本ばかり売っていたら間違いなく本屋としては潰れてしまうし、世の中面白くない。哲学的な本も大切だけど笑ってしまう様な本や、くだらない本や、小説も面白い。時代と共に変わる本も素晴らしいと思う。
前置きは以上で縦糸と横糸を美容業界に置き換えた時、
縦糸は基礎的な技術。
横糸は時代と共に変わるトレンドや新しい薬剤の使用など。
縦糸の基礎的な技術って結構奥が深くて、例えば真っ直ぐに切る、なんて基礎中の基礎が中々難しい。ウィッグならまだしも人の髪を左右対象のワンレンに切るのは難しい。肩も邪魔だし、鋏を利き腕だけで切らなくてはいけないし、そもそもはえぐせすらある。
横糸は時代と共に変わるもの。
トレンドの髪型だったり、新しい薬剤だったり。最近だとトステアって成分が注目されてるみたいだけどこれは間違いなく横糸。
トステアだってレブリン酸だってもう民主化されていて何処でも導入し始めているので差別化には全くならない。
横糸は沢山の細い糸が無限にあって、これはこれで大切なんだけど、縦糸が少ない中で横糸をいくら編んでもほつれた薄っぺらい技術になりそう。
そう考えると先ずは縦糸を細くてもいいから作って、横糸を編みながら縦糸を太くする。っていうのが良いのかと思う。縦糸ってたぶん10本位しかなくて細い人から太い人まで様々。
時代の流れを追うのは正解で別に間違っていないんだけど、追いすぎるがらあまり縦糸がドンドン細くなり短命美容師になってしまう。
だから縦糸(人間的な魅力も含めて)を太く太くしている事が必要になると思います。
信用して頂ける技術と人間性の縦糸。
そんな僕はマルバツゲームの様に縦糸も横糸も細い2本づつしかないので終わっているのですが・・・。