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ナゴマの「大学受験」観

半有料記事マガジン「ナゴマの部屋」の2番目の記事です。
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ある程度仲の良い方ならご存知の通り、僕は京都大学理学部の学生なんですが、noteやTwitterのプロフィール欄とかにはあまり所属について書いていません。
まあ京大のサークルであるENIG-ROID代表とかは堂々と書いてるので、詳しい人には分かると思うんですけど。

「ナゴマ」はあくまで謎解きを中心としたものを作るクリエイターであり、その方面で気の合う仲間を探すためのコミュニケーションツールなので、中の人のパーソナリティ自体を自己紹介の段階でアピールする必要性はないと判断してそうしています。
京大生であるというだけで良い方にも悪い方にも偏見を持たれがちですし。
別に徹底的に隠している訳でも何でもないので、普通に話題は出すんですけど。

そういうこともあって、大学受験についての話を直接発信するということはあんまりしていませんでした。
日常ツイートの一部として話すぐらいのことはあったけど、受験のことについてブログとかでテキストにまとめたりすることはほとんどなかったはず。

ですが、ここまでの僕の20年の人生の中で、大学受験というものが相当大きなウェイトを占めていたことは紛れもない事実であり、そのことを忘れて生きていくことはできません。
一方で、大学受験自体はもう終わってしまった過去の話であり、これから社会を交流を持っていくうえで重要性はどんどん薄くなっていきます。
(教員や塾講師にでもならない限り)思い出ではない形で大学受験の話を発信できる時期がそろそろ終わってしまうような気がする。

と言う訳で、この辺りで一度受験についての話を全て文章にしてみようと思います。
何故この進路を選んだのか。
どんな気持ちで受験に臨んでいたのか。

大学受験が人生を100%決めるものだとは全く思っていませんが、そこで下した決断や挑んだ態度というものは自分の人生のベースになるもののひとつだと思いますし、またその時に発生したアレコレが現在の自分に大きな影響を与えているのは紛れもない事実なので、まだ記憶が確かなうちにそれをまとめておきたいという気持ちがあります。
書く目的が僕の側にある記事ですが、もしかしたらこれから受験を迎える人の参考になるかもしれないし、同じように受験を経験した人との意見交換で何か新しいことに気付けるかもしれない、あるいは単にこういう話が好きな人が居るかもしれないと思ってnoteに投稿する形にしました。

志望校の決め方

まず、なぜ京大を受験することに決めたのか・いつ志望校を確定したのかということについてです。

当時の「大学」に対するイメージ

理由は色々ありますが、その中でも一番大きいのは、高校生の時点で僕の中に既に「大学=京都大学」のイメージができていたことだと思っています。
小学生の時分から京都大学で開催されていたワークショップに参加したりしていましたし、高校1年生の時にはELCASという高大連携プログラムで京大の研究室(桂の方)に月2回通っていたこともありました。

また、小学校高学年~中学生あたりの時期に山中伸弥先生がiPS細胞の研究でノーベル賞を受賞したことが話題になりました。
当時から自然科学が好きだった僕は、このニュースにかなり影響を受けていたと思います。
CiRAの見学に行ったこともあったな……

そんなわけで何かと京都大学に足を運ぶ機会が多く、大学というもののイメージを京都大学で養ったため、自ずと「京都大学に行くんだろう」という意識が形成されていたんだと思います。

でも結局は消去法?

とはいえ、「京都大学に憧れて進学した」のかというとそういう訳ではないと思います。
志望校を決める際、特定の研究をやりたいから志望したとか、学風が好きだから進路を決めたとか、そういう感覚は一切ありませんでした。
「自由」って言葉嫌いだし
大学入学がゴールだ、みたいなことは全く思っておらず、どちらというと今後の人生において役立つツールや経験(あと資格)を得ることが目的で大学進学を決めているため、強烈に「この大学に行きたい、行かなければならない」という感情があったわけではないということです。

ですので、結局志望大学の決定は消去法によるものだったのかな、と思います。
消去法で進路を決めた、というと何だかネガティブに聞こえてしまいますが、高校卒業時点でまだ将来の夢が漠然としていた以上、進路・専門を積極的に選びひとつに定めることは不可能でした。
得られた情報や進学後にとれる選択肢の数、あとは自分の欲求なんかと相談しながらベターな進路を探すという方針で、その過程で他の選択肢が消えていった……という感じですね。

何で○○じゃないの?

ということで、どういう理由で選択肢を狭めていったのかを少しまとめます。
よく「何で京大に行ったの?」と聞かれるんですが、この質問は多くの場合なんで「○○ではなくて京大に行ったの?」という意味合いです。
ですので、「○○を選ばなかった」理由について個別で説明していきます。

・「何で就職するんじゃなくて京大に行ったの?」

今時大学を卒業しとかないと社会ではやっていけないし、高卒で働くなんて……みたいなことを言う人いますが、僕はこの言説自体には反対する立場をとります。
学問はやりたくないけど就職するために大学に行く、という考え方が好きではないので、大卒がスタートラインといった風潮には否定的です。

そういう思想を持っていながら大学進学を選択したのは、大学の世界を見ておかないと進路を定められないと純粋に感じたからです。
学問が好きなのでアカデミックな方面に進みたいという気持ちも少し持っており、そういう進路を視野に入れるためには大学進学は必須でした。
僕の得意な分野を生かすなら大学へ行くべきだよね、という感じ。

・「何で近場の大学じゃなくて京大みたいな上位の大学へ行ったの?」

大卒資格自体はどこでも得られるのに、なぜ(塾に通うなどのコストをかけてまで)難関大学に入学したんだ、という質問です。

この質問を聞いて真っ先に思いつくのが「レベルの高い化学の勉強・研究をしたかったから」という解答ですが、これは正確な解答ではありません。
勉強をしたいだけなら教科書を自分で買って学べば良いですし、研究をするのは主に大学院以降の話なので、大学選択の直接的な理由として勉強内容や研究を挙げるのは相応しくないでしょう。

一番適切な解答は「良い環境を得たかったから」というものになるかと思います。
上位の大学を目指せば自ずと優秀な人が周囲に集まって来る。
今現在の大学での友人(ほとんど高校同期ですが……)は皆化学・物理方面での知識・技能に秀でていて、そこから学ぶことも多くありますし、困った時の助けになることも多々あります。
大学での講義の内容自体はどこの大学でも同じはず(というか自然科学分野の講義の内容が大学によって食い違ってたら困る)ですし、優秀な研究実績を残している先生が優秀な教師であるという訳でもないので、「良い大学に行ったからいい講義を受けられる」ということでは全くありません。
ですが、アカデミアの最前線にいる先生方の雑談やディスカッションから得られるものはたくさんありますし、そこから人同士の繋がりが生まれていくことを考えると、やはり価値のある環境だとは思います。
学業を目的としている以上、学びをやりやすい環境を得ることは進路選択の上でのかなり重要な要因となり、結局それが「上位」と呼ばれる大学を目指す最大の原動力になります。

レベルの高い大学を無理してでも目指す風潮は「学歴偏重」だと批判されることもよくありますが、実際にそのような進路を目指す人の大半はこのような環境を求めて積極的に進学しようとしているのだと思いますし、そのような態度は尊重されるべきだと思っています。

・「何で東大とか東工大じゃなくて京大に行ったの?」

一番多いタイプの質問です。
高校時代の僕は、東大理III以外の日本の理系の大学には全部合格できる程度の実力(入学試験という基準の下での相対的な実力)を持っていたはずなので、東京大学や東京工業大学に進学する選択肢もありました。
特に僕の進みたかった化学分野においては東京大学が高い実績を誇っていたので、そこに進みたいという気持ちも持っていたはずです。

それでも京都大学を選択したのは、関東に住みたくなかったからです。
生まれも育ちも関西なので東京は未知の世界でしたし、関西に対する愛郷心のようなものも若干あったので、できれば近畿圏内での進学をしたいと思っていました。
「下北に住みたい」とか言うことはたまにありますが、それは世の不都合を全部無視したユートピアを仮定したうえでの欲望なので、実際に生活する土地を選択する場面とはまた異なります。

「○○に住みたくない」といった個人的な欲求で学業進路を決めるというのは少し幼稚な判断に思えるかもしれません。
ですが、大学で学問を修めたりその他の活動を広げたりするためには、何といってもまず安定した生活基盤を作ることが重要です。
土地への馴染みやすさ、周囲の人の雰囲気、帰省のしやすさ、経済的負担……など様々な要素を加味して考えた結果、「(関東地域の大学に進みたい気持ち) - (関西地域の大学に進みたい気持ち)<(関東の大学に通うための心理的・経済的負担)」という図式が出来上がったので、関西の大学へ進学するのが最適解だという結論に達したのだと思います。

とはいえ実際に関東に住んだことがあるわけじゃないので、これはあくまで食わず嫌いです。
いざ行ってみると意外と良いことに気付くかもしれないが、その時はその時。
まあ選択なんてそんなもん。

・「何で阪大や神大じゃなくて京大に行ったの?」

先ほど関西圏での進学をしたいという結論に至った話をしましたが、関西圏の(いわゆる上位の)大学は別に京都大学だけではありません。
大阪大学や神戸大学も存在しますし、そういった大学に進学した同級生も多いです。
世間一般的には「関西圏のトップは京大、次点が……」みたいなイメージかと思われますが、それはあくまでも入試の難度などの表層的な情報で判断した値に過ぎず、研究力や教育力と言った様々な観点を反映させた序列ではありません。
1つの大学の中にも色々な講義・教室・教員・研究室が存在しますし、入試が難しい大学に行ったからといって必ずいい就職先が手に入るわけではないですし。

それでも京大を選んだのは、結局先ほどの項目で触れた「大学=京都大学」のイメージによるものだと思います。
僕の実家の近所に大学があるわけではないので、どの大学に行くにしても電車通学か下宿になり、それなりのコストがかかります。
どこに行ってもそうなのであれば、一番馴染みのあった京都大学にしよう……となるのは自然な流れなのではないでしょうか。

・謎解き……?

今現在の僕は「京大で謎解きをやってる人」なので、ここまでの話で一切謎解きやサークルの要素が出でいないことを不審に思っている人が居るかもしれない。
なので一応の補足をば……

僕は高校時代からTwitterで謎解きをやっていますが、「謎解きイベント」という存在にちゃんと向き合ったのは大学入学以降です。
入学した時点ではENIG-ROIDやハードナッツの存在はふんわりとしか認識していませんでした(というかほとんど知らなかった)。
ENIG-ROIDに入ったのは、当時のTwitterでのFFさん(現在の先輩)に入学後に勧誘されたことと、サークル大百科(新入生向けに配られるサークル一覧みたいな冊子)で見つけたことが理由です。
ですので、志望大学の確定に謎解きやサークルの話は一切絡んできません。

以下は、学部の決め方と入試そのものの話です。

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