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ゆったり時間と古き街並みを楽しむ島「出羽島」へ ー ふらり徳島旅 牟岐町編 ー
ドドドド
ゴーオーーっ
エンジン始動とともに、船が目を覚ます。
停泊中、シーンとした船内に遠慮して、会話を控えていた乗客たちが、エンジン音とともに会話を始める。
ザァー
波を起こしながら、ゆったりと船が向きを変える。
外洋に向けて、出発だ!
◇◇
島へ。
徳島県南岸、太平洋沖。
黒潮たゆたう海、少し南国を感じる水面。
船の窓から、すこしうねりをもった波を眺める。今日は、天気がごきげんななめなのだ。雨が降りませんように、
そして、
帰りの船が、欠航になりませんように・・
牟岐港から、連絡船で15分。目的地である出羽島に到着。「でわじま」ではなく「てばじま」である。
手羽島でもなく、出羽島なのだ。
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周囲4km、人口60人が暮らす島。
カツオの遠洋漁業で、栄えた島。
かつては、千人を超える人々が暮らしていた。伝統的な漁村集落の街並みは、重要伝統的建築群保存地区(重伝建)に指定されている。
本日は、この島をふらり散歩。
かつての暮らしに、想いを馳せる散歩をしてみよう。
◇◇
なぐツーポイント
はーい、という事で、
本日のなぐなぐツーリスト(なぐツー)は、出羽島からお送りしまーす。
まずは、出羽島へのアクセスなど、私が迷った点をお伝えしておこう。
牟岐港へのアクセス
道が狭く、港も分かりづらいが、ナビを信じよう。
港は、道からビル1階分くらい(5メートルくらい)低い位置にあるため、近づかないと気付きません。
駐車場
港の真横にある駐車場(舗装)と、200メートルほど離れた場所に第二駐車場(未舗装)がある。
真横は、サーファー御用達。サーフボードを積んだ大きめの車が多い。駐車が苦手な方は、離れた第二に停めよう。
ただ、第二駐車場もわかりづらい・・港に向かう南北の道沿いにあるので、空き地があったら駐車場かも?と注意してみよう。
待合室と運賃
真横駐車場下に、トイレと待合室あります。
船賃は、乗船中海上で支払う方式です。小銭を用意しておこう。
大人料金:220円(繁忙期230円)
あっ、マップ(散策絵地図)が、船の中に置いてあります。これがあれば、迷うことなし!
今回は、連絡船の都合で、滞在時間は1時間半であった。が、島をじっくり回るなら3時間くらいは欲しいところ。
◇◇
さぁ、島を散策しよう。
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船を降りてすぐ出会う風景は、診療所(赤屋根)と出羽神社。
ドクターコトーの世界。
ミセ造り
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この島の特徴がこれ(ミセ造り)である。蔀帳(ぶちょう、しとみど)とも呼ばれる。
軒の連なる民家
左手前にちらりと見えるベンチ部分が、ミセ造りになっている。
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ところで、ミセ造りって何?
説明しよう!
雨戸が引き戸ではなく、開き戸になっているのだ。しかも、左右への開き戸ではなく、上下への開き。
そして、開いた下部がベンチに、上部分がひさしになるのだ。座って漁具の手入れをしたり、縁側として夕涼みするなど、社交の場としても活用されている。
「あんた、ちっと聞いてよ~」
「うちの息子がね~」
なんて会話を、オバサマたちが、漁網の繕いをしながら、繰り広げる。そんな、風情が浮かんできますよね。
蔀帳(ミセ造り)の起源は、平安時代の寝殿造り。
室町時代以降に、近畿四国地方を中心に広がったようだ。が、まとまって残っているのは、この地域のみ。(なぐなぐ調べ)
ぜひ、来てみて!
◇◇
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サーフィン
関西圏の方ならご存知。徳島県南部は、サーフィンのメッカ。牟岐港の駐車場には、神戸や京都ナンバーの車が、多く停まっていた。
島の東側堤防を歩いていると
サーファーみっけ
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私のカメラに緊張したのか、気合十分だったが、波に乗れず・・たゆたうのみのサーファー
堤防から戻り、再び街並みを観ながら歩いていると
ニックさんに話しかけられた。
「ビーチコーミング、おススメだよ。
綺麗なガラス玉が、見つかるんだ。」
世界中どこでも、島の人は、気さく
私が、島に吸い寄せられる理由のひとつだ。
ところで、ニックさんって誰?
出羽島と神戸の二重生活をしていると話してくれた。先週と今週は、出羽島にいるんだ。と、
ネコ車
狭い島なので、自動車は無い。移動は、徒歩もしくは自転車。そして、運搬道具は、通称「ネコ車」と呼ばれる台車が活躍する。
世の中的には、一輪車タイプの「ネコさん」が多いが、この島の標準は、四輪タイプ。
年季の入った、老齢ネコ
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たらいを運ぶ、細マッチョネコ
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大型のネコと、クロネコ!!
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ここは、港の待合所。ここには、共同利用できる「ネコ車」が集合していた。散策後、帰りの船を待っていると、再びニックさんが現れた。ネコ車を返しに来たのだ。島暮らしは、共同生活なのだ。
最初に、島の人口60名と紹介したが、10年ほど前の記録では90名と書いてある記事を見つけた。10年で3割減。
いつまでも残って欲しい風景。
人口急減の、厳しい現実。
オイラに出来ることはないか、自問する。
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また来よう。
そして次は、もう少しじっくり巡ろう。
泊りもイイな。
潮騒を聴きながら、ビール片手に星を眺める。
こんな、夢を描きながら、島をあとにしたのだ。
(つづく…)
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