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海の京都 電車とバスの大人旅 ー丹鉄宮舞線 知覧と舞鶴と引揚ー
本日も京都府の北側、海の京都よりお送りします。
今回の旅のテーマは、
・京都には、海もあるんだぜ
・パーク&ライドで、電車・バス・船を楽しんじゃおう
・負の歴史に学ぼう
でしたね。
はい、今日も宿に車をおいて出発するよ。
珍しく、お宿を紹介しよう。
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すだれの似合う宿、茶六本館
風情があるだけなく、生花が洗面台や廊下脇などに生けてあったり、意匠を凝らした建築、本物が分かる大人に泊って欲しい宿だ。
そんなことを言いながらも、そもそも自分は、宿にふさわしい人間なのだろうか、そんなことを考えながら朝食、
やさしい味のまぜご飯、はまぐりのお吸い物、冷製茶わん蒸し、湯豆腐、絶品鯵干物、お浸し・・ ゆったりと時が流れる。
妻と私、ふたりだけの、静かな朝ごはん
◇◇
本日は、電車とバスを乗り継いで、船にも乗ります。そして、忘れちゃぁいけない、戦争についても考えたいと思います。
8時53分発
宮津駅発
本日利用するのは、京都丹後鉄道、略して ”丹鉄”
宮津から西舞鶴までを結ぶ、丹鉄宮舞線を満喫しよう。
ちょうど、お食事つき観光列車「くろまつ」が入線してきた。
本日は、眺めるのみ
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いつかは乗りたい、くろまつ。
そして、乗るならこの企画!
9/30(土)の空席あり(9/18現在)、いそげ!
9時29分着
くろまつを横目に見おくり、我々は西舞鶴駅へ到着
ここで、西村京太郎たーいむ!
電車の時間があわない
西舞鶴から東舞鶴だけJRに乗る必要がある。が、嫌がらせのように、乗り継ぎが悪い。
9時55分発
JRの嫌がらせに救世主、京都交通バス
東西循環線右回りに乗り込む
海軍
もとい、海上自衛隊の練習生だろうか、セーラー姿の若者もバスに乗り込んできた。要衝に来た緊張感。
10時13分着
東舞鶴駅手前の、市役所前で下車、港へダッシュ!
これに会いに来たのだ。これなーんだ?
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答えは!
掃海艇でーす!
そうかい
11時発
海軍ゆかりの港って、喧伝しているから海上自衛隊の事を海軍って、言い間違えちゃうじゃない
毎時00分に、遊覧船が出航するのだ。これに合わせてダッシュしたのだ。なんとか滑り込みセーフ。
ここで、旅のヒント
遊覧船は、予約も可能
少し早めに並んで、ベストポジションに座ろう。
おススメは、右側端の席
掃海艇以外にも、運が良ければ、イージス艦をはじめとする護衛艦や、ヘリ(SH-60J)にも出会えます。
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そうかいそうかい
掃海艇という船の存在は、知っていた。が、そんなに重要だとは認識していなかった。
海の地雷(機雷)を、お掃除するのが、掃海艇。周りを海に囲まれた日本、機雷をバラまかれると、物流が停まるのだ。
また、機雷の多くは、金属に反応して爆発する磁気機雷。だから、掃海艇の多くはいまだに木造なのだ(びっくり!)
運よくイージス艦にも逢えた。遊覧船ガイドでもある自衛官の説明を受け、海で出会ってもイージス艦の判別ができるようになった。
役に立たない知識、ワースト3に入りそうな知識だな・・ぽつりと呟く
遊覧船を降りる。
てくてく
港から東舞鶴駅まで歩く。
駅近くのバス停で、またまたバスを待つ。次なる目的地は・・
遅くなりましたが、ここでもう一つ
旅のヒント
舞鶴かまぼこ手形 を買おう
かまぼこ手形があれば、
京都交通バスが一日乗り放題、そして舞鶴引揚記念館も入館無料なのだ。これが 1,000円 ぽっきり! どうだ!
なにが、どうだ、なのかわからないが、どうだ、なのだ。
12時10分発
東舞鶴駅まで歩いてきた、本当の理由は、駅弁探し。
が、残念・・・ない。
西舞鶴駅にも、東舞鶴駅にも、駅弁はない
バスに乗り込む。
12時25分着
引揚記念館到着
ここで、さらにポイント!
12時10分発のバスは、日・祝運休なので注意(土は運行)
◇◇◇
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母は来まし~た~ 今日も~来~た~♬
私と同年代のかたなら、この歌を小学生時代に歌った記憶があるだろう。
替え歌でも、歌ったことだろう。
恥ずかしながら、のんきにこの曲を歌っていた小学生時代から、50年近くたって、はじめて「引き揚げ」というものを知った。いや、授業では習ったはず。が、記憶の彼方だ、
1945年8月9日
ソ連が満州に侵攻
8月23日
ソ連との停戦
その結果、60万人がソ連に強制連行
シベリア抑留というやつだ。
凄惨な環境での強制労働
その方々を日本に引き揚げるため、引揚船の寄港先に選ばれた港のひとつが、舞鶴。そして、最後唯一の引揚港として活躍することになる。
母は来ました 今日も来た
この岸壁に 今日も来た
とどかぬ願いと 知りながら
~
ー 又引き揚げ船が帰って来たのに
今度もあの子は帰らない
この岸壁で待っている
わしの姿が見えんのか
港の名前は舞鶴なのに
何故飛んで来てくれぬのじゃ ー
~
岸壁の母こと、端野いせさんは、実在の方だ
引揚船が入港するたび、東京から舞鶴まで、息子との再会を願って、6年間通った。祈りを込めた横顔の写真が残る。
また、その隣には、岸壁の妻こと、小谷ちゑさんの写真、
子2人と岸壁に立つ後ろ姿が、語りかけてくる。
なぜ? と、
涙が滲んでうまく観ることができない。
でも、直視しなければいけない現実だ。
1945年終戦間際、舞鶴には、機雷が撒かれ軍港が機能不全に陥る。そこへ、広島投下前、練習のため模擬原爆が投下されている。その翌日には、宮津、伊根にも空襲があり、舞鶴を逃れた艦、乗組員、住民、多くの被害が出ている。伊根散歩の記事では触れなかったが、潜水母艦「長鯨」もそのひとつだ。
先ほどは、『機雷をバラまかれると、物流が停まるのだ。』と、平和ボケな記述をしたが、機雷によって物流が停まるどころか、戦艦も出陣できなかったのだ。
知覧特攻平和会館ほど、有名ではないが、舞鶴引揚記念館にも、ぜひ訪れて欲しい。
知覧と舞鶴を経験した男
先日『特攻のメカニズム』(中日新聞社:加藤拓)を読んでいたら、満州から知覧に召集され、特攻隊として飛び立つも、戦闘機の不全で帰還。再び満州に戻り終戦、シベリア抑留されたのち、なんとか引揚船で舞鶴に帰国できた関口文雄さんの人生を知った。
1945年8月9日
ソ連が満州に侵攻
このソ連に侵攻を促したのが、アメリカ
その場所、ヤルタ会談の舞台となったのが、クリミア半島
歴史の綾、因縁を感じる。
この長いトンネルを抜けるのは、いつになるのだろう。
◇◇◇
本日は長めになってしまいましたが
帰途につきます。宿に帰ろう。
引揚記念館:14時01発
東舞鶴駅 :15時22発 帰りは乗継スムーズ
15時37分発
はーい 帰りは、丹鉄宮舞線からの車窓でお別れしましょう!
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車窓を楽しむには、
先頭の陣取り合戦を避け、最後尾を楽しもう。
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トンネルを抜けると、
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線路は、どこまでもつづく
旅もつづく
(つづく…)
海の京都の旅、伊根の舟屋編はこちら
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