新人の頃の思い出
2022年4月15日投稿
今から約40年前、私が新入社員として入社した頃、ファックスはビジネスでのみ使用されるものでした。まだ家庭には普及しておらず、私はその存在すら知りませんでした。
配属が決まり先輩に会社の中を案内してもらっているときに、不思議なものが目にとまりました。
それは小型冷蔵庫ほどの大きさの箱で、上に電話機がのっていて、ときおり「ぴー、がーっ」と奇妙な音がしています。「これは何ですか」と聞くと先輩は「それはね、電話回線を使って書類を送るもの」と教えてくれました。
書類を送る?電話回線で?どうやって???
とっさに頭にうかんだのは、当時大きな病院などで使われていた気送管です。建物内にチューブを張り巡らせ、そこに空気を送ってカルテなどを入れたカプセルを部屋から部屋へ運ぶ仕組みです。しかしそれらしき管は見当たらず、つながっているのは電話線だけです。さらに先輩の話ぶりでは、書類は社内のみならず、社外へも届くようです。まさか細くまるめられた書類が電話線の中を通って運ばれていくわけもありません。まだ会社に入ったばかりで緊張していた私は先輩に聞くこともできず、「会社というのはまるでSF映画のような機械も使いこなす凄い所なのだ」と恐れ入ったのでした。
ファックスの仕組みについては、後日研修で詳しく知ることになりました。なぜなら、それは自社で製造している製品だったからです。いま思うと、入社する会社の製品も知らず、見当違いに感心していた自分の未熟さが何より驚きです。
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