「タダ」に価値をつけるには
言いにくいことを言わないといけないことが多い。特に仕事上で。
人材会社で営業をしているのだけれど、営業の仕事と切りたくても切り離せないのが、交渉とか依頼とか。
「来年度から請求をこのくらい上げさせてもらえませんか」
「この項目を、こんな感じに条件緩和させてもらえませんか」
「御社とお取引はないのですが、ぜひ弊社ともお取引の機会をいただけませんか」
相手との関係性とかそれまでの話しの流れとか、一般的な常識ベースでの話なのか特定の条件下での話なのかとか、そういうのにもよるかもしれないけど、「い、言いにくぅぅ~~~~~!!誰か私の代わりに言っとくれい!!(´;ω;`)」と内なる自分が駄々をこねることがある。
そんなときよく言われることがある。
「言うだけタダと思って、とりあえず言ってみてよ」
この言うだけタダ理論。めっちゃサラッと言われるけど、超ギャンブルだと思う。
だってとりあえずダメ元でも伝えてみるってことだよ? ダメかも……と思って伝えるんだよ?
伝えにくいことを伝えた結果、プラマイゼロやプラスの回答がもらえることもあれば、相手の気分を害してマイナスになるときもある。
この理論を持ち出されるときって、けっこう言う側がドキドキしたり不安だったり、そういう心持ちのときが多いんじゃないかな。
それでもって「そうだ、言うだけタダ! 言うだけ言ってみよう!」と勇気を出したら返り討ちに合ってK.O.。これはシャレにならん。そこまでに至ったこちらの気持ちの原価を考えたら大赤字である。
でも言う側からすると、ギャンブルだと思っても言わないと進まないから言うの。
そうなると、そのギャンブルがギャンブルではなく、少しでも価値のあるものにするために必要なのは、受け取る側の気持ちの持ち方とか対応の姿勢もあるのではなかろうか。
言い難いことを頑張って伝えて、ハリセンで叩き落とされるのと、いちど手のひらで受け取ってもらうのでは結果が同じでも気持ちは違う。
もちろん伝える側も相手の気分を害さないような伝え方は必要だけど、受け取る側もそれをどういう風に受け取って、どういう風に返すのか。それを考えてくれるだけでも、タダで伝えたものの価値は変わるんじゃないかな。