聖剣学院の魔剣使い 感想

聖剣学院の魔剣使い1~4巻を読了したので感想を綴ろうと思います。初めに断っておきますが私は作者である志瑞先生の前作「精霊使いの剣舞」を愛読していました。私は先生のれっきとしたファンというわけです。なので、そういう視点からの感想、ということになります!

まず、ラノベの顔となる第一巻についてですが、私はおもしろかった!と思いました。理由はいくつかありますが、私個人として一番大きく感じたのは文章力でしょうか。霊廟から脱出し砂漠を駆け、戦術都市が海上に姿を現す。あのシーンはとても印象的でなおかつ絶妙に厨二心をくすぐってきます。かつての戦場が砂漠へ化している、その一つの事実だけでも読者は頭の中に鮮明なイメージを映し出すことができると思います。また、合間合間のヒロインとの掛け合いも軽妙でポイントが高いです。多少好みが分かれるところかもしれませんが、好きな人は好きだと断言できます。私は大好きです。もっとやれ。

戦術都市についてからの展開においては、特筆すべきことはあまりないですが、通してクオリティが保たれており、不満を感じることはありませんでした。レビューなどでちらほら揶揄される意外性がないという点については多少同意せざるを得ませんが、それがすべてではないということです。特に私みたいな先生のファンなんかは「精霊使い」「剣舞」というワードがでてくるだけでうれしい気持ちになりますし、「虚無」なんて概念はちょっとふざけてるだろとツッコミたくなります。(もし大真面目に虚無という概念を提唱していたならごめんなさいm(__)m)また、先生のファンでなくとも異世界ものに精通しているなら、馴染みある言葉が大半を占めながらも高いクオリティを誇る本作に唸ることは間違いないかと思います。

少し脱線しますが、思うに、意外性がない作品は楽しめないという人は、ある作品に囚われ続けているのかなと思います。自分を形作るきっかけとなったバイブルを超える作品はそうそう現れませんからその気持ちはすごくわかります。なにをどう楽しむかは個人の自由ですのであまり口出ししたくない思いもありますが、ここはnoteなので惜しまずに自分の意見を言いますと、意外性がなくともライトノベルは楽しめます。あくまで、楽しめるという可能性です。なぜなら全く同じ作品は存在しないからです。たしかに本作は、異世界もので頻出するワードに溢れていますし、戦術都市での戦いは禁書を想起させます。事実、読んでいて禁書ってすごいおもしろいんだなと何度も思いました。しかし、レオニスとリーセリアの関係は本作でしか見られません。今の志瑞先生にしか書けないものです。私はそれを楽しんでいるのです。ゆえに、好き嫌いはあれど人類全員が聖剣学院の魔剣使いを楽しんでほしいと私は傲慢するのです。

以上が一巻の感想です。二巻以降については多少不満点があるので述べます。まず一つですが、若干飽きてくるという点ですね。理由は、端的に述べるならば本当にコ〇ンになっちゃってるからです......。各巻が序盤で伏線貼って最後にボスを倒す!の決まりきった流れ。レオ君の行く先々で予定調和に事件が起きます。それ自体を非難すると終わりなような気もするし、上の文章と矛盾していること言ってるよねって言われそうですが、なにも脳死で異世界ラノベおもしれ~~~って思ってるわけではないので悪しからず。楽しんでいても不満点は当然出てきます......。そこで私の考えを述べるわけです。

思うに、魔王というのは「忌み嫌われる象徴」なので戦うのに明確な理由が存在しないのですよね。こじつけはできますが。なので毎回戦っているとどうしても「なんで戦ってるんだ?」となります、私は。どうせ勝つんでしょ魔王だし、とも。さらに、本作は伏線が多々張りめぐされており、少しもどかしかったりするのですよね。伏線を張るのに大忙しで萌えが少なめではないかと個人的に思ったりしてます......。また当然ながら敵の全貌だったりは雪解けのごとくゆっくりゆっくり明かされていくので出会って即戦闘が常です。これらの要因が飽きにつながってるのかなぁと少し思います。裏を返せばこれによりクオリティを維持し、かつ長期を見据えた刊行が可能になるので喜ばしいことと言えなくもないですが。とはいえ、上で述べた通り私は先生の作品を楽しんでいるのでそこまで重く捉えておらず、なんにせよ加速的におもしろくなっていったら最高だなと思ってます。期待させてください。

以上が不満点についてでした。よき点も当然あります。言うまでもないですがイラストです! えちちちちちちちちちですわ。ありがとうございます!

五巻の発売日が決まっているようで、私は本当に楽しみです!素晴らしい文章を書く先生の作品を読めることもさることながら、次はどんなイラストに仕上がっているのだろうかと思うとワクワクが止まりません!

あ、最後の最後で不満点を一つ思い出しました。あの、毎回それとなく楽しみにしているあとがきにページを取ってほしいです......。以上です。




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