
なぜ堀口恭司はUFCと契約出来ないのか
先日パトリシオ・ピットブルのUFC契約が発表され
ヤイール・ロドリゲスとの試合が確定した時に
パトリシオが契約出来て堀口が出来ないのおかしいだろ😠😠😠
と厄介オタク特有のお気持ち表明をしたところ
そのツイートに様々なリプライや引用が来ていたので
堀口が何故UFCと契約出来ないのかそしてパトリシオは何故UFCと契約出来たのか
この2点を推察していきたいと思います。
まず堀口がUFCと契約出来ない理由は端的に言うと出戻りになるからです。
しかしそもそも出戻りとは何かや
何故出戻りだと契約出来ないのか
というのを言語化していたり理解している人は少ないと感じます。
そもそもUFCに出戻りの選手は数多く存在します
代表例として第4代 暫定 第6代と3度フライ級王者に輝いているブランドン・モレノは
UFCと契約してその後にLFAで1試合してまたUFCに戻っています。
しかしこれはUFC側からリリースされており
その後のLFAでの試合のパフォーマンスを評価されての
再契約を結んだパターンの出戻りです。

その愛嬌や性格から日本にもファンが多い
基本的にUFCの出戻りというのはリリースされた選手が
ローカル団体でのパフォーマンスが評価されたり
緊急の代役オファーでの再契約の2つしかありません。

ユーセフ・ザラルも出戻り組の1人

1度リリースを経験した出戻りの選手
UFC復帰戦の相手は同じく出戻り組のラピルスだった
そしてここからは堀口がUFCを離れた理由になるのですが
これは戦績不振によるリリースではなく自らのFA(フリーエージェント)です
今でこそATT所属で現地ファイターからの評価も高く知名度もありますが
当時の堀口は渡米したばかりで知名度もなく
タイトルマッチ経験者でランキング3位ではありましたが
英語も喋れなかったことからUFC側の評価も低く
更にUFCもフライ級を消滅させたかった時期でもあり
それがファイトマネーや試合を組むペースにも影響した為
結局自らの意思で日本に帰ってくる事を決意し
本人もUFCのベルトへの未練や心残りは無いと語っていました。
待遇も悪くほぼ追い出しに近い形ではあるものの
結果だけで言うとUFCのオファーを拒否した上で
他の団体との契約を選んだという事になります。

しかし本人のモチベーションの問題か
ローラーとの激闘の代償かその後はあまり奮わず

待遇に不満を持ちUFCにリリースを要求
その後にBellatorと契約
そこから堀口はRIZINに参戦しバンタム級の王者になり
並行してBellatorのバンタム級の王座も獲得
その後に敗戦や大怪我などを経験しつつも
RIZINフライ級の初代王者にも輝きRIZIN2階級王者となり
名実共に日本MMA界の最高傑作になりました。
そして現在RIZINで証明する事は何も無くなり
キャリアの集大成としてUFCとの契約の為に奔走しているという形です。

そしてRIZINの2階級制覇
日本が生んだMMA界の最高傑作
日本人という立場である為どうしても堀口に肩入れしてしまうものの
フラットな目線かつ一般人の立場で例えた場合
一流企業に就職したものの都会に馴染めなかったことや
重要な仕事を任せて貰えなかったり給与の面でモチベーションを失い
もうこの会社に心残りは無いと宣言して退職。
そこから給料も役職も今より良い事が確定している
地元の中小企業に転職しそこで輝かしい日々を送った上で
最後に名誉と思い出作りの為に元々所属していた一流企業に再就職したい
と言っているのと同じような形になるのです。
こう言われると途端に自分勝手なイメージに感じてしまいます。
つまりUFC側としては堀口と再契約してしまうと
現在UFCのロスター内にいるマッチメイクやファイトマネーに不満を持っている選手が
同じような形で他団体と契約しそこでチャンピオンになりある程度ファイトマネーを稼いだ上で
キャリア終盤にUFCのベルトの為だけに戻ってくる
という
現在プロ野球界で問題となっているポスティングを利用したFA権の短縮
と似たような手段を確立されてしまうのです。
こうなってしまうと世界一を目指す為にMMAファイター全員が
UFCに集うという一極集中は崩れてしまいます。
つまり今回の主題でもある堀口がUFCと再契約出来ない理由は
今いる選手達への牽制の為そして見せしめという形に近いと思います。
そもそもこの投稿を書くきっかけとなった投稿へのコメントで
フライ級が不人気だからや既に日本人が多いからという理由がありましたが
これはあまり当てはまらないと思っており
そもそも今のUFCはフライ級を北米向けに作っておらず
ブランドン・モレノ以外に人気選手も居ない為
アメリカやブラジルの選手をアジアやオセアニアの選手の
踏み台にして使うといったように明らかに
フライ級をアジア圏に向けて開拓しています。
実際今のフライ級のランカーの半分近くは
アジア オセアニアにルーツがあるか或いは
本拠地を構えるMMA団体に出ていた経験があります。
更にUFCとしては2025年に日本大会を開催して
過去失敗に終わった日本進出のリベンジを叶えたいと思っており
その上で日本人選手が多く居た方が良いはずです。
選手側からすればお互い意識し合ったり
試合で当たる可能性もある為気になるでしょうが
UFCからすれば成績の良い選手だけ残して
奮わない選手はリリースすればいいだけなので
あまり関係ないと思っています。
そして今回の2つ目の内容でもある
何故パトリシオ・ピットブルはUFCと契約出来たのか
についてここから触れていきたいと思います。
Bellatorの2階級王者であり代表的な選手でもあった
パトリシオですがBellator時代にUFCに行く気は無いものの対抗戦としてヴォルカノフスキーと戦いたがっており
いわゆる反UFC軍の先頭に立っていた選手です。
BellatorがPFLに買収されたことにより事実上の消滅をし
更に試合も満足に組んでもらえなかったことから
PFLにリリースを要求し今年晴れてFAの身になっていました。
しかし近年は年齢による劣化やバンタム級への無理な減量
首の手術などもありパフォーマンスは低下しており
過去の言動を考慮してもUFC側に契約の意思は無いと思っていました。
しかし昨日UFCとの契約が発表されると
ランキング5位のヤイール・ロドリゲスとの試合も発表され
直近のパフォーマンスや年齢 過去の言動を考慮すると
かなりの高待遇での契約となりました。
では何故この契約に辿り着けたかというと2つ理由があると思っています。
まず1つ目はBellatorを買収したPFLが上手くいっておらず
数多くの元Bellator戦士が不満の声を漏らしており
ここでその筆頭であったパトリシオと契約することで
他の選手達も引き抜いてしまいたいという目的だと思います。
PFLがBellatorを買収した時に使った額としては
5億ドルという噂もあれば1億ドルより安いという噂もあり
あまり真偽は定かになっていないのですが
ある程度の額を注ぎ込んだ割には元Bellator戦士の試合はあまり組まれず
試合が組まれたのはウスマン・ヌルマゴメドフ
AJマッキー ワジム・ネムコフくらいで
パトリシオやゲガール・ムサシは既に離脱をしており
現在もパトリック・ミックスやアーロン・ピコを筆頭に
様々な選手が契約解除の要求や不満を漏らしています。
PFLとしてもガヌーと契約した勢いそのままにBellatorを買収して
UFCとの差を縮めようとパニックバイをしてしまったのか
値段に見合った活かし方はまったく出来ていません。

元Bellator勢からの評判が悪く
SNSなどでリリースを直談判されている
つまりUFCからすれば今ここでパトリシオと契約してしまえば
元Bellator勢やPFLの選手あるいは他団体の王者も
我先にとUFCとの契約を急がせる効果がある
と踏んで契約したのではないかと考えています。
そしてここからは2つ目の理由ですが
王者イリア・トプリアのライト級転向による
フェザー級の王座の返上です。
ジョージアとスペインにルーツを持ちEl Matadorの異名で呼ばれるトプリアですが
アレクサンダー・ヴォルカノフスキーと
マックス・ホロウェイを相手にKO勝利しており
長い歴史の中で6人(正規5人暫定1人)しかいないフェザー級王者のうち
2人を相手に素晴らしいパフォーマンスを見せ圧倒した為
これ以上フェザー級で証明するものは無いと感じており
The Notoriousの異名で知られるMMA史上最も偉大な男の
功績と幻影を追いライト級への転向を表明しました。

レアル・マドリードと関係があり
本拠地であるサンティアゴ・ベルナベウでの
試合を希望している

UFC史上初の同時二階級制覇を達成
こうしてフェザー級の王座が空位になったことにより
ヴォルカノフスキーとディエゴ・ロペスで
タイトルマッチが組まれはしたものの
マックス・ホロウェイもライト級への転向を明言しており
現状のフェザー級は少し物足りないという事から
階級を盛り上げる劇薬としてパトリシオとの契約を結んだのだと考えています。
ここまで長々と書いては来ましたが簡潔に纏めると
堀口がUFCと契約出来ないのは今いる選手達への牽制と見せしめとして
そして逆にパトリシオがUFCと契約出来たのは
パトリシオと契約することにより他の元Bellator戦士達に
PFL離脱やUFCとの契約を候補に入れさせる事で脆さを露呈しているPFLにトドメを刺す為
そしてイリア・トプリアの王座返上のタイミングが
上手く重なった為ではないかと考えています。