器をそだてる その1 茶器
今年に入って台湾茶にハマり、5月に台湾で茶器を買った。
わたしにとっては、なかなか良いお値段だったけど
一目惚れしたのと
家族で行った台湾は本当に楽しくて
その思い出を忘れないように日常使いのお土産として思い切って買った。
見た目がキラキラしていたから、素材が土と思えなくて
お店の人に翻訳アプリで養壺できるか確認した。
台湾茶の茶器は、使ったあと水洗いしかせず、茶器に飲むたびお茶を染み込ませて、茶器を育てる。
これを養壺という。
何気なく飲んだお茶も、茶器には染み込み、記憶されるみたいで
my茶器を持ち、養壺するのに憧れていた。
養壺できるよ!これは土だよ、と聞いて購入を決め
しっかり梱包してもらい、日本に持ち帰った。
嬉しくて、大好きなお茶屋さんに持って行き、一緒に開封した。
そして、ワクワク家に持ち帰り、もう一度眺めようと出した瞬間
わたしは蓋を落としてしまい、
まだ一度も使っていない茶器の蓋は真っ二つと細々した欠片になって床に散った。
基本的に大雑把だし細かいことは気にしない性格だけど
そのときは心が折れたような
あの、すごいショックなことがあると、全身の血液が地面に落ちて気持ち悪くなる感じ
なんてことをしてしまったんだろう
そしてもうこの茶器は元の姿には二度と戻せない
台湾の思い出を壊しちゃったみたいな悲しい気持ちになり
苦しかった。
夜遅かったけど、そのとき思いついた頼みの綱は金継ぎ。
調べて、石川県の職人さんに直るか写真を送った。
夜は怖くて眠れなかった。
朝早くに職人さんから連絡が来て
電話で丁寧に説明と、色の相談があり、我が子の難病が治るって聞いた母親みたいな気持ちで
茶器を梱包して送った。
数ヶ月後に帰ってきた茶器は
元々こんなデザインだったよ顔で、より可愛くなって帰ってきてくれ
わたしはこの子を愛していて
時折お茶を楽しんでいる。
ティーバッグで飲むお茶も、ペットボトルで飲むお茶も
勿論手軽で便利なんだけど
この子で飲むお茶は、なんか特別。
茶器を温めて、秒数を数えて、聞香杯で香りを楽しんで、飲杯でいただく。
毎日は無理だけど、これからも美味しいお茶をよろしくね☺︎