雲月記.春分
晴々しい春の季節が、本格的にやってまいりました。桜並木の側を歩くと花吹雪が頬を掠めて、唇が薄く伸びます。あまりに桜に見惚れながら自転車に乗っていては危ないですから気をつけないと。そう思いながら風を切るのは本当に快い。
そんな桜も今日見れば、もう葉桜に変わっていました。なんて短い命なんでしょう。少し悲しくなるのですけど、彼らはめげずに、来年も花咲いて、私に彩を加えてくれる筈です。それを待ち遠しく想えれば、もう憂いは無いでしょう。
春分の日当日、墓参りに行きました。長らく行っておりませんで、どうなっているか不安だったのですけど、意外に綺麗で、きっと親族の誰かが来てくれていたのでしょう。心が温かくなります。
私は墓参りをする時の雰囲気が、空気感が、結構好きで。親戚が集まった時に行ったりしたのが記憶に残っているから、というのもありましょうが、ただ、私が明確に墓参りが好きになったという理由がございます。芥川龍之介の『点鬼簿』です。あれを読んでから、墓というのに想いを馳せる事が多くなったように思えます。お読みになっていない無い方は是非。短編ですから、あっさり読めます。
髪を切りました。切ると言っても短くした訳では無くて、整えると言う感じなのですけど、それでもやっぱりスッキリします。心の問題なのでしょう。久々だったのもあって、満足感が一杯でした。
こういうの、良いですね!外出が楽しくなります。お洒落もしたくなる。良い事は良い事を呼びます。良い循環を大切にしていきたいですね。
この2週間はよく本を読んだと思います。元々あまり沢山読む方ではありませんから、よく本を読んだと言っても大層な量にはならんのですが、4冊ぐらいは読んだと思います。深夜特急の3と4を読んで、とっても旅行に行きたくなりました。インドだとか、イランだとか、夢見てしまいます。いつか行きたい、いつか旅をしたい、と思えるだけで、豊かになれたと感じます。深夜特急を読む前だったら、インドに行きたいなんて、絶対思っていなかった。こうやって望みの幅が広がっていく事を、豊かだと呼ぶのだと思います。
総じて、豊かな季節でした。なんと言っても、桜が咲きますから。春分の初めはまだ開花していなかった筈ですけど、もうそれも忘れてしまうくらい、花開いた桜は圧倒的です。春の幸福のシンボルである桜に感謝して、乾杯!