十五夜、十六夜、そして・・・
台風の影響で暑さがぶり返したりもしていますが、暦の上では秋も半ば「仲秋」の頃となりました。
俳句の中で「月」といえば、秋の月のことを表すように、秋は月が一番きれいに見えるといいます。
十五夜
旧暦の8月15日は「中秋の名月」「十五夜」。
2022年は9月10日が十五夜となります。
空気が澄んで、月がいちだんと美しく輝いて見える秋。
空に登ったときにも、見上げるのにちょうどいい高さなのだとか。
松尾芭蕉が詠んだ「名月や池をめぐりて夜もすがら」という句がありますが、美しい満月を見ていると、時間が経つのも忘れてしまうようです。
月が見えない時・・
昔から月を愛でてきた日本人。
曇ったり雨が降ったりして、月が見えないこともありますよね。
それにさえ、「無月(むげつ)」「雨月(うげつ)」という名前がついていて、雲の向こうにある見えない月に思いを寄せる昔の人の気持ちが感じられます。
十五夜の後は月が昇ってくる時間がだんだん遅くなってくるのですが、それにも名前がついているのをご存じでしょうか。
十六夜
十五夜の翌日は、十六夜とかいて「いざよい」。
「いざよう」はためらうというような意味で、十五夜より少し遅れて、ためらうように出てくる月のことです。
翌日の17日の月は、立ち話をしているうちに登ってくる「立待月(たちまちづき)」。
18日はゆっくり座って待つ「居待月(いまちづき)」。
19日は寝室に入って寝ながら待つ「臥待月(ふしまちづき)」。
20日になると夜が更けるのを待って昇ってくる「更待月(ふけまちづき)」。
だんだん昇るのが遅くなる月の出を待つ感じが伝わってきます。
十三夜
お月見といえば満月に近い十五夜が有名ですが、古来日本では、旧暦9月13日の「十三夜」も美しい月として大切にされてきました。
中秋の名月の後なので、「後(のち)の月」、豆をお供えするので「豆名月」とも呼ばれます。
中秋の名月は中国から伝わった風習ですが、十三夜は日本独自のものだそう。
まん丸ではないところに美しさを見出すあたり、日本らしいような気もしますね。
2022年の十三夜は、10月8日です。
中秋の名月と併せて見る「二夜(ふたよ)の月」。
ひととき電気やテレビを消して、空を見上げてみるのもいいのではないでしょうか。
晴れるといいですね。
産業医 櫻庭千穂
食とココロの処方箋