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【届かない高い壁】IZU TRAIL JOURNEY 2018

去年に続き2年連続でエントリー。この時期は奈良マラソン・守山ハーフマラソン・湖南アルプストレイルレースなど所要な大会が多い時期で、身軽にレース参加できる身としては、どれに参加するか悩ましい時期である。それでもこの伊豆を走るトレイルレースは抜きん出て魅力的である。

その魅力は伊豆半島の旅にある。しかも自分の足で駆け巡る旅、雄大な太平洋沿いの港からスタートし、絶景の富士山を少し遠くに見ながら、山々の稜線を走り、有数の温泉地である修善寺でゴールを迎えるコースで、まさにトレイルジャーニーである。

年の暮れに近づく時期なので、その年のトレイル集大成みたいなスペシャル感もあり、なおかつ鏑木さんコースディレクターで、国内外から強者が参戦する。マラソンで言う高橋尚子プロデュースで、大迫傑・設楽悠太などが参戦する(多少言い過ぎかもしれないが)豪華レースである。基本的には昨年のTOP10のエリートは今大会に無料招待されるため、レベルは必然的に高くなる。また、仮に何人か出場しなくても、スポンサー契約ランナーが招待されるため、結局UTMF・STYのように国内トップレベルの大会となる。

さて今回はどうか、去年のTOP1〜3が何とエントリーされていない。これはチャンスと思いながらも、スポンサー契約ランナーが多い・また海外からの招待ランナーも多い。私のような一般参加ランナーのリストを見ても名だたるランナーが多く、例年どうりハイレベルである事は間違いないと認識する。しかしながら、そんなレースで自分がどこまで出来るか試したいワクワク感もあった。

ちなみに去年は71.7キロを8時間24分と36位だった。去年は疲労骨折の中完走のみを目指したのだから、今年は万全の状態でどこまでできるのか、どうせなら何が何でもTOP10に入って表彰されたい、同時にシード権も獲得して来年は無料で出たいと強く思うようになる。ゴールタイム的には悪くても8時間は切りたいので、各エイド通過を8時間ゴール設定で計画する。ゴールタイム予想は7時間30分から7時間59分。順位は蓋を開けてみないと分からないが、TOP10に入れば満足とする。10月の峨山道トレイルで優勝した木村隼人氏が去年の本大会で8位で、その木村隼人氏と8分差で負けた私もTOP10入りは不可能ではないと感じていた。

滋賀から自動車で伊豆までの長距離移動を経て、前日受付を済ませ、宿にチェックイン。去年は大会指定のスタート最寄の宿で、他の参加者と相部屋で12,000円とられ、お風呂も激熱だったため、それはもう絶対嫌だとスタートから遠めの宿を個人予約する。8,000円ほどで夕食バイキング付ということで伊藤園ホテル土肥港に決定。15時にチェックインしてゆっくりしようと思い、鍵を受け取って部屋に入る。喫煙ルームしか安い部屋で空いてなかったので、少し気になっていたが、部屋に入るとタバコ臭い。タバコを吸わない人間からこの匂いは敏感で辛かった。海沿いのホテルであるが、窓からは裏の雑木林しか見えない。部屋の壁紙もボロボロで、東南アジアの格安ホテルかと思ってしまう感じであった。しかし、太平洋が眺められるお風呂や夕食バイキングはとても良かった。夕食バイキングは何とアルコール飲み放題という特典付き。蒸しあがったばかりの蟹とビール、もしくはハイボール、最高の夕食である。しかし、レース前日にビールなど飲む訳がない。パフォーマンスに影響するので。食べ物もある程度考えながら、本当に食べたい物・量をを我慢した。それでも十分満足できた。夕食を終えて、部屋に帰るとやはりタバコ臭く、壁紙はボロボロ。部屋だけは本当に残念である。

早めに布団に入り、午前3時にチェックアウトし、午前6時のスタートに備える。会場には5時前に着いた。やはり、参加者が多く、スタート会場は暗いうちから賑わっていた。12月のため、早朝はやはり寒い。しかし、去年の寒さよりはずっとマシであったため、上はTシャツ1枚でスタートラインに立った。最前列とまではいかないが、3列目くらいに陣取りスタートを待つ。自分の前には招待ランナーがズラッと並ぶ。知っている名前のランナーばかり。来年はその位置につきたいと思いながら、いよいよ朝6時。

号砲を聞き、一斉に太平洋に面する松崎港を走り出していく。道路を渡り早速峠を登っていく。去年は抑えていたため、先頭などすぐに全く見えなくなったが、今年は先頭の位置は確認できながら、コンクリート林道を登っていけた。それでも順番は20〜30位くらいだろうか。そしてトレイルに入る。この頃から明かりが差し込み、気持ちの良い朝となった。ちょうどその頃、最初の山頂箇所に到達。第一チェックポイントを通過。予定通りの通過時間。そのまま走り過ぎ、25キロの第一エイドを目指す。林道を3〜4キロずっと下り第一エイドであるが、この林道を飛ばしてしまうと疲れてしまうため、キロ4:15〜30くらいで下る。そして第一エイド到達。

第一エイドは、何も補給せず通過しようと最初から決めていた。その為、1つ2つ順位を上げる事に成功。ここで比叡山トレイル50マイルを競った愛知県の強者ランナーを発見。このランナーには比叡山で負けている。鈴木雄介という強者。鈴木氏より先にエイドを出発したが、トレイルの登りで次元の違うスピードを見せつけられ、置いていかれた。登りえげつなく速いなとビックリした。もしかして自分が遅いのか。25キロを走っているので確かに少し足の疲れはあった。この時は鈴木氏を特別意識はしなかった。その後走りやすい小刻みアップダウンのトレイル区間を経て、43キロの第二エイド到達。

ここで、鈴木氏に追い付いた。鈴木氏と目が合って、あ、比叡山の時の…という感じでお互い認識出来た。今日は速いランナーが多いですねと話をした。鈴木氏はこのエイドでゆっくりしていたので、先にエイドを発つ。エイドを過ぎるとすぐに登り区間である。疲れもある程度出てきたので、ボチボチと登っていると鈴木氏はすぐに追い抜いていった。速いな…。全然ついていけなかった。登りはもはや楽しむ余裕無く、こなしている感じになっていた。時たま疲れていたランナーを抜いていたので、15〜20位くらいを走っていた。次の第三エイドの手間に、ロードの長い登り坂があり、ここが去年相当しんどかったイメージがあった。今年は去年よりもおそらく速いペースでこの坂を登り切れた。

そして第三エイド54キロ地点到達。ここでお腹の減りをかなり感じたので、提供される豚汁を3杯も食べた。空腹よりも満腹で走りたい、そう思ったので、エイドで割と時間を割いてしまった。ここでの通過順位を聞いてみると20人くらい通過したと思いますよと言われた。これまで登りは力なくこなして登ってきたが、それ以外のパートは割と速く走れていると感じたため、10〜15位くらいで通過していたら良いなと思ったが、20位くらいの位置はショッキングだった。そして鈴木氏もこのエイドは既に出発していて、姿が見えなかった。残り17キロ。疲れも相当あった。TOP10の道は現実的に絶たれた。しかし、エイド通過時間は計画通りではある。順位は厳しいものがあるが、ゴールタイムは悪くないと割り切って、後は1つでも順位を上げてゴールしようと思った。

最後のアップダウンを経て、残りは修善寺までの下り区間。この最後のアップ箇所は力無く息も絶え絶え登るしか無かった。こういう時いつも思うのは、自分の弱さである。ここで1人ランナーに抜かれてしまった。普段なら悔しく思うものだが、力無く見送るしか無かった。最後の下り区間では、飛ばせるだけ飛ばしていたのだが、また1人ランナーに抜かれてしまった。自分では速く下れている感じでも、普段の状態よりも遅いのであろう。山を下りきってロード区間があり、伊豆の山の旅の終着点に到達。無事トラブル無く計画通りのゴールタイムで完走出来たことは良かったが、TOP10に入れなかった事が限りなく残念であり、ゴールしてもそんなに嬉しくはない。

途中から意識していた鈴木氏はその後もペースを落とす事なくゴールし、8位に入賞していた。ゴールタイムも16分差をつけられた。強い、強すぎる。さすが自分より上の順位の比叡山50マイラー。木村隼人氏も10位で入賞していた。TOP10まで15分ほどの差。71.7キロで15分の差は何かあれば、すぐに詰める事が出来そうではあるが、この15分が果てしなく遠い。そう感じた伊豆の山の旅であった。
おそらくTOP10に入るまでは辞める事が出来ない毎年の挑戦になるだろう。木村隼人氏と同じく、鈴木氏とは、今回で少し仲良くなれたので、今後も意識して競い合っていきたい。

次の日は年休申請していたので、伊豆でゆっくりしようと思っていたが、TOP10に入れなかったため、延泊してビール飲んでゆっくり蟹とか食べようなんて気も全く起こらず、その日の内に高速を飛ばして帰りました。

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