ニカラグアからオンライン帰省
コロナで休暇帰国できないし、ヒマだしで、何をするかといえばもっぱらYouTubeとNetflixを見ている。
YouTubeに「city walks」というジャンルがあるのをご存知だろうか。日本語だと「街歩き」。
撮っている本人は映らず、しゃべらず、ひたすら街を歩くだけの動画だ。見ていると、自分もその街を歩いているような気分になれる。
最初のうちは行ってみたい外国とかを見ていたのだが、気がついたら「渋谷」「新宿」「東京駅」からはじまり、地元の「みなとみらい」「横浜」など日本の街歩きを見るようになっていた。
あ〜はいはい、ここね〜懐かしいわぁ〜〜とか言いながら見ている。オンライン帰国である。食事中に見ることが多いのだが、自炊はたいてい和食なので、日本のものを食べながら日本の街を見ている状態になる。だんだん、自分がどこにいるのかわからなくなってくる。ここは日本か・・・?外からキャキャキャというヤモリの鳴き声がして我に返る。いや、ここは地球の裏側だ。
「鶴見駅」とかもあって、こんなマイナーなの誰が見るんだよ、とか言いながら自分が見ている。
改めて、日本の町には飲食店が多い。こんなんライバル多すぎて経営者は大変だなとか、あー日本人ってこういう服装してたな、とか感情が溢れてくる。
撮ってる人がたまに自販機でお茶を買ったりするのもまた良い。アタリが出たらもう一本、みたいな自販機で、一緒になってドキドキしたりする。
考えてみれば今やオンラインでなんでもできるわけで、帰国できなくっても、GWあたりに散々言われていた「オンライン帰省」をすればいいのだ。
そういうわけで、母にテレビ電話をかけた。ちょうど弟も実家に帰っていたので家族4人で話すことができた。4人で会話するなんてめちゃくちゃ久しぶりだ。
しかし、うちの家族はそんなに仲良し家族というわけでもないので、さほど盛り上がらず、両親が最近飼い始めた犬が話題の中心になる。
私がココという名前をつけたトイプードルがぴょこぴょこ走り回っている様子を母が写しながら、家族4人で犬の体重について話している。もっと他に話題はないのかとも思うが、そういえば家族でそんなに盛り上がる話題なんて今までなかったんだった。
「子は鎹(かすがい)」とはよく言うが、子も大人になってしまったので「犬は鎹」である。
画面越しに、犬に向かって何度もおすわり!と言ったが無視された。犬にオンライン帰省の概念はないらしい。
そのうち、母が弟に対して怒り始めた。最近弟夫婦は子どもができたのだが、その出産祝いのことらしい。弟もむにゃむにゃ答えるので、母の怒りもどんどん高まる。
画面越しに親子喧嘩を見ながら、そういえばウチってこんな感じだったな、とまた感慨深くなった。てゆうか私はニカラグアから何を見させられているのか。
帰ってみたらそんなに居心地のいいものではなかった感も、リアルな帰省と同じだなと思った。