天空の草原、毛無峠が最高だった
樹木のない緑の山肌に点在する古びた鉄塔。なんて、ノスタルジックな光景なんだ……。
改めて、自分で自分の写真を見て、ため息をついてしまうくらい、素敵な風景が広がる場所。それが、群馬の毛無峠です。
「ハードな山登りをせずに森林限界の世界に触れることができる場所はないものか」と、以前調べていた時に見つけたこの場所。なかなか足を運ぶ機会がなかったのですが、先週末(7月中旬)ようやく行ってきました。
毛無峠とは
毛無峠って、こんなところ。群馬と長野の県境にある、峠なのですが、草は生えているものの、樹木が存在しません。
Wikipediaによると
「毛無」の名のとおり、辺りには木々が少なく、地面がむき出しの荒涼とした場所もある。明治時代までは原生林が茂っていたが、1916年(大正5年)から硫黄採掘が始まって硫黄精錬の燃料に樹木を伐採したことと、精錬時に発生する亜硫酸ガスが吹き付けられて樹木が枯れてしまい、附近一帯が裸山になってしまった。
このあたりは、大正から昭和にかけて「小串硫黄鉱山」という硫黄鉱山があった場所で、かつては標高1800mを超えるこの場所に2000人以上の人が暮らしていたそう。冒頭の鉄塔は、その鉱山の遺構です。
いざ毛無峠へ
東京方面から向かう場合、草津温泉から草津白根山を抜ける国道292号線を使うルートと、有料道路である万座ハイウエーを使うルートの2つがあります。残念ながら、草津白根山の周辺は噴火の影響もあり、国道292号線の通行止めが続いているということで、万座ハイウエーを使って向かいました。
途中にあった「嬬恋牧場」で、ひと休憩。夏山とソフトクリームの相性は抜群ですねー。
(大きめにあしあとを残してきました)
今回の宿泊地は、毛無峠最寄りの(?)温泉街、万座温泉。まずはチェックインしてひとやすみ。
万座温泉は、通年自家用車でいける温泉地としては日本で最も標高が高いらしく、宿に一切冷房設備が設置されていませんでした。空気もカラリとしていて、お部屋の中は冷房なしでも全く問題なし。冬はスキー客で混み合う場所かと思いますが、避暑地としても最高です。
ひと休憩したあとは、早速、毛無峠へ。
万座温泉から長野へと伸びる上信スカイラインにつながっている、群馬県道・長野県道112号線を進んでいくと、その途中にあります。万座温泉からは車で25分くらい。下の写真は上信スカイライン。
ちなみに、県道112号線、車線は細いし、途中からガードレールはなくなるわで、結構怖いです。下の写真が毛無峠の手前数百メートルくらいの場所。落ちたら確実に死ぬ。
天空の草原
早速クルマを停めて、散策へ。樹木が全く存在せず、辺り一帯に広がるのは草原。なんとも不思議な光景でした。
そして、こちらが俗に言う「あの看板」。ここから先は群馬県ということで関係者以外は立入禁止です(違)。
ラジコンを飛ばしているおじさま方がたくさんいたので、我々はじゃまにならないようにドローンで空撮を。
上の写真奥か県道112号線。こちらからアプローチして、大きなS字の描き始め部分、つまり峠の稜線部分が駐車スペースになっています。S字の1つ目のカーブから先は、道になっているように見えますが、立入禁止。遭難者も多いようなので、突入されたい方は自己責任で。
1時間ほど楽しんでいたところ、急にグワーっと霧がかかってきたので、そそくさと退散。山の天気は変わりやすいと言いますが、本当にそうですよね。
また翌朝出直しましょうということで、一旦宿に戻る。
翌朝
この日も晴天。絶好の毛無峠日和。時間帯的に、昨日とは陽のあたる場所が反対になるので、また違う景色が撮れるのではと期待を込めて出かけました。
奥に見えるのが、鉱山のあったところのようです。こんなところに小中学校まで設置されていたらしいのですが、にわかに信じがたい。標高1800mですよ。冬は豪雪に覆われるわけですし。
通行はできないけれど、山肌に鮮やかに描かれた九十九折の道路。
駐車スペースから続いているこの県道112号線はもともと、長野と群馬をつなぐ県道として計画されたらしいのですが、もう群馬県側で工事を再開する予定はないらしい。
ので、いずれは自然に飲み込まれていく運命なのかもしれません。
逆サイドに目を向けると、手前の駐車スペースから細い山道が伸びているのがおわかりになるかと思います。この山は破風岳といい、40分程で山頂まで歩いていけるそうです。今回は登れなかったので、次回リベンジしたい。
こんなに不思議な風景が広がっている場所なのに、クルマでアプローチできて、しかも全体を徒歩で歩いて散歩できる気軽さも、とても魅力的な場所でした。ただし、蜂と蛾のような虫がやたらとまとわりついてくるので、虫が嫌いな人にはちょっとつらいかも(私が黒い服を着ていたからかと思いますが)。
せっかくなので空撮動画をつないでムービーにしてみました〜。
帰りは、上信スカイラインを長野方面に走り、小布施へ抜けて、お蕎麦を食べて帰ってきました。店内写真禁止でしたが、せきざわの三色そばが最高に美味しかった。
耐え難い暑さが今後も続くようなので、時間の確保が可能な限り、健康を害さない避暑地へ逃げたい今日このごろです……。
ちなみに、毛無峠の気温は終日23度くらいでした。最高か!
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