価値観崩壊のバンコク5日間の旅2日目 サンペーン市場とチャトウチャック市場へ
朝なぜか6時に目が覚め、早速朝食会場へ行った。
この二日間滞在するJALシテイバンコクは、朝食付きで一泊15,000円ほどで、かなり広い部屋が与えられるのだから、かなりお得感がある。
2階のレストランは、朝早かったからかお客さんは少なく、それでも日本語が至るところで飛び交っていた。またレストラン内に置いてあるテレビは、日本語で、おそらくNHKが流されている。レストランの食事内容はご飯、お味噌汁、卵焼き、納豆など日本食も充実しているし、パンは数は少ないけれども置いてあり、シリアルなどもある。あまり洋食っぽいものは充実していないけれども、朝食としては充分だと思った。
部屋に戻りエッセイを執筆した後、昨日計画した通りに行動するべく、ホテルを後にした。バンコクの6月は雨季に当たるので、一応折りたたみの傘を持参しているが、晴れ寄りの曇り空で、温度は高いが湿度はそうでもない、と感じる。
歩いて2分ほどのトンローの駅から目的地の市場に向かおうとするが、チケットを買うときに駅名がないので、仕方なく窓口に並んだ窓口で聞いてみた。
窓口の女性がわからないと言うので、奥にいる女性スタッフの人が出てきてくれて熱心に調べてくれた。かなり皆さん親切で助かる。するともう1人若い男性スタッフもやってきて、一緒に調べてくれ、最終的にアソークと言う駅で乗り換えて、地下鉄で移動すると言うことがわかった。
それでなくても方向音痴の私は、Googleの言う通りに行動するしかないのだが、それでもわからない時は、完全にお手上げ状態になってしまう。駅員さんたちが親切で、本当に良かった。
BTSと言う、モノレールのような乗り物と、地下鉄を乗り継ぐということは、バンコクの主要な交通機関を今日マスターすることができるかもしれない、と思った。
ようやく電車のチケットを購入し、アソークで乗り換え。地下鉄はビザタッチが使えるので観光客にとってはかなりありがたい。
そこからサンペーン市場の近くの駅まで向かう。
車内は観光客でかなり多い。日曜日だから地元の人も入り混じっている。
駅からは10分ほど歩く、と、Googleは言っていたが、地上に出ると、もうそこには市場が展開している。日本の商店街をさらに狭くしたような、日本の地方に残っている「市場」のようなものだ。昭和にあって、平成になくなり、令和にはほぼ残っていない市場が、ここバンコクにはある。
目の前に細く長い屋根がある市場には、隙間もなくあらゆる店が軒を連ねている。人がすれ違うのがようやくといった位の狭い市場の中に、吸い込まれるように入っていく。
スリを警戒しながらも、でもみんな買い物に必死で、周囲などはほとんど見ていないと思った。(安心しすぎてはいけないが)
市場には、食品、衣類、雑貨など、なんでもあるのではないか、と思うほど、商品が所狭しと陳列されている。
お店の人たちは、無駄な声はかけず、客が立ち止まると声をかけてくる。
ほとんどがタイ語なので、呼び込みの声がしてもわからない。「生活感に溢れている」と言えばいいのだろうか。
ここに生活があり、人が生きている感じがする。
日本の現在の「シャッター街」と言われる商店街とは全く違うことに、軽い衝撃を受ける。
私が気になったお店は、干ししいたけとお茶だった。帰りに買って帰ればいいと思って、結局何も買わずに帰ってきてしまったのだけど。次回の楽しみにしておこう。
歩いても歩いても市場は続く。ようやく広い通りに出ると、まるで呼吸を止めていたかのように、大きく息を吐く。車をすり抜けて、道路を渡るとすぐに次の市場に吸い込まれる。
それを何度も繰り返す。終わりがない市場だ。
店主たちはタイまたは中国系の人たちのように見えた。おそらく購入するときには身振り手振りと数字を電卓か紙に書いて、値引き交渉して買っていくんだろうなと、思った。
どうしても買いたいものがあれば、値引き交渉もありかもしれないと思ったが、久しく値引き交渉などしていない私にとって、値引き交渉のエネルギーがない。そこまですごく欲しいものではない、という理由もあるかもしれなかった。
どこまで行っても、市場の終わりが見えないので、そろそろ暑さにも参ってきて、電車に乗って次の市場に向かおうと思った時、「Amazonカフェ」と言う小さなカフェを見つけた。
中に入ると、嘘のようにひんやりとしていて、ここで少し涼んでいこうと思った。
注文したアールグレイアイスティーは、なんと160円。サイズは、いわゆるトールサイズくらい。
どうもドリンク類は、水もそうだが、バンコクではかなり安いような気がしている。
このカフェには入れ替わり、立ち替わり、観光客、ローカル客が入ってくる。みんな静かで、話し声などはあまり聞こえない。
ありがたい環境の中、次のマーケットに行く道順などを調べ、すっかり涼しくなったところで、もう一度通りに出た。
温度は高いが、夏のキッチンのようなムワッとした感じはない。Google設定の問題だろうが、一番の近道を提示してくるので、バスが提示されている。しかし、こちらのバス停は、わかりにくいので諦めて、来た時と同じく、結局地下鉄の駅に戻ることにした。
ちなみに、行き交うバスを見ていると、とても綺麗で窓が閉まっていて、クーラーが効いているバスはほんの一部で、ほとんどが窓は開けっぱなしで、アンテイークか、と思うほど古い車体で、クーラーなんてもちろんないバスがほとんどだ。
地下鉄駅に到着すると、今度はビザタッチを利用し、最寄りのモチット駅で降りた。
そこから少し歩けば、もう目の前が市場だ。
ここは、先ほどのサンペーン市場と違い、屋根もない、広い通りの左右に、服と雑貨、カフェがほとんどの市場に入った。
ここは圧倒的に観光客、若い人たちで占められている。
ショッピングモールも近くにあり、いざと言うときには、そこでお手洗いに行くと良いですよと言うアドバイスを現地在住の人にもらっていたので、大変助かった。
マーケット周辺を歩き回ると、実にいろんなものが売られていることがわかった。
ペット、食器、タイの置物など、なんでもある感じだ。
しかし、ほとんど物欲がない私は、結局見て回るだけで終わったが、一つだけ関心を持ったものがあった。
それは、このショッピングモールの入り口にある仏像だ。
タイは仏教国だ。日本の仏教とは少し違うのだが、仏像も違う。
本当は寺院などにも立ち寄りたいのだが、今回の旅で行けるかどうかはわからないので、ここで少しだけお賽銭を入れ、お線香をあげ、旅の無事をお願いした。
タイの仏像は、日本の仏像よりもかなり豪華で派手だが、なんだか仏様も楽しそうに感じた。
お腹は空いたものの、ショッピングモール内のフードコートで食べるのはどうしても気が進まずホテルに戻ることにした。
食べたいものを自分に問いかけると、やはり日本食、という答えが出る。
昨日行った居酒屋店に行こうかと考えたが、あの暗い雰囲気がどうしても気になり、さらにGoogleで日本食レストランを探したところ、すぐ近くに「大阪王将」があることがわかった。
それもホテルから近い。
迷うことなくたどり着くと、時間が3時台だったこともあって、レストラン内には誰もおらず、すぐに餃子とサラダとドリンクを注文した。値段は日本より少し高い。多分日本食レストランは、タイでは高級の部類に入る。店員さんたちがちゃんとトレーニングさfれているのを感じるし、少なくとも笑顔で接客してくれるから。
餃子もその後頼んだチャーハンも日本で食べるものと、味はほとんど変わらず、餃子の焼き方もとても上手だったと思う。このように日本食が食べられるのであれば、日本人がバンコクに遊びに行きたいと思うのも理解できる。
支払いの時にチップボックスがあったので、ほんの10バーツほど入れたのだが、レジのお姉さんはにっこりと笑ってありがとうと言ってくれた。こんなふうに喜んでもらうと、チップを払うのもいいなぁと思う。
レストランで少し体は冷えたものの、まだ体内に熱が残っている。
これを冷ますには、プールしかない。
ホテルに戻り、JALシティの目の前に立っている、「ニッコーバンコク」のレセプションでプールの使い方などを教えてもらおうと思って中に入った。しかし、そこはショッピングエリアでレセプションはない。
引き返そうと、エスカレーターを降りていると、途中に「カルディカフェ」と言う看板が目に入った。
あのカルデイ、だ。
そこで、テイクアウトでアイスコーヒーを持って帰ることにした。
このお姉さんたちもとても控えめでとても丁寧で帰る時も、サンキューと言って帰ったのだが、その私にお辞儀してお礼を言ってくれた。
どうも日系店で働くタイ人たちは、そのように優しく丁寧で控えめな、少し前の日本人のような感じがする。
そういえば、昨日のオフ会の時にタイで会社を経営している人が、タイ人従業員のことを、「昭和の日本人のような感じがする」と言っていた言葉を思い出す。
飲ニケーションもすごく喜ぶらしいし、社員旅行の出席率は98%だと聞いた。日本がなくしてしまった日本の良さみたいなものが、タイには残っているのかもしれない。
ようやく、ニッコーバンコクのレセプションに到着した。
女性スタッフたちは、ネイビーの制服がよく似合っている。メイクもバッチリとしていて、髪型なども、綺麗に整えられている。日本スタンダードなのだろうか。
プールのことを英語で聞くと、英語と日本語の両方で教えてくれた。私が日本人だと、わかるらしい。
向かい側にあるJALシテイバンコクの自室で水着に着替え、ペットボトルの水とスマホだけを持って、ホテル日航バンコクのプールへ向かった。
屋外の、ジャグジーも、デッキチェアも十分にあり、バスタオルも使い放題だ。
そしてそこは、中国人で占められていた。ここでは、不思議なことに一切の日本語が聞こえない。西欧人も見ない。(そもそも日系のホテルには西欧人はあまり宿泊しないのだろう)
毎日続くであろう、プール日和の中、私は少し泳ぎ、体を冷やした。
その後はデッキチェアで電子書籍を読み、バンコクのの風に吹かれていた。
時折、ビル風のような風が吹くが、それも心地よい。濡れた体が、どんどん乾いていく。
今日はこの暑さの中、二つのマーケットを巡って少し疲れたらしい。
知り合いの方から「バンコクは暑いから体調を崩しやすいので、無理しないように」というメッセージを、プールにくる直前にもらったが、いつも通り無視してしまった。
しかし、忠告は素直に聞いておこう。部屋に戻ると、座っていても、少し立ちくらみがするような気がしていたから。
明日はホテルを移動してもう一段高いグレードのホテルに泊まることにしている。さらにランチとディナーの予定が入っていて、日本人女性たち、それも経営者たちに会える機会をもらっている。初めてバンコクに来たのに、これだけ多くの日本人の人たちに会えるとは、なんだか不思議な気がしている。
タイにいながら、日本のすぐ近くの県に来たかのような気がしているのは、どんな意味があるのだろうか。
その答えを見つける間もなく、あっという間に眠りに落ちていた。
続く
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