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ともだち

曲がり角を曲がる時、思い出すことがある。
一瞬だけ友達になった彼女のことだ。


私は一人でいる時、基本的に真っ直ぐ歩けない。上を見たり下を見たり、横を見たりさらには目を瞑ったりしながら歩く。フラフラしているのだ。

それは自転車に乗っている時でも例外ではなかった。
自転車に対してほんの少し苦手意識があるので基本的に人や車の少ない道や時間帯にしか乗らないと決めていた。

ある日スーパーに行くために例に漏れずフラフラと自転車に乗っていた。

その日は空を見上げながらペダルを漕いでいた。
見晴らしの良い曲がり角だったのにわたしが空を見上げていたせいで反対から来る自転車に気付くのが遅れた。

お互いゆっくり漕いでいたおかげか、自転車はのんびりとゆっくり止まった。前輪がコツンと小さくぶつかって。

お互い顔を見合わせ一瞬キョトンとしたあと、笑みが溢れた。

その後はちゃんと謝りスーパーには行かずそのまま帰った。


名前も年齢も知らない彼女、笑われてしまうかもしれないけれど、あの一瞬、たしかに私と彼女は友達だった。仲間になったのだ。


ちなみにそれ以来自転車には乗っていない。

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