花言葉に秘められた想い(後編)|サマータイムレンダを理系オタクがフカンしてみた #08
こんにちは。
理系オタクのフナギと申します。
少年ジャンプ+の作品、「サマータイムレンダ(以下、サマレン)」を少しでも応援するために記事を書いています。
前回は、サマレンファンの方に、さらに作品を楽しんでもらうための記事を書きましたが、今回はその続きとなっています!
以下、ネタバレが含まれますので、作品をまだ読まれていない方は、ブラウザバックをおすすめします。
前回記事のおさらい
まず、前回記事の内容を軽くおさらいします。
サマレンに登場する植物は、日都ヶ島の風景・世界観を醸し出す役割を担っていますが、ストーリーへの直接的な関わりはありません。
しかしながら、これらの植物の「花言葉」が、実は、キャラクターたちの心情のメタファーになっているという仮説を立てました。
そこで、前回記事では、「ネリネ」「キキョウ」の2つの植物に着目し、その花言葉に隠された、キャラクターたちの想いを紐解きました。
そして今回は、「向日葵」「橘」の2つの植物について考察していきます!
向日葵
向日葵は、澪が慎平に想いを伝えるシーンで登場します。
この場面で澪は、今までのループでは一度も着なかった、向日葵Tシャツ姿になります。
余談ですが、この向日葵イラストをよく観察すると、フィンセント・ファン・ゴッホの作品「ひまわり」であることが分かります。
さて、澪は今まで、自分の気持ちを心の中にしまい込み、姉の潮のように自分に素直にはなれませんでした。
しかし、勇気を振り絞り、初めて本当の想いを打ち明けます。
向日葵の花言葉は、「憧れ」「あなただけを見つめる」です。
身につけたTシャツは、澪の本心と決意が感じられます。
橘
最後は、橘です。
橘は、記録#018で以下のように紹介されています。
本編でも、菱形医院のシーンで橘を確認できます。また詳細は割愛しますが、非時香菓は常世に生えるとされているため、慎平と竜之介が常世で見つけた蜜柑のような木は、実際には橘だった可能性があります。
また、菱形家の家紋は「菱に橘」であり、どうやら菱形家と橘には深い関係がありそうです。
菱形家と橘の関係について、順を追って考えていきます。
まず、菱形家の歴史のおさらいです。(第10巻22~25ページ)
菱形家は古代から島の祭祀を司っていた。
江戸時代中頃に菱形紙垂彦の父が医者の真似事を始めた(菱形医院の原点)。
ヒルコの一件で紙垂彦がハイネの夫となり、雁切を名乗り始める。
その後、菱形家は分家。紙垂彦が雁切として神を祀り、紙垂彦の兄が継いだ菱形は医者の家系となった。
次に、この歴史をもとに、橘の意味を考えていきます。
上記、菱形家の分家の説明図(「菱に橘」の家紋の図)において、菱形の家紋に橘の文様が入っているということは、少なくとも紙垂彦の父の時代には、この家紋が存在していたこととなります。ゆえに、菱形家は遥か昔から、橘を何か特別なものとして捉えていたと推測できます。
非時香菓たる橘には、「追憶」や「不老不死」といった意味があります。それを鑑みると、菱形家は先祖代々、不老不死を夢見た家系と考えられるのではないでしょうか?
この仮説を基に、菱形家の歴史を紐解いてみます。
まず菱形家の人々は、古代から島の祭祀を司る中で、神話に描かれる不老不死に憧れを持ち始める。
そして、不老不死を実現すると言われる仙果、橘を重宝し、庭で育てたり家紋に取り入れる。
また、橘では不老不死を実現できないと悟った紙垂彦の父は、医術によってそれを達成するため、医者を始める。
その後、日都ヶ島にヒルコが流れ着き、神(影)の力によって、雁切紙垂彦は先祖代々の夢である、不老不死を実現する。
結局、雁切は不老不死であり続け、一方の菱形は形式上は医者を続けるも、雁切にすがり続ける運命を辿る。例えば菱形青銅は、最愛の妻を医術では救うことはできず、神(影)の力を借りて、常世で妻と永遠に過ごすことを目指す。
以上のように菱形家および雁切家は、不老不死を夢見て歴史を紡いだ家系であり、その不老不死の象徴が橘であると考察できます。
なお、不老不死の価値観を、慎平たち人間側は否定しています。
例えば、南方ひづるが遺した以下の言葉は、この「橘の想い」のアンチテーゼです。
まとめ
今回の記事では、前回記事に引き続き、作中に登場する植物の「花言葉」から、キャラクターたちの心情を考察しました。
2本の記事に渡る、ずいぶん長い考察になってしまいましたが、サマレンファンの皆様が楽しんでいただけたなら幸いです。
また4月から始まるアニメでは、キャラクターたちの心情に応じて、今回紹介した花がどのように描かれるのか、注目ポイントかもしれません。
ここまで記事をご覧いただき、ありがとうございました!