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「愛国」の裏にある皮肉〜深圳での事件を受けて〜

さて、また痛ましい事件が起きてしまいました。

亡くなったのが小学生の男児だと言うことで本当に無念としか言いようがありません。心よりお悔やみ申し上げます。

日本メディアでは大きく報道されていますが、中国では現在こうした行き過ぎた愛国行動がある一方で、それにうんざりしている人達も一定多数いることをご存知でしょうか。本日はそれについて紹介したいと思います。


前回と今回の場所の相関性

前回は蘇州、今回は深圳ということでこの2都市にはある共通項があります。それは出稼ぎの労働者が圧倒的に多いことです。日本人も多いこのエリアですが、やはりこうした外からの人たちが多いエリアでは極端な事件が発生しやすいように感じています。

また、9.18は中国人にとって満州事変の記憶であるため、(罪のない子供を殺めるという行為には断固反対ですが)反日感情の高ぶりも多少はあったのかもしれません。


極端な愛国主義の一方で…

私自身、いくつか中国のsnsでこの事件に対する中国人の反応を見ていると、「さすがに罪のない子供を殺めるのはやりすぎだ」とか「これは恥だ」など否定的な意見もよく見られました。

また目についたのが「义和团来了」(義和団がやって来た)や「U型锁」(U字型ロック)といった言葉でした。どういう意味で使っているのか友人に聞いたところ

▲「义和团来了」(義和団がやって来た)
→義和団事件についてご存知であれば難しくないと思いますが、簡単に言うと清朝の時代に外国勢力を追っ払おうとしてボコボコにされたという話です。
つまり、これは的外れな行動、極端な愛国心から全く理解できない行動をする人たちという皮肉を込めたスラングだということです。

▲「U型锁」(U字型ロック)
→これは2014年日中の領土問題によって起こった反日デモの際、u字型のロックで日本車を破壊するという行き過ぎた行為を指しているスラングだそうです。

つまり、今回のこうした行き過ぎた愛国心からなる事件には中国人もうんざりしているわけです。(特にきちんと教育を受けている人たち)


「排外」は解決にならない

日本のネット上ではやはり「もう中国でビジネスなんかしなくていい」「こんな国と仲良くする意味がない」などの意見がありますし、中国でも「中国になぜ日本人学校があるんだ」「別に外国の企業がなくてもやっていける」といったコメントが散見されます。

もちろん、今回の事件は許されるものではないですが、メディアが煽るのをそのまま鵜呑みにするのはよくないと思っています。実際、中国でもこうしたうんざりしている人達がいると知るだけで少し見方が変わると思います。

お互いが上述のコメントのように排外しあっても、メリットはないです。そもそも日中関係で個人的に大事だと思っているのは互いの利益うんぬんではなく、日本と中国は隣国であるという事実だと思います。

政府間できちんと話し合い、まずはこうした事件が二度と起こらないよう手を取り合っていくべきではないでしょうか。


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