見出し画像

搾取しないで生きていける?

毎朝8時30分に2階の事務所で朝礼が始まる。
社長の挨拶と従業員30人くらいの
「今日も一日よろしくお願いします」と決まりきった一言。
はっきり言ってこの朝礼に意味があるのかいつも疑問に思う。

私の順番が回って来た。
「今日も一日よろしくお願いします」
そう言ったあと何気なく社長の方を見た。

すると、社長がじっと私を見ている事に気付いた。
何だろう、私、変なことを言ったかな?
でも、心当りなんて無い・・

朝礼が終わりみんなが去った事務所で私はカタログを探していた。
社長はまだ自分の席に座りパソコンを見ていた。

「お前、いくつになった?」

不意に社長が聞いた。

「29歳になりました」

「29?若いなぁ。子どもみたいな顔して」

そう一言いうと、事務所を出て行った。

社長は47歳の既婚者。
身長は180㎝くらいあり俳優の小栗旬に似ていて
私の好きなタイプと密かに思っていた。

その社長に若いと言われて少しだけ嬉しかった。
それに褒められて悪い気がする人はいない。

堕としてみようかな、、そんな黒い考えが頭を過る。
社長の彼女になってしまえば、私は社長に守ってもらえる。
それは19歳のときに社長と付き合った経験が証明していた。

本気で好きにならない。
この会社にいるほんの数年だけ利用させてもらおう。
だから、大丈夫。
いざとなったら、会社を辞めて関係を切ればいい。

ホワイトボートに張り出された社員の携帯番号から
社長の番号を見つけて自分の携帯に登録した。

あの人は枕営業らしいよ、芸能人のそんな噂を耳にしても
それが悪いことだとは思わない。
マジョリティを押し付けないで欲しい。

どうしても、叶えたい夢があって
僕が叶えてあげるよ、というおじさんに出会ったら
私は自ら枕営業をすると思う。
だって、どうしても叶えたい夢なのでしょう?

だいたい、誰からも搾取せず
誰も傷付けないで生きている人など
この世の中にどこにもいないのだから。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?