見出し画像

氷河期世代の逆襲

昨日、仕事が終わってから娘を期日前投票に誘った。
娘は日曜日は朝早くから彼氏の野球の応援に行く。

「投票したって、どうせ変わらないじゃん。行くだけ無駄だよ」

帰宅後、すっかり寛いでソファーの一部と化している。

「もしかしたら、変わるかもしれないよ。
それに投票するって、自分の意志表示でもあるんだから」

「でも、どこに投票したらいいか分からないし」

「自分がいちばんやって欲しいことを
やるって言っている政党でいいんじゃない?
これは賛成だけど、ここはちょっと、、みたいな政策があったとしても
イマイチだったら、また、違うところに投票すればいいんだし。
それが政治ってもんでしょ?いちばんダメなのは変わらないことだよ。
それに、投票したら何かいいことがあるかもね?」

「いいこと?」

私は笑顔で頷いた。

投票を済ませて帰ってきた娘の顔は少しだけ大人な感じがした。

私が大学を卒業し就職したのは2001年で氷河期世代のど真ん中。
圧迫面接に耐えて何とか正社員で就職した地方の中小企業。
母に、おめでとう、の一言ももらえず
そこ、小さいところなんでしょう?と落胆のため息を吐かれた。

長時間労働に加え
変わりなどいくらでもいるとパワハラやセクハラに耐えて
結婚して出産して、子どもは贅沢品とか子育て罰の環境で
娘を奨学金なしで大学に進学させた。
その娘も再来年には社会人になる。
立派な納税者に育てあげたということ。
もっと評価されてもいいよね?

なのに!
物価高、増税、などお先真っ暗なことばかり。
月7万円の国民年金でどうやって生活できるのかシンプルに教えて欲しい。

今回の衆議院選挙は”氷河期世代の逆襲”だと思っている。

「どうせ変わらないじゃん」

その気持ちもよく分かるよ。
娘のZ世代が感じる無力感や閉塞感。
仕方ない、生まれたときからそうだったのだから。

でも、この選挙で世の中が変わるんだという瞬間を見てみたいよね?
そう期待して、日曜日は夫と散歩がてら選挙に行く。

今から20年程まえに放送されたドラマ「女王の教室」
教師役の天海祐希さんの台詞が、今になって胸に突き刺さる。

日本という国は、特権階級の人たちが楽しく
豊かに暮らせるように、あなたたち凡人が安い給料で働き
高い税金を払うことで成り立っているんです。
そういう特権階級の人たちが、あなたたちに何を望んでいるか知ってる?

今のまま、ずーと愚かでいてくれればいいの。
世の中の仕組みや不公平なんかに気づかず
テレビや漫画でもぼーっと見て何も考えず
会社に入ったら、上司の言うことをおとなしく聞いて
戦争が始まったら真っ先に危険なところに行って戦ってくればいいの。

女王の教室 第一話より

「好奇心や探究心のない人間は、人間じゃありません。猿以下です」

三角関数や微分積分も正直、社会に出て使ったことが無いし
知らなくても生きてはいけると思う。

でも、疑問や社会の仕組みの疑問や知ろうとする
好奇心や探求心を失くした人間は死んだも同然。
だから、この時代を生きるしかない。
生き抜くために、何が出来るか、ちゃんと自分の頭で考えよう。


スタバのドライブスルーで娘がマイクに向かってオーダーする。

「ほうじ茶ラテと、あと、パンプキンバスクチーズケーキをください」

「期日前投票すると、いいことがあるって本当だね」

娘の嬉しそうな笑顔につい財布の紐が緩む。

投票済証を提示すると
一部の飲食店や専門店で商品の無料サービスや
割引などの特典を受けられるセンキョ割があるみたい。

残念ながら、私の住む自治体ではやっていない。
このセンキョ割がもっと広がって欲しいなぁと支払いをしながら思った。



サポートは要らないいです。 どんな人が読んでいるのか知りたいので コメントをいただいた方のnoteは定期的に覗きに行かせてください。