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その男、沼につき 取り扱い注意④

海へ行った帰りに
ようちゃんがシャワーを浴びて着替えようとバッグから出した
Tシャツはお店に並んでいるみたいにキレイに畳まれていた。
洗濯したての清潔なグリーン系の柔軟剤の香りがした。

ようちゃんは中年男性特有の
脂っぽい汗の匂いとは無縁で無味無臭だと思っていた。

だから、ようちゃんの帽子が・・・

臭い!!!


ことにすごく驚いた。

そりゃ、帽子は毎回洗濯するものでもないから
誰の帽子でも多少なりの匂いはあるはず。

帽子を顔に近づけると、日に焼けた皮脂の匂い。

うわぁぁぁ!!!おっさんの匂いだよー!!!

ようちゃんに限ってそんな匂いはしないと思っていたのに。

ようちゃんも、人間なんだ、年相応のおじさんなんだ。
一気に現実に引き戻された気がした。

好きな人の匂いはずっと嗅いでいたい?
そんなことない。
臭いものは臭いし、苦手な匂いだってある!

そして、あるコラムを思い出してはっと我に返った。

体臭が良い匂いと感じる人とは相性がいい。

人間が持つHLA遺伝子が関係している。
HLA遺伝子は白血球に含まれていて免疫力に関係している。
この遺伝子の型が違えば違うほど
免疫力が強い子を産むことができるので
本能的にHLA遺伝子の型が違う異性に惹かれる。

また、それとは逆に自分と似ている近い遺伝子を持つ人との子は
未熟児や障害を持って産まれる確率が上がるといわれている。
このHLA遺伝子は「体臭」で見分けることができる。
HLA遺伝子は、体臭に影響しフェロモンとして分泌される。

人はフェロモンを鼻で感じるから
HLA遺伝子の異なる相手の体臭を好きな匂いと感じる。

という事は、遺伝子がようちゃんと相性は良くないと訴えている。
加藤くんが「なぎさん、ざんねーん。あんまり良くないよ。
その先生との相性は20%」と言った占いの結果と同じことだ。

ダメだ、ようちゃんを好きになってはいけない。
なのに、理性が感情を抑制できていない・・・どこかで止めなきゃ・・・

そうだ!
この帽子を預かっている間、たくさん匂いを嗅いでみよう。
ようちゃんは遺伝子レベルで好きになってはいけない人と
私の遺伝子に刷り込むんだ。
それがいい、それしか方法がない!!!




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