バンドジャーナル付録楽譜
1959年(昭和34)に音楽之友社が月刊誌「バンドジャーナル」の発刊を開始し、各号には楽譜が付録とされ国内吹奏楽団体のレパートリーとなりました。最盛期(10万部超)に比べると現在の発行部数は減少していると思われますが各号8万部を発行しているとされるので、付録楽譜が毎月8万部発行されていることになります。この付録楽譜の編成が日本の吹奏楽編成の標準化の指針となってきたことに違いありません。
創刊2号の付録楽譜「円舞曲 若木の白樺」(Ivanov作曲、秋山紀夫編曲)では、「ピッコロD♭」があるが「バリトン・サックス」はなく、「トランペット」ではなく「コルネット」そしてホルンはinE♭記譜のみ、高音部記号の「バリトン」があるという状況でしたが、その12年後 1971年(昭和46)の「陽気なジュピター」では、ほぼ現在の標準編成となっています。
バンドジャーナルは、創刊以来およそ60年間にわたりトータル750曲を越えるレパトリーを国内に提供してきたことになります。合奏曲が主ですが、アンサンブル・ソロ・練習曲等様々な楽譜が付録となりました。創刊から1998年(平成10)までの全ての付録楽譜の編成を含む基礎データを「音楽教材資料館 0201バンドジャーナル付録楽譜」*1で一覧することができます。
それを見ると、D♭ピッコロは1964年(昭和39)6月号の「秩父音頭」(秋山紀夫編曲)、E♭ホルンは1968年(昭和43)11月号の「What a Diff’rence a day made」(エドモンド・ロス等で知られたラテン曲M.Grever作曲R.W.Bovles編曲)、バリトン(高音部記号)は1969年(昭和44)6月号の「狩のポルカ」(Johann Strauss II 作曲 村方千之編曲)以降には編成から除かれていますまた、コルネットは1996年(平成8)8月号「秀吉メインテーマ」(小六禮次郎作曲 伊藤康英編曲)以来に付録楽譜では使われていません。
なお、2022年(令和4)11月号「鉄道名曲メドレー」(酒井格編曲)ではパート数の絞り込みがみられ、他の月の発行も含め全国的なバンドの小規模化に対応した付録楽譜となっていることがわかります。
ちなみに、筆者が中学1年で吹奏楽を始めて人前で最初に演奏した曲は、1969年(昭和44)11月号の付録楽譜、R・グットウィン作曲/岩井直溥編曲の「空軍大戦略マーチ」です。今聞いても素敵な曲ですが楽譜は手に入らないのでしょうね。
writer Hiraide Hisashi
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