海外ブラスバンドの来日
ここで言う「ブラスバンド」は金管楽器と打楽器で編成されたバンド、いわゆる「金管バンド」のことで、木管楽器も加わる「吹奏楽」とは異なります。
ブラスバンドのレコードがバンドジャーナルで紹介*1 *2 されたり、海外ブラスバンドが来日して日本各地で演奏会を開催したり、その演奏がテレビやラジオで放送されることがブラスバンドの認識を高め自分も実際に演奏してみたいという欲求を高めることに結びついたと思われます。
ちなみに筆者がブラスバンドを知ったのは、部活動中(1971年頃)に顧問が聞かせてくれたレコードからで、ビブラートがしっかりかかった金管楽器の演奏に驚き(違和感)を覚えたように記憶します。
海外バンドの初来日
ウェリントン・シタデル・バンド
海外ブラスバンドの初来日は、1979年(昭和54)4月のニュージーランドの救世軍バンド、ウェリントン・シタデル・バンド(Wellington Citadel Band of Salvation Army) だと思い込んでいました。
・4月7日(土) NHKホール(東京)
・4月9日(月) 浜松市体育館
・4月10日(火)フェスティバルホール(大阪)
・4月11日(水) 愛知県文化会館講堂(名古屋)
・4月12日(木) 京都会館第二ホール
・4月14日(土) 共愛学園頌栄館(前橋)
・4月15日(日) セブンシティホール(東京)
・4月17日(火) 石橋メモリアルホール(東京) CBSソニー録音
朝日講堂(東京)「公開講座」
この来日時の演奏はラジオ・テレビでの放送、レコードの録音・発売がなされブラスバンドが広く知られることにつながりました。
ナショナル・バンド・オブ・ニュージーランド
ところが 海外ブラスバンドの初来日は1970年(昭和45)7月にニュージーランドのナショナル・バンド・オブ・ニュージーランド(National Band of New Zealand)だったと知りました。このバンドは大阪万博(Expo '70)の「ニュージーランド・ナショナルデー」での演奏のためだけに来日し、日本国内ツアーが実施されなかったためか広く知られることにいたりませんでした。下記動画ではナショナル・バンド・オブ・ニュージーランドのマーチングの様子(8分50秒から10秒程度)を見ることができます。
来日が5回のバンド
・ ウェリントン・シタデル・バンド
(Wellington Citadel Band of Salvation Army)
1979年、1985年、2007年、2013、2019年
このバンドはニュージーランドの救世軍ブラスバンドで1883年に活動が始まりました。
「1883年、最初のウェリントン・シティ・バンドは18人の奏者で結成されました。楽器の不足、資金の不足、厳しい迫害など、バンド活動には多くの苦難が待ち受けていましたがバンドマンは、忍耐強く努力しました。」(The Salvation Army : Wellington Citadel Centenary, 1883 - 1983 P.4より部分訳)
・ ブラック・ダイク・ミルズ・バンド
(Black Dyke Mills Band / 現在はBlack Dyke Band)
1984 年、1990年、2016年、2017年、2019年に来日
ブラスバンドとしては1853年創立、最も知られているブラスバンドの一つで、全英ブラスバンド選手権大会23回優勝、ブリティッシュオープン30回優勝
来日が2回のバンド
・ レイランド・ヴィークルス・バンド
(Leyland Vehicles / 現在はLeyland Band)
1980年 指揮はリチャード・エバンス(Richard Evans 1935-2022)
(Leyland Vehicles がBNFL と改名して来日)
1995 年 指揮はリチャード・エバンス
・ エーテボリ・ブラスバンド
(The Gothenburg Brass Band)
1987年、1991年来日 スウェーデンのバンド で2007年に活動停止となりました。
・ ブラスバンド・ベルナー・オーバーランド
1985年、1991年の2回来日のスイスを代表するブラスバンド
来日1回のバンド
・ ナショナル・バンド・オブ・ニュージーランド
(National Band of New Zealand)
1970年大阪万博のニュージーランド・ナショナルデーのために世界ツアーの日程の中で来日の1953年に創立され、毎年ニュージーランド国内バンドからオーディションで選抜されたメンバーで構成されるバンド。
・ インターナショナル・スタッフ・バンド
(The International Staff Band)
1995年来日 ロンドンの万国本営に所属の救世軍バンド
・ NSK-RHPランサム・バンド
(NSK-RHP RANSOME BAND)
1996年来日 イギリスのバンド 2011活動停止
・ グライムソープ・コリアリー・バンド
(Grimethorpe Colliery Band)
1999年来日 1996年に制作された映画「ブラス!」(Brassed Off)のモデルバンド。1999年2月14日のBunkamuraオーチャードホールでの2公演を聞きました。
・ ブラスバンド・ビュルゲルムシーク・ルツェルン
(Brass Band Burgermusik Luzern)
2003年来日 JAPAN BAND CLINICのために来日しました。
・ ナショナル・ユース・ブラス・バンド・オブ・スコットランド
(The National Youth Brass Band of Scotland)
2008年来日
・ ナショナル・ユース・ブラス・バンド・オブス・ニュージーランド
(National Youth Brass Band of New Zealand)
2009年来日
・ トゥタル・ヒュットリンゲン
(Thurtal Hüttlingen)
2010年来日 スイスのブラスバンド
・ デスフォード・コリアリー・バンド
(Desford Colliery Band)
2013年来日 埼玉プレミアムブラス定期演奏会に出演
・ ニューヨーク・スタッフ・バンド
(New York Staff Band)
2018年来日 アメリカ救世軍本部のバンド
ブラスバンド来日年表
5ヶ国(イギリス、ニュージーランド、スイス、スウェーデン、アメリカ)から14バンドが、合わせて26回日本にやってきました。これはおよそ2年に1バンドが来日している計算になります。
この14バンドの中で最も数多くの演奏会を開催しているのは、ウェリントン・シタデル・バンド(Wellington Citadel Band of Salvation Army) です。2019年の来日時に我が町にやってきて演奏会を開催したことで、それに気づきました。とにもかくにも1回の来日時の演奏回数が多いのです。
救世軍(The Salvation Army Japan)
ウエリントン・シタデル・バンド2019ツアー
(シンガポールでの2日間の日程の後 来日)
1日目
羽田空港に早朝到着後、東京から仙台に移動。
南光台コミュニティーセンターでリハーサル
2日目
南光台コミュニティーセンターで音楽聖別会 (演奏会 1)
仙台市立南光台中学校体育館で仙台ブリティッシュ・ブラス・バンドとクリスマスコンサート (演奏会 2)
南光台コミュニティーセンターで仙台ブリティッシュ・ブラス・バンドメンバーとの交流会
3日目
尚絅学院大学 (演奏会 3)
尚絅学院大学学生代表と昼食交友会
仙台空港から札幌へ移動
4日目
しせいかん保育園 (演奏会 4_1)、桑園保育所 (演奏会 4_2)、菊水上町保育園 (演奏会 4_3)
北星学園大学 (演奏会 5)
遠軽町福祉センターで遠軽高校吹奏楽局との合同演奏会 (演奏会 6)
5日目
遠軽中学校 (演奏会 7)
北見芸術文化ホールでのオブリガード・ブラス・コンソートと合同演奏会 (演奏会 8)
6日目
女満別空港から東京に移動
東京観光
玉の肌石鹸でレセプション
7日目
玉川大学でクリスマスコンサート (演奏会 9)
玉川大学吹奏楽部と交流会が開催
8日目
神保町でパレード実施(ウエリントン・シタデル・バンド、ジャパン・スタッフ・バンド、埼玉プレミアブラス、ジャパン・シンフォニー・ブラス) (演奏会 10)
第2回千代田区ブラスフェス(出演 : 神田一橋中学校和太鼓部と吹奏楽部、ジャパン・スタッフ・バンド、ブリティッシュブラス・ドルチェ、ジャパン・シンフォニー・ブラス、雀宮ユースバンド、東京ブラスコンコード、ザ・バンド・オブ・ザ・ブラックコルト、郡山シティバンド、埼玉プレミアブラス、2019ブラスフェス・スペシャルバンド、ウエリントン・シタデル・バンド) (演奏会 11)
9日目
清瀬けやきホールでウエリントン・シタデル・バンド&清瀬小隊聖別会 (演奏会 12)
清瀬駅前でパレードとスポット演奏 (演奏会 13)
清瀬けやきホールでウエリントン・シタデル・バンド&ジャパン・スタッフ・バンドクリスマスコンサート (演奏会 14)
ケアハウスいずみで交流会
10日目
東洋英和女学院新マーガレット・クレイグ記念講堂 (演奏会 15)
京橋エドグランの大階段前でランチコンサート (演奏会 16)
11日目
ニュージーランドへ
2019年ジャパンツアーでは、なんと16ステージありました。びっくり。
*1 残念ながら原本に当たることが出来ていません。森田満氏の「我が国におけるブラスバンドの変遷に関する一考察」P.73〜より
*2 赤松文治(あかまつぶんじ ・・-・・)昭和14年東京商科大学(一橋大)卒 1992年 第 2回 日本吹奏楽アカデミー賞 研究部門
writer Hiraide Hisashi