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RIZIN.13那須川天心vs堀口恭司戦PV観戦しての感想

ローブロー、二回の意味

那須川選手のキックを騎馬立ちで受けた堀口恭司選手。大腿部から滑り込むように股間に足が吸い込まれること二回。
MMA(総合格闘技)の選手とキックボクシング選手の試合で過去に何度か発生している現象だ。元々伝統派松濤館系空手にはムエタイ式の回し蹴りは存在しない(上段蹴りはある)。流派に内在する技術、運動構造の違いが今回の金的につながったと言うのは拙速だが、堀口選手にあのローブローを回避しろというのは酷だったのかもしれない。那須川選手は単純にムエタイ式の回し蹴りを普通の軌道で放っているだけであり、堀口選手としてはいつものMMAスタイルで股を割って騎馬立ち、或いは前屈立ちで、尚且つ「半身」で構えていた。本来なら前屈立ちは相手に対して正面を厳しく取りながら構える前提であるが、昨今ライトコンタクトの協会空手、競技空手で大流行の半身の前屈立ち(正中線を隠した騎馬立ち風の)を堀口選手も採用してきたわけで、予想され得る事態ではあった。

わたし自身は金的になるという以前に、前足の内腿をインローで狙い打ちされて終わると考えていたが、思ったよりも堀口選手は距離を近く取ってきていた。まさかあれだけ前に出てくるとは思わなかった。そのおかげでローブローをもらうことになったわけだが、この言い方は酷だが、キックボクサーの前であれだけ股をガラ空きにして腰を落としていたら、当たりますよ、睾丸に。那須川選手もまさかと思っただろう。何故ガードしないのかと。何故避けないのかと。

これはMMAとキックボクシングという競技、技術体系のズレが原因の必然的な事故である。

真の勝者は誰か

判定では那須川天心選手が勝者となった。
記録としては覆らないだろう。
その上で内容はどうだっただろうか。
わたしはローブローで動けなくなったことを加味して堀口選手の健闘を讃えるという風潮には異論がある。
また、試合中に堀口選手が笑い続けていたことをプラスに評することに無意味さを覚える。
かつてロッタン選手も笑い続けていたがわたしはそれを虚勢としか見ないし勝敗には無関係としか思わない。
途中堀口選手がタックルをしたことについて、ローブローと相殺するという見方が出てくるはずだがナンセンスである。
堀口選手の違反は故意であり、那須川選手のローブローは事故である。
ただ、ローブローで精神的に混乱して多少仕返ししたくてタックルをしたという気持ちは理解出来る。違反ではあるが、一回目は注意が与えられないという暗黙の了解があるようなので那須川選手も了解しているのであろう(試合前インタビューでの記者からも投げについての質問があった)。

以上の理由でわたしは那須川天心選手の勝ちで問題なしと考えるが、興行としては多分に問題があった。

RIZINはお祭りである

RIZINは競技として技術を見せ合う大会ではなく、異形の者が集う「見世物小屋」という雰囲気が出てきた。
ボブ・サップvs.大砂嵐のような試合は試合というより子供のケンカである。
このような舞台では本質的な格闘技文化の向上は見込めない。

以上

#スポーツ  #格闘技 #RIZIN #RIZIN13 #那須川天心 #堀口恭司

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