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映る影 (1/2 )

最近ひんぱんに目の端にチラリと何かが現れて消える。
光りだったり黒い影だったり。
そのたびに視界に注意を向けながらもう一度見ようと同じ動作を繰り返してみるが二度とは現れなかった。
もしかして此の世の物ならぬ気配か。
とうとう俺もこの歳になって初めて霊感が生まれたんだ。
などとちょっと浮かれた気分もするがまあ多分メガネに照明の光りが反射しているだけだと思う。
最近の灯りはLEDばかり。
家電のパイロットランプなんか暗くなるとその存在の強さに驚く。
あの何処までも届く攻撃的な光がメガネのレンズに反射したってとこだろう。

「何か悩んでんのか?。いやなんかアスペルガーみたいな動きしてるし。」
「誰がじゃ~。」
白内障じゃないの~とか言われたし、冗談じゃないよまったく。

「そこらじゅう人口照明ばっかりだろ?そのせいじゃなかろうかと思ってな。」
「確かにな。でもその怪しい影にとってはその光りが暮らしやすかったりするのかもよ。あー良い感じ、化けて出やすいなあ~ってね。」
「ばかやろう。」
「で、一杯やるか?」
「いや、今夜はちょっとやることがあるからまたな。」

電車から見える灯りはどれも強い。
ぼんやりと揺れるうす灯りなど皆無だ。
そういや蝋燭の光りは邪悪を炙り出し、真実を照らすって話があったような無かったような。

あれだ、その、悪魔だか霊だかが見えると云う奴らは本人に何かしらの罪の意識が有るんじゃないのかな、それが潜在意識に広く深く入り込んで現実の今ある意識に写り込む。
出た!見えた!ってね。
そんなところじゃないのかね。
しかしそれだと罪の化身である俺の回りにお化けがいないのはおかしいよな。
くっきりした光に反比例して頭の中の光は緩くて支離滅裂。
今にも消えそ~ってな。ははは

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