エースと心中
長雨の影響もあり、数日延期された甲子園も阪神園芸の方々の巧みな仕事により、ようやく試合が再開しましたね。
まだまだ全国的に雨の予報は続きますが、みなさんのご地元やお住まいに雨の影響はないでしょうか。
川の氾濫だけでなく、緩んだ地盤が一気に崩れる可能性もあるので、くれぐれもお気を付けください。
さて、その甲子園で感じたことがあります。
今日の第3試合、沖縄の沖縄尚学対徳島の阿南光の試合です。
序盤から沖縄尚学が有利に試合を進め、初回に2点、2回に1点を取る。
なかなか両チーム点が取れない中、沖縄尚学が6回に待望の追加点を取り、さらに7,8回と共に2点ずつ取り、結果として8-0で沖縄尚学の勝利。
敗れた阿南光は2年生エースが完投。しかも県予選も全て完投しているらしい。
そのせいか、この試合も終盤明らかにスタミナ切れ(170球以上投げていた)で6,7,8回に失点している。
さらに阿南光は9回終わってヒットが2本である。
球数も点差も考えれば、投手交代が普通である。
にもかかわらず、完投した。180球近く投げていた。
まだ1点差など逆転できる見込みが大きいとかなら百歩譲ってわかる。
しかし、9回でヒット2本では8点は返せない。
はたして、なぜエースを完投させたのか。
他にいないのか。他に育てなかったのか。
高校野球は1発勝負のため、何が起こるかわからない。
そのため1番良い投手を多く投げさせるというのも納得できる。
確かに遡れば、横浜高校の松坂、PL学園の桑田など一人で投げぬく選手は多かった。
がしかし、やはり今の時代にそういうエースと心中タイプのチームは勝ちあがれない。
少し前の金足農業がいい例だろう。
吉田投手を筆頭に守り勝つ野球で決勝まで駒を進めたが、柿木投手と根尾選手の二枚で回してきた大阪桐蔭の前に歯が立たなかった。
桑田と松坂とで時代がまた違うが、おそらく今はその二人の時代よりも気温も暑くスタミナの消耗が激しい。なによりもバットの進化や打者の技術の進化、データの普及により、1人の投手だけでは勝ち上がるのは難しい。
勝つという観点だけでみても、エースと心中では難しいのだ。
勝ち負けから離れても、まだまだこれから先の長い高校生。
投げすぎによる怪我などで将来有望の選手の未来をつぶしてしまうというのは非常に残念である。
また他にも高校野球で本気の野球を辞めてしまう人が多いのは、高校で燃え尽き症候群になってしまうというのも多くある。
もちろん高校生には甲子園が全てだと思うし、僕も甲子園でプレーすることを夢見て練習していた。
その思いが強ければ強いほど、選手は無茶をする。少し痛いくらいなら絶対に言わないし、態度に出さない。
それを踏まえてしっかり管理するのが指導者の役目だろう。
監督も勝ちたいだろうし、私立の監督となると自分の首もかかっているかもしれない。
だからといって子供に負担をかけていいはずがない。
エースと心中ということは心身共にエースに負担をかけているはずだ。
子供の意思だろうと、そこの線引きができない指導者がまだいる。
早くエースと心中のような考えがなくなることを切に願う。