長田淳司の株式投資・経済ニュース解説(2021/6/26)
今日は以下のトピックでお届けしました。放送内容は以下から聴いていただけます。
東芝、株主と亀裂深く 永山議長再任が総会で否決
東芝の2021年3月の株主総会で永山取締役(議長)が解任されるという珍しい事態が発生しました。2020年3月(昨年)の株主総会が適切に行われていなかったという懸念が強まり、当時の責任者である永山取締役を続投させるのは適切ではないという声が、外国人投資家を中心に広がったためです。
モノいう株主といわれるアクティビストは、東芝に対して株主還元を要求していましたが、これが将来的な成長のために投資をしたい現取締役会との間での意見対立を引き起こしていました。アクティビストとしては5年ぐらいのタームで資金回収をしなければならないので、最初からのプランに従って動いているだけなのですが、この動きを東芝経営陣は経済産業省とともにつぶしにかかったことが報告書で明らかになりました。
こうした動きが社内にあったことについて、取締役会の長が無責任というわけにはいかず、アクティビストだけではなく、議決権行使助言会社も再任否決の方向で助言を出したようです。一部には、永山氏続投のほうが経営方針の安定という観点から望ましいという声もあったようですが、やはり政府との癒着が表に出てきてしまった以上、やむを得ないということなのでしょう。
大企業は一般職員と役員の距離が遠くなりがちですが、現場で働いている職員としては、やれやれといった感じではないでしょうか。この東芝の体質は今に始まったことではなく、昔から続いているのでなおすのはむずかしいですね。不思議と株価はこうしたゴタゴタを先に読み込むものです。
東急の多拠点宿泊サブスクに申し込み殺到 会社員が半数
新型コロナウィルスで出社日が大幅に減った企業も増えたことが、こうしたサービスの拡充を後押ししています。1か月に1度も出社しないような会社であればどこでも住むことができますから、勤め人としては会社と家の往復だけではなく、様々な経験を積みながら人生を送ることができますね。
ホテルのサービスアパートメント化(帝国ホテルが打ち出したサービスなど)や、東急が提供する多拠点回遊型リゾート宿泊サービスは新型コロナウィルス禍で、稼働率が下がっており、従業員側も毎日出社しなくなったという時代の変化によって生まれた取り組みですね。
アサヒやJT…「楽しくのむ」に試行錯誤
こうした嗜好品を、より健康なほうに持っていこうという取り組み、企業として苦労しているのはわかるのですが、難しい取り組みだと感じます。そもそも体に悪いからいいのであって、健康にしたら楽しめないような。
それでも、体に有害な副流煙をなくそうという取組みは着実に功を奏して、いまでは会社でタバコを吸うことはもちろん、居酒屋やレストランでも煙草を吸うことが一般的ではなくなりました。お酒とタバコは相性がいいので、飲んでいたらタバコが吸いたくなるでしょうから、愛煙家の人は大変ですね。
ギャンブル・タバコ・酒といった企業はESGの観点からあまり機関投資家に好まれない業種となっておりますので、その点を投資の際には意識することが大切です。
東証プライム狭き門 ZOZOや日立物流、基準達成へ奔走
東証プライム指数に生き残るには、とにかく流動性をあげて、大株主の保有割合を下げ、自社株も持たないようにしなければなりません。ZOZOの経営陣が前社長で、創業者の前澤友作氏に対して持ち株を売却してもらうよう依頼することがニュースになりました。経営者ではなくなったとはいえ、いまだ大株主として前澤氏の持ち分比率が高く、これがネックとなって東証プライムに残れない懸念が出てきたからです。
2021年の6月末が新市場の判定基準日となり、その後上場企業に結果が通知されます。そこでもう一度プライムに挑戦する企業も増えてくるでしょうけれども、あきらめる企業も出てきます。2021年9月~12月の間に上場企業は移行する市場を決定し(すでに6月の時点で決まってますが)、2022年4月から新市場区分に移行します。
生き残れる社数は半分程度といわれており、2000社ほどの東証一部企業はプライムで1,000社ほどになりそうです。
確定拠出年金、確定給付を逆転 加入者941万人に
確定拠出年金が次第に浸透してきています。企業としては終身雇用をつづけることが難しく、長く人を雇用することを前提とした年金制度、企業が丸抱えする年金制度が限界を迎えているということでしょう。
確定給付年金は企業からすると、将来の債務を気にすることなく、その年に支払った時点で債務がなくなります。将来の給付額を約束した確定給付年金は低金利が続き安定的に運用することが困難になっている事情もあり、今後ますます確定拠出年金が優勢になると思われます。
ただ、確定拠出年金を選んでいる人も半分ぐらいが元本確保型(預金・保険)タイプであって、リスク型の金融商品を選んだ割合は少ない。よくわからないからなんとなく預金や保険にしておこうという層が多そうです。長期的な運用ではリスク資産への投資が報われる可能性が大きいので(私も報われてきました)、今後はこうした選択をしている加入者への一層の啓もう活動が望まれます。また拠出金額をもっと大きくする、毎年ではなく投資枠を人生のライフステージに応じて変更できるなどの柔軟な設計を導入することで国民の資産形成づくりに資する制度を磨き上げていってほしいと願います。私も確定拠出年金+マッチング拠出を続けていきます。
放送予定について
当方の都合で、空いた時間に放送します。平日はお昼(12:00~12:30)ぐらいか、夜21:00以降に放送することが多いです。放送直前にTwitterでご連絡しますので、LIVEをお聞きになりたい方はツイッター(@nagata_junji)のフォローをお願いいたします。
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