ハチミツは腐らないって本当?
「kojuroさんが虐待されている、助けてあげて」との通報がありました。匿名で。
いや、僕に言われましても・・・。
とりあえず、問題となった記事をご紹介しておきますね。
製品に添付されている成分表には「賞味期限:上面に記載」とあるものの、肝心の期日はどこにも明示されていないのだとか。
TOP画像が実際のブツです。確かに顔色がよろしくありません。目が逝ってますね・・・。
なんでも、10年ほど寝かされていた一品なのだそうですが、詳細はkojuroさんの記事をご覧ください。
そういうわけで、今回は賞味期限を越えても、美味しく安全に食せるのかどうか考えてみました。
1)phから考える
まず「腐る」という状態ですが、微生物による分解が始まった状態を指します。
要するに、細菌類が増殖するほど腐敗度が高いという事ですね。
ここでは、phという概念が役に立ちます。
phとは、水溶液に含まれる水素イオンの濃度のことで、0~14の数値で表されます。
濃度が「7」であれば中性、数値が7よりも低いと酸性、高いとアルカリ性ですね。
それで、一般的な細菌はph5を下回ると繁殖できません。
不純物を含まないハチミツのphは4弱~5弱ですから、細菌が増殖する可能性は低く腐りにくいと言えるでしょう。
2)糖度から考える
次に糖度という観点から考えてみましょう。
保存食を作る場合、「糖度を上げる」という方法がありますよね。
糖分が50%を占める食品だと、細菌は増殖することができません。さらに70%以上になるとカビもはえないと言われています。
一般的なジャムを常温で保存しても、数年間は腐らないですよね。
逆に言えば、「甘さ控えめ」、あるいは「低糖」をうたい文句にしている製品は、保存できる期間が短くなります。
さて、ハチミツは80%くらいが糖分ですから、なかなかに心強い数値でしょう?
① ph値が低いこと
② 糖度が高いこと
腐らない条件をふたつも満たしていますので、ハチミツが腐敗する可能性は限りなく低いと考えて差し支えありません。
3)黒くてはダメなのか?
「いやいや、クマを見てごらんなさいよ、ドス黒く変色しているじゃないの!」
ふーむ、黒っぽさに加えて、糖分が結晶化した事により顔がただれた様に見えますね。未開封時よりも凄味が増しました・・・。呪われていそうで怖いです。
とはいえ、それはあくまでも見た目の問題で、食する分には何の問題もありませんとも。
ハチミツ特有の黄金色から茶、あるいは黒っぽく変色するのは、含まれている糖分が酸化した結果なのです。
いわゆるカラメル化と呼ばれる現象で、確かにハチミツ本来の風味は損なわれますが、腐食現象とはまったく異なります。
従いまして、kojuroさんは虐待されているわけではなく「10年物高級ハチミツの独占権を有した」そういう事なのです。kojuro家による敬意の証とも解釈できるでしょう。
確かに、見ためによる精神的ダメージをクリアする必要はありますが、フードロス・ハンターには何の障害にもなりません。つまり「これで、いいのだ」