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理想的な靴の減り方
1)靴の外側が減っている
特にどこかが痛いわけではないけれども「靴の減り方がなんだか変なので、身体に不具合が生じる前に矯正したい」とご相談を受けた事があります。
健康を維持するために「不具合が生じる前に歪みを解消しておく」という考え方はありです。
と言いますか、痛める前と後では、矯正の難易度、改善までに必要になる時間がまったく違ってきますので推奨します。
というわけで、さっそく履いてらっしゃるパンプスを拝見したところ、左右の靴ともに、かかと中央より外側が磨り減っていました。
かかとの中心からずれて、靴底がへっていると「身体が歪んでいる」とお考えになる方が多いですが問題ありません。実は正常です。
2)ハの字を逆さにした形
もともと、ヒトの脚は軽く外に開いているもので、仰向きで横になるとカタカナの「ハ」の字を逆さにした形になります。
足跡も左右が並行になるのではなく、両側とも僅かに外側を向いているものです。
駅のホームなどで電車を待つ際に「ここに並んでね」という立ち位置を示す足跡マークも基本的に、ハの字を逆にしたイラストになっていますよね。
意味もなく、そういうデザインにしたわけではなく、解剖学を元にして身体の構造を考えると、逆ハの字になっている状態が正しいからです。
という事は、立っている時は左右の足を平行にするよりも若干かかとを狭くして、軽くつま先を広げた方が自然で楽な姿勢だという事になりますね。
3)健康的な靴の減り方
歩行時に足を上げた際、つまり、地面から足が離れて宙に浮いている状態は、外に開いた本来の骨格構造が反映されるのです。
そうしますと、最初に地面と接触するのは、必ず靴のかかと外側ということになります。
従いまして、理想的な身体の骨格バランスを保てているならば、靴のかかとは中心より外側が磨耗していくのです。
かかとの外側で地面と接触し、主に親指の力で地面を蹴って前に進む推進力を得ます。
つまり、靴底の減り方としては、かかとは外側が、つま先は親指の底あたりが削れていれば大丈夫です。
図示すると、以下の様な感じで体重移動が起こりますので、それに合わせて靴底が減っていれば理想的な歩き方が出来ていると考えて差し支えありません。
4)左右で減り方が違っている
かかとの外側が減っていても、左右の靴を比較して、磨耗度合いが顕著に違っている場合は、身体のどこかに歪みがある事を意味します。
放置しているうちに「いつの間にか歪みが改善されていた」などと都合の良いことは、残念ながらまず起こりません。
左右で靴の減り方が違うという事は、骨格のバランスが崩れている、つまり、歩行時に使用する筋肉にも左右差があるのです。
筋肉は使えば使うほど発達し、逆に使わなければ衰えます。その状態で歩き続けると、時間が経つほど歪みは大きくなっていく可能性が高いですよね?
それなら、膝や股関節を痛めてしまう前に、本来の骨格バランスに戻した方が良いと考える次第です。
なお、今回お越しくださったクライアントさんは、左右の靴が均等に減っていました。かかとからつま先に至るまでの靴底の減り方も、ほぼ理想的でしたから「矯正する必要なし」という事になりますね。
5)歩けなくなると老ける
軽度の歪みであれば、気にする必要はありませんが、大きな歪みがあると歳をとるにつれて膝や股関節に問題が生じる確率が高くなります。
言い換えると、理想的な骨格バランスさえ維持できていれば、身体を痛めてしまう確率を低下させることが出来るわけです。
人は歩けなくなる(歩きにくくなる)と、それに伴って出歩くことが億劫になり、どうしても自宅で過ごす時間が増えます。
そうなってしまうと、心身ともに健康状態が加速度的に悪化していくのも事実なのです。
足が不自由になった途端「あの人は急に老け込んでしまった」というお話はよく耳にしますよね?
とりあえず、靴の減り方を確認して、現在の状態を把握してみてください。現状が分からなければ、修正することも出来ませんから。
いつまでも健康的に楽しく過ごすためにも足は大切にしたいものです。