自分の墓は、自分で作りたいと思った日。

夜にドライブしていた時、道路に横たわっている猫がいた。

きっと車に轢かれて、お亡くなりになっているであろう白い猫。それと、その家族か友達か、そばに黄色い猫がいた。

やんばるでは、猫やマングースといった生き物が、道でお亡くなりになっていることは珍しくなく、この日も、うわぁと思いながらも、通りすぎようとしたが、助手席にに座っていた、りーなの一言で、その猫を持って帰り風葬することとなる。

ゴミ収集車みたいな車が来て、そのままゴミと同じように処分されるんだって。

この一言が、僕の中で、ざわざわモヤモヤしていた。

そういえば、道端で亡くなった生き物たちが、誰がどんな風に持っていき、どのようになるのかなんて、想像したことがなかった。

だいたい次の日か、早ければ数時間後には、何事もなかったかのように、綺麗さっぱりになってるから。

最近、土中環境改善をしていて、土中環境改善を別の視点で言うと、枝葉などの有機物を、気持ち良く土に還っていくような環境づくりと言えるかもしれない。

その視点で見ると、アスファルトの上では、到底気持ち良く還れないし、またいつ轢かれるかもわからない。ましてや、ゴミのように処分されるなんて、猫の魂が成仏されるわけがない。

このままじゃ気持ち良く寝れなそうなので、家に着いてから、猫を気持ち良く成仏させる作戦を立て、再び現場へ向かった。

道路で亡くなっている猫を、持って帰るなんて、初めてのことだったので、現場へ向かってる途中、ずっとドキドキしていた。

怖いドキドキである。

なんか色々考えてしまう。

ドキドキしながら、現場に着いた。

猫は、まだそのまま横たわっていた。

車のライトで照らされた現場は、やはり生々しく、猫の表情も、赤く染まった道路も、全部怖かった。

医者がつけるような手袋をはめて、車から降りると、猫の唸り声が聞こえてきて、ビクッとした。

きっと、亡くなった猫の、家族か友達の猫だと思う。

道路外側の、林の中に隠れていて姿は見えないけど、持っていくまで、ずっと、ウ〜っと唸っていた。

まず、その唸っている猫の方に向かって、必ず気持ち良く成仏させるから、と伝えてから、亡くなった猫に手を合わせてから持ち上げた。

猫に触れた瞬間、背筋がザワっとした。

硬くなってるけど、まだ少し暖かい部分があった。

テミに、炭くんたん、その上に新聞紙を広げ、そこに猫を載せた。

塩を道路と、自分にふりかけてから、車を走らせた。

走ってる途中、急に動き出したらどうしようとか、そんなことばかり考えてしまい、また、ずっとドキドキしていた。

家に着き、風葬の準備を始める。

風葬とは、沖縄の昔から続く、伝統的な葬送の仕方で、土に埋めるのではなく、空気と水の動きが良い場所に置いて、大地に吸い込まれていくように、還っていきます。

沖縄の、あちこちで風葬の跡は見られます。

僕の家の近くにもあるのですが、ほとんどが風通しの良い海岸沿いで、すごい気持ち良さそうな場所です。

実は、我が家の猫が亡くなった時に、風葬を試みた事があったのですが、場所も、やり方も良くなかったのか、腐敗してしまい、ものすごい臭いを放っていました。

そんな失敗もあったので、少し不安だったのですが、今回は、ちょうどいいって言ったらなんですが、ちょうど落ち葉ステーションを作っていたんです。

大きい木、2本の根本で、溝に縦穴、焼き杭と、これでもか、というぐらいの浸透処理をしているので、気持ち良く還してあげられると思いました。

落ち葉が積んである、下の方は腐葉土に近い状態。まず、その腐葉土が出るくらいまで広げます。

そこに、炭、くんたんをまいて、落ち葉を敷いて、その上に猫を寝かせます。

置いた瞬間というか、置く瞬間に、とてもすんなり猫が収まってくれました。

その時の感覚が、なんというか、とても気持ち良さそうに、ベッドの中に潜り込んでいくように、スルッと入っていったような感覚でした。

落ち葉の上で、丸くなってる猫の周りに、腐葉土を寄せて、上から落ち葉、炭くんたん、落ち葉と重ねて、これで終わりです。

葬という、字の如く、上下の草に、死が挟まれている状態。 

猫の下も上も落ち葉。とても気持ち良さそうです。

僕も、こんな感じで、気持ち良い場所で眠りにつきたいと思いました。

今の現代、沖縄では、気持ち良く還れるお墓を作れる人はいなさそうなので、自分で作るしかなさそうだなと思ってます。笑

次の日の朝、恐る恐る、腐敗していないか、落ち葉風葬墓に、クンクンしながら近づき、ゼロ距離でも無臭だったので安心しました。

風葬がちゃんとできると、全くの無臭で、カラスなどの鳥や動物も掘り起こすことなく、皆んなに見守られるように還っていけるそうです。

3日経った今でも無臭で、掘り起こされていないので、気持ち良く還れたと思います。

もうひとつ、風葬用に落ち葉ステーション作ろうかな。


追記。

ずっと昔から、風葬だった沖縄。明治時代になってから禁止になり、風葬してたという事も、風葬という言葉も知らないウチナーンチュが多いという事に、考えさせられました。

沖縄という土地に合った、素晴らしいやり方なのにな〜。

現代のお墓は、環境上の要の場所に、大きなお墓を建てたりして、水脈を潰してしまい、環境を荒らしてしまっているのが現状です。

沖縄の石ではない、どこから来たのかわからない御影石を、とても高い値段で買って、豊かな自然を壊してしまう場所、作り方のお墓。

これからの時代の墓づくりも考えていきたいですね!

こういう、お話し会したいな〜。

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