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旅の話.26 カルバリー

エクスマウスへ向かう5日間の片道ツアー(3日目)

カルバリー国立公園へ向けて、朝早く出発した。
見晴らし台から“Z-Bend Gorge”という、Z状に折れ曲った珍しい渓谷を見た後、川で泳ぐため谷を下った。途中アブセーリングと言う、垂直の崖をロープで下るお楽しみスポットがあった。別料金で高かったので、僕はやらなかった。リーが挑戦した。

川の水はグリーンで、少ししょっぱかった。
流れは穏やかで、そんなに深くない。3~4m程の岩の上から飛び込める場所があった。その下が深くなっている。僕は川の澱みや、底の見えない池や湖が怖い。何か得体の知れないモノが蠢いているような気がして、本能的な恐怖を感じる。リーは楽しそうに何度もドッパンドッパンと飛び込んでいた。

サクサクのミルフィーユのような地層だ

昼頃には昨夜の宿に戻り、しばらく自由時間。
そして、次の目的地へ向けてバスに乗ってひたすら移動だ。

19時30分、立ち寄った店でマークがchips(フライドポテト)を買ってきた。
車内で移動しながら、それをパンに挟んで、ケチャップをかけて食べた。
“チップスバディ”と言う、イギリスではポピュラーな食べ方らしい。
めちゃめちゃ美味しかった。
この日以降、僕はマックへ行くと、時々ハンバーガーにポテトを挟んで食べるようになった。

21時、目的地シャークベイ(Shark Bay)に着いた。
宿泊するキャラバンパークには、屋外スパがあった。22時まで利用可との事で、急いで準備して入った。湯船に浸かりたいという日本人の本能が満たされた気がした。できればもっと熱くして欲しい。一緒にはしゃいでた寿司屋のムラさんが、なぜかすぐに出て行ってしまった。江戸っ子の彼は、ぬるい風呂は嫌なのか?なんて思った自分が恥ずかしい。彼は一人で全員分の食事の用意をしているマークを手伝いに行ったのだった。目から鱗が落ちた。

22時、BBQの夕食だ。
大きなステーキを食べてワインを飲んで、楽しく会話して最高だった。食後にキャンドルの灯ったアイスケーキが登場した。リズのバースデーケーキだった。3回目になるけど、今回が本番のバースデーソングを歌った。

エナの話

ドイツ出身のエナ(Anna)は、交換留学生で、17歳だった。
留学期間はほぼ終わり、1ヶ月後にはドイツに帰るそうだ。
彼女が着ている水色のアディダスの半袖ジャージが格好いいなと思っていた。ちゃんと話したのは、この時が初めてだった。絵の勉強をしている事や、一番好きな映画が「ギルバートグレイプ」だと言う共通点がわかり、意気投合した。お互いのスケッチブックを見せ合った。

「私の絵を描いてほしい」と言うので、軽い気持ちで「いいよ」と言ったら、彼女は明日、モンキーマイアを最後に途中でバスを降りる予定なのだと言う。じゃあ今夜しかないじゃん。

各部屋はツインで、僕は運良く一人部屋だと思っていたが、実際はマークとの相部屋だった。部屋でエナの絵を描いていたら、マークが入ってきて「おっと失礼」と言って出て行き、外で寝袋に入って眠ってしまった。

エナは時々恥ずかしがって笑い出すので、描くのに苦労した。
完成した絵をプレゼントしたら、涙を浮べて喜んでくれた。

外ではムラさんがギターを弾き、みんなでなぜか吉田拓郎の「夏休み」を歌っていた。


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