【長崎県ネクストリーディング企業紹介1】株式会社いろはや(島原市) ~長崎・九州の魅力を日本の最西端ここ長崎から世界へ~
長崎県では、コロナ禍による売上減やECの急伸、消費者ニーズの変化など、急速な事業環境の変化に対応するため、高成長への意欲と潜在力を持ち、地域経済への波及効果が期待できるサービス産業事業者等を「長崎県ネクストリーディング企業」として認定し、ニーズに応じてDX等による県外需要獲得・生産性向上を目指す取組を支援しています。
この「長崎県ネクストリーディング企業紹介」記事では、各企業の取組や支援の内容について、ご紹介していきたいと思います。
1社目は、島原市と長崎市でアパレルのセレクトショップ、九州のギフトのセレクトショップ、ギャラリー、ウェブショップを運営されている「いろはや」です。
「いろはや」について
いろはやは、1857年(安政5年)、現在の本社のある島原市堀町にて屋号「いろはや」という足袋屋から始まった長崎県の老舗企業です。現在の社長、中山実津雄さんは5代目になられます。
現在は、長崎県内にて、婦人向けアパレルショップ3店舗(島原市2店舗、長崎市1店舗)、長崎・九州のセレクトおみやげショップ「九州みやげ いろはや出島本店」のほか、西九州新幹線が開業した2022年にオープンした「いろはや長崎駅店」を運営されています。
また、ありとあらゆる作品の作り手がお客様とつながるスペースとして、SHIMABARA DESIGN ART LABを運営されています。
島原のいろはや本店では、「ワンランク上のリュクスな女性へ」をテーマに、国内外から厳選したアイテムをお届けするセレクトショップとして地域の皆様に愛されています。
ローカルのよさを再認識するライフスタイル型のフェスとして、商店街の中にある本店で開催された“いろはやフェス”では、老若男女が楽しんでいらっしゃる様子で、商店街のにぎわいにも繋がっています。
「九州ながさきを元気にする」という熱い思いで、鎖国時代唯一開かれた玄関口の出島前に設置されている、お土産のセレクトショップ「九州みやげ いろはや出島本店」には、社長自ら九州の各生産地まで足を運んだ選りすぐりの逸品の品々が、それぞれが育まれたストーリーと共に紹介されています。
また、お店ではスタッフの方がお客様に長崎の観光案内もされています。おもてなしの心が素晴らしく、中山社長が「人材にはしっかり投資をしていきたい。お客様との適切な距離感を図りながら行う、従業員の接客技術はとても希少なものだと考えている」とおっしゃるとおり、AIができない人の温かみのある接客を体現されています。
店頭でも、インスタライブからでも光輝く接客スキル、きめ細やかなサービス。“接客の力”がいろはやの強みです。
デジタル化によるリアル店舗とEC店舗のデータ共有
いろはやは、DXにも積極的に取り組んでこられました。
いろはやグループの既存店舗では、POSシステムやポイント発行システムを導入していますが、各店舗が独立したシステムを運用しているため、顧客・在庫・販売データは各店舗では共有できていませんでした。
また、顧客や販売データを紐付けてのマーケティングにおけるデータ活用を行っていなかったため、情報発信等の施策の効果は限定的でした。
そこで、リアル店舗とウェブ店舗の双方をもつ当社の強みを最大限に活かし、次代の小売業の在り方を模索される中で、「令和3年度長崎県フィジタル型スマート店舗等経営支援補助金」を活用され、それらの課題解決に取り組まれました。
<Before>
<After>
取組結果
顧客が各店舗やネットでこれまでに購入した商品や、スタッフとのコミュニケーションの中で話した趣味嗜好などの情報をクラウド上に一元管理、見える化
顧客管理によってお客様それぞれにDMやメールまたはLINEなどでお客様に寄り添ったキャンペーンや接客、商品の提案を実施
一人一人をおもてなしすることでいろはやの考える小売りの価値を高めて選ばれるお店を目指していくためのシステム開発に着手
令和4年度の支援内容
長崎県では、こうして常に挑戦を続けるいろはやを、「長崎県ネクストリーディング企業」として認定し、現在支援を行っております。具体的な支援内容は、中小企業診断士によるローカルベンチマークシートを活用した経営状況把握や課題抽出、今後5年間程度の事業計画の策定支援、長崎県の就職イベント等を活用したUIターン人材確保、東南アジアへの海外展開に向けた外部専門家とのビジネスプラン作成となっております。
今後の展望
バーチャルとリアル双方のチャネルを掛け合わせて、長崎だけでなく、日本全国、世界へと大きくマーケットを広げることや、実店舗とECを両方運営してきた経験と、DXに関する知見を活かした、小売業のコンサルティング事業を開始すること等、チャレンジングな目標を立てられています。
中山社長は『長崎の中でもしっかりと「稼げる企業」でありたいと思う。また、自社のビジネスを通じて、子供たちにワクワクするような未来、ワクワクするような長崎を継承できるのであれば経営者としてこれ以上嬉しいことはありません』と将来への思いをお話しいただきました。
幕末期に地方の志士たちが長崎の地に遊学してきたように「世界中の若者が長崎に集う。」そんな時代のゲートウェイにもう一度ここ長崎から。
「進化する老舗」いろはやが今後どのように仕掛け、世界への扉を開くのか、楽しみです。
文責:長崎県産業労働部経営支援課
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