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【DX企業紹介15】アドミン ~DXによって長崎を元気に~

人口減少、高齢化、気候変動、パンデミック、AIの台頭など人々を取り巻く環境が大きくかつ急激に変化する現代において、どの企業もDX(デジタル・トランスフォーメーション)は喫緊の課題となっています。
そんな中長崎県では、2021年度から「サービス産業経営体質強化事業」を実施しています。これはDXに挑戦する県内企業に外部専門家を派遣して伴走支援する事業で、事業2年目となる今年度は株式会社日本総合研究所の協力の元、県内企業14社のDXを推進しています。
2023年3月23日には代表企業に登壇いただき、2年間にわたるDX挑戦の成果を長崎県DXフォーラム(zoom)の中で発表することとなりました。

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フォーラム開催までに、昨年度に引き続き各企業がどのような「DXへの挑戦」をしているかご紹介していきます!


企業紹介15社目は、長崎市出島を拠点に活動する「サイバー企業」株式会社アドミンです。

3次元シミュレーションによる可能性

 株式会社アドミンは、2009年に創業し、長崎市出島を拠点として、システムインテグレーション事業を中心に展開しています。事業内容は幅広く、システム・ウェブサイト構築のほか、メタバースソリューション事業にも進出し、メタバース本社を建設しました。また、2020年7月には、「サイバー企業」として事業転換を行い、全国に先駆けてオフィスレス・完全テレワーク、キャッシュレス、ペーパーレス、RPA導入等と先進的な取組を実施しています。
 現在、アドミンは3次元シミュレータの開発を進めています。この3次元シミュレータとは、3DCADでの設計物を基に、各種パーツをCGで再現し、これらを仮想空間にロードし動作検証を行うソフトウェアです。3次元シミュレータには物理エンジンが搭載されており、質量・速度・摩擦・風等の環境を再現しシミュレートすることが可能です。通信やデータベースのプログラムはそのまま実機でも使用できます。山口社長は、「3次元シミュレータを活用することにより、開発スピードの向上やPR効果を期待できる」と話します。

開発中の3次元シミュレータ動作イメージ

 山口社長は、著書「DXを成功させるサイバー企業戦略」において、次のように語っています。「今後、人口が減っていく日本では、DXによる変革を避けることはできません。現状維持は後退と同じ。どんな時代でも生き残れる『強い会社』を造るには、テクノロジーを駆使して企業を抜本的に再構築することが必要です。」
 アドミンは、創業の地である出島から、長崎県内企業のDXを推進すべく、動き出しています。その一環として、この3次元シミュレータを活用し、県内製造業の自動化支援に乗り出しました。

ロボットメーカーとのコラボレーション

 長崎県は広大な海域を有しており、漁業生産量は全国2位、漁獲できる魚種は全国1位を誇っています[1]。水産加工業も盛んで、特にかまぼこやさつま揚げ、ちくわといった練り物製品は、県の名産品となっています。一方で、こうした加工品工場において、生産工程の自動化を進めている企業事例は少なく、多くの工場が人手に頼っているのが現状です。少子高齢化で労働人口が減少していく中、人手を確保することは年々困難になっており、自動化のニーズが高まっています。山口社長は、「生産工程の自動化によって、県内企業の生産性向上、ひいては、県内企業の競争力強化に貢献していきたい」と熱く語ります。

 アドミンは、3次元シミュレータの実機となるロボットを探し、エプソン販売と協業することを決めました。エプソン販売が展開する産業用水平多関節(スカラ)ロボットは、2011年以来世界シェアNo.1[2]の実績を保持しており、スペースが限られた場所での単純な箱詰め梱包やバラ積み作業など、今まで自動化をためらっていた領域でのニーズにも対応可能とのことです[3]。さらに、エプソン販売は、一般社団法人日本惣菜協会および協力企業による推進チームの一員として、「惣菜製造ロボットシステム」開発に参画し、加工食品工場での稼働を想定した、惣菜の多品種少量生産の自動化に向けた活動を進めています。このロボットを活用することで、例えばポテトサラダ等の粘着性の高い不定形な食材も定量把持し、高速にきれいな盛り付けが可能とのことです。また別の取り組みでは、既に、京都の有名菓子メーカーとの協業実績もありました。山口社長は、このスカラロボットが、県内食品加工工場の自動化に最適だと判断しました。

長崎県内食品企業の自動化支援


 山口社長は、エプソン販売と共に、長崎県内の食品企業へのヒアリングを開始しました。練り物が主力商品の水産加工企業は、コロナ禍の影響もあり、以前と比べて外国人労働者を募集しづらく、自動化の必要性を感じていました。この企業は、原料加工→成型機投入→加熱処理→冷却→検査→梱包前処理→梱包・包装といった一連の製造工程において、梱包前処理工程に1ラインあたり3人を配置していました。ここにスカラロボットを導入することで、自動化できないかと検討を進めています。
 また、たらこが主力商品の水産加工企業においても、人手不足の課題を抱えていました。この企業の製造工程は、冷凍された原料たらこの仕入れ、解凍→選別→不純物除去→検査→番重並べ→調理工程→梱包・包装といった流れです。番重並べを自動化できれば、作業員は選別から検査工程に集中でき、工数を削減できる可能性を感じました。そして、主力のたらこは軟体物であるため、把持が難しいとされてきましたが、エプソン販売に加え、装置構想・設計を手掛ける装置メーカーとの協業により、この難課題にチャレンジしています。現在も、実際の工場での導入に向けた取り組みが進められています。

県内企業の競争力向上を目指して

 県内企業へのヒアリングを通じて、山口社長は、自動化に向けた確かな手ごたえを感じていました。山口社長は、「当社の3次元シミュレータを活用することで、スカラロボットの導入スピードを早め、県内の食品企業がよりスムーズに自動化を進められるよう、貢献していきたい」と話します。長崎県のDXを加速させ、県内企業の競争力を高めていくべく、アドミンの挑戦は続きます。

代表取締役 山口知宏氏

 アドミンは、2023年3月23日に開催される「長崎DXフォーラム Vol.2」に登壇し、次世代の稼ぐ力の獲得に向けたDX挑戦ストーリーを熱く語っていただきます。是非ご視聴ください。

[1]http://www.nsgyoren.jf-net.ne.jp/hauloffish/

[2]産業用スカラロボットの2011~2021の数量ベース出荷実績において(株式会社富士経済『2012~2022ワールドワイドロボット市場の現状と将来展望』調べ)

[3]https://www.epson.jp/osirase/2022/220228.htm


長崎県DXフォーラム(zoom)開催!

日時:2023年3月23日(木)18:30~19:30
参加費:無料
参加方法:オンライン(zoom)
登壇者:長崎県内のDX推進事業者3社程度
ご参加対象者:DXに興味がある方、
中小企業のデジタル活用に興味がある方、
長崎の未来を盛り上げていきたい方

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文責:株式会社日本総合研究所 中村美穂


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