それはないでしょ、川渕さん!…俊輔ファン、やるせないよ。
記事の初公開日:2007年 03月 27日
亀田に完敗…川淵氏「期待外れ」
欧州組の中村(セルティック)、高原(フランクフルト)が出場したペルー戦の視聴率が13・7%に終わり、日本サッカー協会の川淵三郎キャプテン(70)は「15%は超えるかなと期待していたので少し期待外れ」と話した。
視聴率でフィギュアスケートに完敗し、亀田のノンタイトル戦にも及ばなかったとあって、「お客さんの心をつかむような試合をしないと。視聴率は自動的に上がらないと知ることで、選手には頑張ってほしい。ファンは正直」と魅力あるサッカーの必要性を訴えた。(スポーツニッポン配信より抜粋)
ペルー戦の視聴率が伸び悩んだのも選手のせいですか?
それはないでしょう、川渕さん。それでは、あまりに選手たちかわいそうです。
中村、高原召集のニュースが出る前までは、恐ろしいほど売れ残っていたチケットが、彼らが来てくれる事でほぼ売り切れ、6万人以上の入りになった。この2人に感謝こそすれ、期待はずれはないでしょう。
視聴率が伸び悩む原因は、そのほかのところにあるのは明白ではないですか。
1、地上波で日常的に放映されないJリーグ。中村俊輔のチャンピオンズリーグ活躍もニュースにできない放送権の問題。
・以前のようにJリーグの試合がなかなか地上波で見られない。土・日の午後、どのチャンネルでもサッカーが放映されていない現実。Jリーグチームを地元に持っているところは地元民放で放映されているようだけれど、Jのチームがないところでは見られない。夜NHKBSでやるかなと思っていてもNHKでもない。(25日のナビスコ杯はどこでも1試合も見られなかった)
これでは、一般の人たちに、サッカー文化は普及しないでしょう。
サッカー見たければ、スカパーやWOWWOWの有料チャンネル契約しなければならない。
いつのまにか、サッカーがコアなファンだけのものになってしまっているのです。
川渕さんは、各県にサッカーチームを増やし、サッカー文化を根付かせるつもりらしいが、JFLにもあがれないチームを有する県の人間は、Jリーグを見る権利はないのでしょうか。トップチームのプレーを見ることで子どもや下部チームも成長するのではないかなあ。
・中村俊輔は、現時点で日本を代表するプレーヤーの一人。彼が、W杯以上の戦いといわれる欧州チャンピオンズリーグで活躍したことを知っている一般人の少ないこと。
折角フジテレビが放映権を取ったのに、有料チャンネルと一部地域しかみられない地上波での放映。さらに、他のTV局では世界的なフリーキックのシーンすら放映しない?できない?放送局同士の身内の決め事だったのか。
日本人でも世界に通用するプレーヤーがいることを知らないのは日本人だけという状況になっているのは、いいことだろうか。
少なくとも、彼のチャンピオンズリーグでの活躍が普通に放映されていれば、日本人はどれだけ元気をもらえてたことか、日本人もすごいじゃん!と、また期待してみてくれただろう。それだけで、ペルー戦の視聴率は10%はあがっていたでしょう。
マリーアントワネットが「パンがないならお菓子を食べればいいのに」と言ったように、川渕さんは「サッカー見たければ、スカパーに入ればいいのに」と思っているのでしょうか。お金持ち組織になってしまって、一般人とかけ離れてきている協会。人々が離れるのは当たり前ではないですか。
2、スターを嫌う監督
・プロスポーツにスターがいるのは当たり前です。
そのスター選手が人気におごってプレーの手を抜いたり、勝手なことをするならともかく、中村俊輔をはじめ、今欧州にいる国民的に知られたスター選手たちは、人一倍ストイックに精進して今の位置を築いているプレーヤーたち。そんな選手たちをリスペクトすることなく、国内の選手のモチベーションの邪魔になるから特別扱いしないというのは、おかしいでしょう。
特別扱いされる選手が妬ましかったらその位置に自分が座るためにがんばるのがプロスポーツ。
今のオシム監督の国内組の育成は甘やかしにしか見えない。スター選手も同じに扱うと言って国内組を甘やかすから、半年たっても土台すらできていない状況。反して、海外でもまれるスター選手たちはどんどん成長していっている。成長している選手が出来上がっていないチームにあわせることは、普通ありえないことでしょう。上が下にあわせてあげてプレーしたから、今度のペルー戦の得点になったわけで、それを、自分の考えるシステムにあっていないというのは監督の側の甘えでしょう。
・2点をアシストした中村への苦言。普通の感覚からすれば、「得点の起点になってくれた。感謝したい」というのが礼儀であり人間として当たり前のこと。欧州のどの名監督でも自分のチームの選手をマスコミに向って悪くいわない。
本人のさらなる成長をうながすなら、直接本人に分かりやすい言葉で言えばいいこと。
今回の召集で、中村俊輔選手は、気持ちのいい思いでスコットランドに帰ることができるだろうか。選手のモチベーションを下げるような発言は、傍で聞いていても気持ちが良くない。
一般の人はストレートに喜び、ストレートに応援したいのだ。
W杯の惨敗から、不死鳥のように蘇った中村と高原。
そんなドラマティックな仕掛けをしていれば視聴率はさらに上がったでしょう。それで、有頂天になるような2人ではないし、それでやっかむような国内の代表ではない。
・第一、監督だけがリスペクトされるような代表チームが世界中のどこにある?
選手あっての代表というスタンスに立ち戻ってほしい。選手は子どもではないのだ、過保護も過干渉も不要。監督が選手に伝えることは彼らをプレーヤーとして尊敬しているよと伝えることだろう。そのような扱いをされれば、誰だって発奮するものだ。
さらに、ファンや一般の人たちも、そのようにお互いを信じあっているおとなのチームを見たいのだ。
3、スターは絶対必要
・一般の人たちを取り込むにはスターが必要なのは分かりきったこと。
これまでのスター選手の多くが海外にいるのなら、彼らの活躍をもっと一般に知らせるようような努力をすることだろう。
彼らを召集しにくいのであれば、親善試合を欧州でやればいい。アウエーでの試合を多く経験することが、今の国内組には一番大事ではないかな。その試合をTV放映することも一つの方法だろう。人々は、早く欧州組が一同に会する日本代表を見たいのだ。場所はどこでもいい。対戦相手が欧州代表であればさらに盛り上がる。
毎日、イチロー、松井、松坂、井川たちのことがTVで流れるのに、中村も高原も、松井も中田も、稲本もどこにいるのか知らないのが一般の人たちの現状だ。
中田が去ったあと、スターのポジションを継ぐのは、それらの選手であることが現実なのであれば、彼らをさらに輝かせることで、次のスターの誕生までをつなぐべきだろう。国内組はまだまだローカルヒーロー段階なのだから。
ジーコジャパンをなかったものとしてリセットし、オシムをスターに祭り上げた協会と川渕さんの弱腰が視聴率低下を招いたことだと断言したいくらい。
それを差し置いて、どの面さげて、プレーが悪い、魅力的なサッカーじゃないから視聴率がとれなかったとまで言うのか。その厚顔にあきれるばかり。
一般の人は(まあ、私の周辺、母や女友達や、同僚たちだけど)、俊輔のフリーキックに酔いしれ、巻のゴールに喜び、高原のシュートに驚いて、勝ったことを喜んでいるのだ。
こんなシンプルな感動に水を差すような監督のメッセージに、戸惑っているんだよ。
「2点もアシストしたのに、なんで文句をいわれなければいけないの?中村は」という疑問が一般の人の素直な感覚なんですよ。
日本のサッカーは、一般の人に向けてあるのか、コアなファンや専門家に向けて存在しようとしているのか、それとも、ビジネスとしてのみ存在しようとしているのか、川渕さんに聞きたいものです。