家長くん、遅刻したらあやまろうよ、ねっ!(2007/4/13)
記事の初公開日:2007年 04月 13日
最近、野球ファンがうらやましい。
毎日普通に地上波で放映されているし、松坂だの松井だのイチローだのと、スター選手の海外でのプレーを普通に地上波で見ることができる。
ファンは、無邪気にスター選手の活躍を喜び、スター選手のメディア露出はあたりまえのことだと受け入れている。
国内にも新しいスター予備軍が出てきた。「マー君」はまだまだ未知数だが、チーム、マスコミ、ファンが一緒になって、名実伴ったスターに仕立てようとし、マー君も素直にそうなろうと努力している。TV観戦する人とスタジアムで観戦する人の間に差別はなく、日常の共通の話題になっている。日本人の日常にはやっぱり野球があるんだなあとうらやましい。
ヨーロッパのサッカーは、きっとそんなものなんだろう。
日本のサッカーでは、代表監督さんのスター選手嫌い、マスコミいじめもあって、全国的な人気と盛り上がりでは野球に大きく水をあけられちゃった感がある。
プロスポーツにはスター選手は必須だ。
スターというのは、得てして万能ではなく、雰囲気だったり、一芸に秀でたりする不思議なものを持ち合わせている存在だ。すばらしい曲を作るのに歌が下手なボブ・ディラン、歌も演技も並程度、背も高くないがルックスと雰囲気で永遠のスター木村拓哉、あら、それはスポーツ選手じゃないか、勝ち負けよりプレーを見たいロナウジーニョ、ハゲでもセクシーだぞ、ジダン…。
スターというのは未完成の魅力。不安定な魅力。
そして、マスコミが売れる選手のことを書くのはあたりまえ。
最近、オシムの言葉もあってか、盲目的にマスコミを批判する人がいたりするが、彼らが書いてくれなくなったら、今でもスポーツ新聞のトップ記事になれないサッカーの情報はさらに少なくなっていくのだ。マスコミに対して、何を書け、何を書くなと圧力をかけることは越権行為だし、オシム監督が本気で俊輔ばかりでなく、他の若手選手ことも書いて欲しいと願うのなら、会見で記者を小ばかにするのではなく、きちんとお願いすべきこと。ましてや、マスコミが気付かない、書きたいと思わない選手たちのことも書けというのなら、ニュースリリースの1枚くらい作って渡すのが社会の常識。それを、書かないお前たちが能力が低いと言わんばかりのまくし立てでは、マスコミも鼻白らんだだろう。
ただ、マスコミにも、お願いしたいことがある。
願わくば、常識的な視点で選手を見て欲しいということだ。
ここからが、タイトルの家長くんの話になるんだけど、今朝のYAHOOニュースに、家長くんの遅刻の記事が複数社で書かれていた。
そのタイトルを見て、ちょっとびっくり。
1.さすが大物?家長遅刻にも平然
2.家長、ドタバタ合流…渋滞巻き込まれホテル間違う
1と2じゃあ、家長君の人間性はずいぶん違ったものになる。
1の記者さんは、遅刻は些細なことで、それくらいでオロオロしないのは大物と誉めているのだろうが、一般常識から見ると、家長くんは非常識な男になる。40分も遅刻してオロオロしない若者なんて、普通の社会では通用しない愚か者。
2.では、家長くん、ちょっと危機管理能力が劣っていますね、さらに案外あわてんぼう。反省して今度から遅刻しないでね、という視点で読むことができる。
1を書いた記者さんも家長くんを誉めたつもりだったのだろうが、記者さんの常識が一般の常識とかけはなれていたため、結果、家長くんは、ふてぶてしい愚か者になってしまうのだ。
ただ、とても気になったのは、どちらの記事にも、40分も遅刻した家長くんが「自分の不注意でみんなを待たせて申し訳なかった」と謝罪したと書かれていなかったところ。
「失態を犯したら、言い訳よりもまず謝罪から」というのが、社会での礼儀。
家長くんは、もちろんあやまったが、記事にならなかったのかもしれない。
そんなときには、記者さんときちんと話し合って、自分の大事にしている部分を理解したもらい、今後の信頼関係を築いていったもらいたい。
マスコミ批判は大事だが、その後に、きちんとお互いに直しあって相互理解の道を求めないと、おかしなことになってくる。
家長くんが、俊輔や小野くんたちに続くスターに成長してくれるためにも、マスコミとは緊張感のある信頼関係を築いて欲しいし、ファンは、どちらにも公平な視点であたりたいと思う。