遊牧民は定住の夢を見る
さて。
唐突ですが、引っ越すことにしました。
お家大好き人間の移動生活ライフ
私のライフスタイルをご存知の方はうっすらお分かりかと思うが、家での手仕事とリビングのソファをこよなく愛するお家大好き人間のわりには、やたらに移動が多い。
去年までは、4拠点+出張先を行き来する生活をしていたこともあり、「いつもどこにいるかわからない」と言われていた。
そのたびに「どこにでもいるよ」と分身スキルを備えた青山テルマバリに返すのがお決まりになっていた。
実態は移動しても滞在場所が変わるだけで、平日は基本的に家で仕事をしたり、ソファに転がっているだけの引きこもり生活である。
そのくせに「移動が多い=ふらふらしている人間」と社会からみなされているような気もしてよろしくないような。
実のところ、呼ばれた場所に住むスタイルでいたら家が増えた…というのが正しいので、多拠点を自分のアイデンティティにしていたつもりはないのだが、「はやく定住したいんだよね~」というたびに人から驚かれていた。
たしかに数日で別の家に行くのは、定住意思のある人間の暮らし方ではまったくないのよ。痩せたいというわりにポテトチップスを食べているとか、そんな感じに思われていることだろう。遊牧民すらもう少し長めにいるのではないか。
家を減らす
「理想の暮らしに近づくために定住したい…!」
「定住するためにはまずは家を減らさねば…!!」という思考回路から4拠点あった家を1つずつ減らし、千葉にカムバックしたのが去年のちょうど8月。 定住のためのステップその一が【家を減らす】からはじまる謎。
ほどよく千葉暮らしでたまに鳥取に3週間くらい滞在するという生活に落ち着き、手仕事ライフもそこそこ楽しむ余裕がでてきた。
しかし仮住まいというには長くなりすぎてしまったし、マリンスタジアムにたくさん行けて楽しいけれど、そろそろ引っ越したい(というか、友達と住みたい)と思っていたこの頃。
家あるいはビオトープを作る
これまでの4年弱でいくつかのシェアハウスに住み、管理人をやったりもしてきた。
その結果、思うようになったのは、いつかは自分で家をつくったほうがいいということ。
以前から友人と暮らすための手段として「家族の拡張」について考えてきたわたしにとって、シェアハウスに住む前から小さな村や長屋のようなイメージで生活を気のおけない友人たちと暮らしを分け合う構想はつねに頭の片隅にあって、今までは生活を模索しながらもそういった形を試行錯誤する期間でもあったように思う。
シェアハウスはどの家にもオーナーあるいは管理人がいて、その人を中心としたコミュニティが生まれている。(もちろんそれ以外のつながりも大規模になればなるほど増えていくが、基本的にはオーナーの色が濃くなる)
結局のところ、いくら座敷わらしを自称する能力をもってして場に馴染んだからといって中心人物のコミュニティに依存する部分があることは否めないと感じていたし、安心感のある居場所をもとめる自分だからこそ、そういう場が関係の棄損などで失われることを避けたいのかもしれないと考えると、自らオーナーシップをとって生活の共同体づくり(あるいは家族づくり)をやっていったほうがいいと感じていたのです。
甲府の家での友人たちとの暮らしも楽しかったのでね。
(コミュニティづくりがやりたいわけでも、中心にいたいわけでもないので、ビオトープをつくってそこにできた生態系を見ていたいだけかもしれない)
というわけで、いずれ自分で住む家をととのえるだろうというか、むしろそれをやったほうがいいとは思い続けていたのですが。
マッチングアプリ始めた記事にも書いたように、「君はもうシェアハウスをつくってそれを面白がる人と暮らしたほうがええんちゃうか(意訳)」とメンターN氏に言われ、「(そうかもしれんなぁ)」と思ってはいたし、今年中にはシェアハウス作るぞ!という意気込みだけはあったので、ついにか~という感じです。
というわけで、「すこし田舎に家を作って友達と暮らしている独身女」という、より楽しそうで一層結婚できなさそうなステータスを手に入れてしまいそうで一抹どころか百抹くらいの不安がありますが、それでプロジェクトパートナーができなかったとしても、やりたい暮らしは手に入れられるので、それだけでも十分成功ではないか。ということに相成りました。
住むこと、変わること
さて、次に住む家は、海辺の家です。
夏の暑さに弱く、毎年生きるのが精いっぱいなので、「暑くてもう無理だ」という気持ちで溶けながら迎えた8月。
あんなに暑くて長かった日々を乗り越えてきたのにまだ8月なのかという絶望から、「涼しい場所に住もう!」と思い、全国で涼しい場所をリサーチ比較検討してその街の物件をジモティーで探し、翌週には内見に行き、5日でお家が決まりました。
相変わらず行動力のはやさだけは取り柄。
なんにもない普通の家に住むのは初めてなので新鮮です。本音を言えば5~6人住めそうな大きめハウスがよいけど、キッチンが広いかわいい家。ロフトつくるか…ドミトリーつくるかとか迷っています。
これまで住む場所といえば、声を掛けられた先に決めていたのではじめて自分で探して住む場所を選んだとも言える…。ある意味これも変化。
それから、気持ちも変化。
自分のなかにある長年染み付いた思い込み、これはしてはいけないという自己規制、自分で決めたマイルールや無意識のうちにとらわれていた慣習。
それらから離れるのも、屈伸しているうちに気がつけば起きているなぁという最近。
「一人では移住できない」とか「パートナー選びが人生に絶大な影響を及ぼす」とか「プロジェクトを一緒に運営したい」とか、それも一理あるけどまあとらわれなくていいし、人に委ねないでやっていこ、というマインドになった。より軽やかになれてしまう。いい感じです。
住む場所は大事だけどどこでも楽しい、のでこんなに軽く決めてしまっていいのかとおもう反面、これくらいの軽やかさでいたいとも願っているし、家を作ったからといって相変わらず移動はしている未来しか見えないですが。
一人でいる時間が大切で、だけど人ともいっしょにいる。そんな人たちと住むのが楽しみ。
DIYし放題ハウスなので、ぜひ遊びがてらお手伝いしにきてください。あと、最低限住むのに冷蔵庫しか必要なものが出てこなかったのでこれはやっておけ、みたいなことがあれば教えてください。