海外ドラマ「HANNIBAL」レビュー 彼を中心に世界は動く
シーズン3完結まで視聴して、精神療法の可能性と、その恐ろしさを通して、ハンニバル・レクターという人間を紐解く作品だと感じました。
ハンニバル・レクターの恐ろしさは、食人鬼の面だけでなく、完全無欠の残忍な犯行を重ねていく一方で、周囲の人間から信頼を獲得し、他人の脳や心に介入し、思考を誘導できる力にあります。
とりわけ、彼に愛された者たちは、その内に潜む狂気や殺意を炙り出されてしまいます。そして、まるで彼の期待に応えるように行動していくのです。
全てが、レクター博士の思うがまま。食卓を彩る人肉だけでなく、気づかぬ間に、誰もが、彼を楽しませるための犠牲者となるのです。
芸術的な死体の造形や料理、映像美をはじめ、名優たちの名演技に魅了されるのも、この作品の醍醐味です。
言い方を変えれば、この作品を見て、残虐な行為に対して美を感じ、登場人物が狂気に沈んでいく姿を見て興奮するのです。
そうした体験は、エンタメを通してでしか味わいたくないものですが、それで、楽しむ自分がいるとわかると、なんだか落ち着かなくなるのはなぜでしょうか?
突如として教会の天井が落下し、祈りを捧げていた信者たちが下敷きになった。その時、神は?
この質問に答えたハンニバルの台詞が、もしかすると、私の問いの答えなのかもしれません。
いやほんと、それにしても…
博士んち、なんでみんな勝手に上がってこれるの?
みんな、チルトンきらいすぎん?
毎日凄惨な死体見てると死生観バグってくるの?
制作陣のメンタルケア大丈夫なのか…?
なんでキーパーソンがみんな女性なの?
馬ー?!蜂ー?!豚ー?!
デュ・モーリア先生…スキです
そして、ウィル…彼なくして、このハンニバル・レクターは完成されなかったでしょう。
全ては、あのクライマックスを描くための前菜だったと、信じてやみません。が、続編の可能性があるのなら、全力で応援したいです。