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#小説
【小説】その永久機関
エナジーが視認できる種族がいるというのは、御伽噺で聞いたくらいに思っていた。本来、目というものは受動的な機能を持っている。光を受けることで、物理的なものが見えるようになる。
何か特殊なエナジーを受けることで開眼するのかもしれない。
レーザービームの嵐をかいくぐって目前を飛んでいく戦闘機のパイロットには、そのレーザーの軌道を少しだけ早く認識することができる。だから避けられる、そういった理屈
【小説】エイリアン in ダ・ガーデン
それは轟音とともにうちの庭へやって来た。
「は? いやいや、エイリアン?」
「そうです、殺しにきました」
「勘弁してください」
未確認飛行物体が確認できたところで着陸したと思ったら中から足のたくさんあるタコっぽい怪物が出て来て、流石に挨拶するのもあれだったから「は?」とか言っちゃったけれどこれ詰んだんじゃないの。
「ちなみにどこから来たんですか?」
「銀河を三つくらい超えてきました」
誰か嘘
【読切】【掌編小説】書斎のギフト
これは僕が初めて爺さんの書斎に入ったときのお話。
うちの両親と違って爺さんは投資による資産家だった。僕の父は大手のIT系企業勤務で、母は専業主婦だ。今でこそ珍しいが、六歳の僕は母の愛情をたっぷり受けて育っていた。
立派な木造の洋館の三階にそこはあった。母には「おじいちゃんの大切な本ばかり置いてあるから入ってはいけないよ」と何度も言われていた。僕は今でもわりと素直で、その言いつけを守っていた。
短編小説:『高校生探偵団(仮)』
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この子はもしかしたら口から生まれたんじゃないかしら、なんて小学生になってすぐに担任の先生に言われて、僕の母親はこう返した。
「将来は落語家か、詐欺師かもしれませんね」
生憎だけれどもちろん僕はどちらにもなるつもりなんて全くなくて、この十五年間で描いた将来の地図はこうだった。
この世のすべての人を幸福にする。
自分でも馬鹿で馬鹿でかい風呂敷を広げてしまったなと思っているんだけれど、