決して開けてはならない...ナルシシストの”パンドラの箱”
ナルシシスト/自己愛者は、高学歴であったり、一流企業に努めたり、仕事が良くできて出世頭だったりと、いわゆるエリートと呼ばれる男性が多いというデータがあります。
これは、
もともとモラハラ気質のある人=頭がいい、
ということではないと私は思っています。
己を取り巻く環境で変わってしまうタイプの人がいる、のだと私は思っています。
パートナーからモラハラを受けたクライアント様の中にもこんな人がいました。
彼は、私立トップの大学を卒業し、某有名な会社に入社。
そして、その後は仕事で結果を出し、同期の中でも一番の出世頭となり、羨望の的で、女性からもチヤホヤされていたようです。
彼もまた、多くのモラハラ加害者の例外ではなく、会社では『とても良い人』でした。
そう、ナルシシスト/自己愛者は、極めて、素晴らしい自分を演出します。
つまり、『擬態能力』が高いのです。
でも、言えることがあります。
チヤホヤともてはやされ、どんどん結果を出し、自信をつき、
そして年齢を重ねると、誰も自分に歯向かう人などいなくなります。
そうなると、表面では謙虚な人間を演じていても、肥大した自己愛がシャドウとなることは多々あるのです。
<ペルソナとシャドウについてはこちらの記事を>
モラハラというのは、自己愛性パーソナリティーを併せ持っていることが多いわけですが、
この自己愛性パーソナリティーというのは、「肥大した自己愛」を抱えているというものです。
<肥大した自己愛についての記事はこちら>
エリートで、しかも、仕事ができて出世頭で、そして周りから称賛され、尊敬される環境に身を置き続ける中で、
『自分は特別だ』という全能感(万能感)に囚われ、自己愛が肥大していくこともあります。
表向きはいい人を演じ続けなければならないので、
自己愛がどんどん肥大していくと、どうなるか?
それはシャドウとなります。
溜まったシャドウは、どこかで吐き出してバランスを取ることになります。
それが、パートナーへの攻撃になったりすることはよくある話です。
自尊心が肥大化すると、パートナーとのちょっとしたことで自身のプライドをズタズタにされたかのように酷く傷つき、
オマエはこのオレを傷つけた!
オマエはこんな素晴らしいオレに対して意見するのか?!
オマエはこのオレ様に対等に口を聞くのか?
といったふうに、モラハラ男に変わってしまうことも起こりうる話なのです。
人というものは、自分が素晴らしい人間だと思うようになればなるほど、
一瞬にして砕け散る薄いガラスのような脆さを抱えるようになります。
自己愛性パーソナリティーは、先天的と後天的であるという説がありますが、
先天的とされているカーンバーグの説によっても、もともと持っている気質的要因に環境的要因が影響し、人格が形成されていくとされているので、
後天的な環境的要因が自己愛性パーソナリティーを形成していくというのは間違いないでしょう。
周りから称賛され、尊敬されていくうちに、
称賛されるべき自分
尊敬されるべき自分
人格者であるべき自分
尊大であるべき自分
こういった、『素晴らしい自分』というイマージュをどんどん肥大させ、
人が自分に見るイマージュ通りの自分の姿に囚われていくことで、どんどん自分の中の『人に見せられない自分』というものを封印していき、
その封印したものは”パンドラの箱”に詰め、絶対に人には見せてはいけない箱として心の中に存在していくのです。
そんなパンドラの箱も、溜まりに溜まれば溢れてくる。
溢れてくるとモラハラのような攻撃をして、バランスをとっているのではないかと私は考えています。
モラハラ加害者は、どんな自分を見せても絶対に離れていかないと確信したパートナーに、
自分のパンドラの箱の中身を投影し、すべて負わせ、そして攻撃することで、自分のパンドラの箱を一掃しているのでしょう。
彼らにとっては、自分を保つためのただの定期的な清掃なのかもしれませんね。
負わせられたくないものを勝手に負わせられ、攻撃される被害者はたまったもんじゃありませんがね。
唯一同情すべき点というのは、モラハラしている張本人も、自分のそのような心に気付いていないということだけ。
無意識であるから、人に負わせていることにも気付いていない。
攻撃していることにも気付いていない。
そして、そんなことをして相手を支配しようとしていることにも気付いていない。
彼らは、本当に何も知らないのだ。
ただ、被害者には、事実として受け入れ難い悲しみだけが残る。
本当は愛して欲しい目の前の女性の自分への愛を、自らぶち壊し、
ずっとそばにいて欲しい人を『支配』というカタチでしか留めることでしか、自分のそばにおいておく方法を知らない人たち。
それだけ、本当の自分の姿を愛される自信が、彼らにはないのかもしれません。
だからこそ、尊大であることを、
尊敬されるべき人間であることを、
立派で素晴らしい人間であることを示すことでしか、均衡を保てないのかも知れませんね。
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