d news aguiスタッフ募集に応募してくださった皆さんへ
変なタイトルですね。笑
実は僕のふるさと、愛知県知多郡阿久比町に「d news agui」という場所を作りました。8月31日締め切りで副店長とパートスタッフを募集しました。
とてもたくさんの方から応募を頂き、今の気持ちを書いてみたくなりました。
これから書くことを読んでほしい人は、実際に応募した人です。これもなんか変ですが、これから一次面接に向けて連絡をする人に読んでもらいたいのです。
11名の方を選ばせて頂きました。選考に落ちてしまった方も、ぜひ、今から書くことを読んで欲しいです。どうして選ばれなかったのかの説明になっていると思います。そして、一次面接に進む11名の皆さんにはぜひ、僕の割と生の、考えや状況などを知ってもらいたく思っています。
採用されてからしばらくは新しいことが日々ありますから、楽しくもあり、他のことを考える余裕もないでしょう。気がついたら1日が終わっていた、なんて感じだと思います。
2ヶ月くらい経つと、だんだん慣れてきて、疑問やどちらかというとやりたくないことも出てくるでしょう。苦手なことも。半年も経つと大体は前の職場などと比べたり、友人に話したりしているうちに、皆さんの頭の中で「このままやっていくのか」ということも浮かび出すと思います。つまり、「仕事とは、どこでも一緒」なのです。
開場は12時。僕はここで「営業」という言葉をあえて使いません。あくまで「場」「場所」なのです。「商売」はしていますが、「店」という意識はかなり少ないです。とはいえ「店」です。笑 ここがよく勘違いされるところかもしれません。例えば、ある日は「売上はどうでもいい」というかもしれませんが、次の日は「このままでは赤字だから頑張ろう」と言う。理想は「理想を追求した結果、売上がついてくる」のが一番です。しかし、「お客さん」はそんなに簡単なものではないことは「店」をやるとよくわかります。「dは人気店だから儲かっているはず」と、もしかしたら思っている人がいるかもしれませんが、一日の売上が1万円行かないこともよくあります。
しかし、明日はどうなるかわからないし、働く一人一人が作り出す雰囲気や具体的な接客などの印象で、次の来店があるのですから、例えば店に1人しかお客さんがいなかったとしても、その方の印象が1,000人に伝播して、翌日からの1年間、10年間の来店者数に影響をすることをイメージできないと店などやっていても面白くないでしょう。僕はそう思っています。田舎のちっぽけな場所ですが、一流のホテルのようなホスピタリティやサービスをラグジュアリーではない場の中でグッと心の中にしまって働ける人と働きたいです。
例えば、窓が汚かったとしましょう。普通のスタッフなら、見て見ぬふりをするでしょう。これは普通のことです。でも「窓が汚いからみんなで拭きませんか」とか「窓拭きします!!」と言ってくれる人と働きたいです。これも当たり前です。経営者や店長はそういう人がいたら助かるなぁと本当に思っています。でも、できないんです。やらないのです。それが現実です。そこで「窓拭き当番を決める」とか、何か提案し、実際に「仕事」に組み込んだりする提案ができる人と働きたいです。いや、それもできないでしょう。ならば「窓、汚くないですか?」と、言える人でもいいかもしれません。そう言ったことで「じゃ、拭いといて」と返ってくるかもしれませんが、それでも言ってくれる人と働きたいです。「ナガオカさんはここを、私はここを拭きますから一緒にやりましょう」がいいかな。笑
とにかく僕は「前に進めてくれる人」が好きです。普通の人は言っているだけでやりません。それが普通です。でも、会社や店はどんなに経営者が優秀でもそこで働くすべての人が「前をむく」ことがなければよくなっていきません。よくなって行かないということは、お客さんが来なくなり、店が資金的に回らなくなり、皆さんの給与が払えない状態に陥ります。それでは困りますよね。
前に進める力は、学びで獲得できます。これは慣れです。ただし、日頃から怠けていると、これまた慣れで怠ける体質ができてきます。しかし、これはどんな職場でもあることです。そして、ほとんどの人は自分が伸びないことを会社や上司のせいにします。これは自由です。ただし、あなたの時間にも関わっているのでもったいないことだと思いましょう。
さて、このままグタグタ書いていきますね。
僕は年間100日くらいしか阿久比の皆さんが働く場所に一緒にいれません。他は沖縄、東京、全国出張、中国新店の準備、講演、授業、デザイナーとしての仕事、d全店のクオリティチェックなどをしています。なのでがっつり阿久比店で働ける人、任せられる人を探しています。僕や仲間が"常に相談できる"人をです。なので基本は町に出て商品を開発するとかは少なく(もちろんそういうこともあります)常に店にいてくれる人。あなたをたどって阿久比にきてくれる、そんな店主のような人を募集しています。
現在は火、水、木曜日の3日間を定休日として、金から月曜日を営業しています。理想は火曜定休日のみ週6日営業です。ではなぜ、それをやっていないかというと、現在のスタッフ状況でそうなっています。現在の店長をお願いしている人は他の会社数社と兼務していて、週3日間だけの契約です。週3日以外は他の店のことをやっているわけですから、どんなに優秀でも限界があります。
僕は他のこともやっていますが、頭の中は95パーセントをdのことで占めています。なので24時間とは言いませんが、ずっとdという場所のことを考えています。定休日や労働時間外(特に深夜)などに、待ちきれなくてショートメールなどでスタッフに連絡をしてしまうことがあります。これはいけません。いけないことだとはわかっているのですが、一緒に前に進める仲間として共有しておきたく送ってしまうことがあります。もちろん社会人としてわきまえています。ただ、こういうモードでじゃないと成し得ないことをしているという意識です。とはいえ気をつけます。(反省)
dは社会に対して「新しいものを作ったり、買ったりする前に、今あるものを見直しましせんか?」という「ロングライフデザイン」をテーマとするストアスタイルの活動体です。なので「会社や店(場所)」の中のことは「社会」を観察しながら作って行かなくてはなりません。そういう意味で、お客さんはとても大切なパートナーです。
さて、一日の仕事を書いてみます。
まず12時開場に向けて11時から掃除です。スタッフは通常は2人で、大きく「売り場」と「カフェ」に分かれます。アルバイトの方に「カフェ」を、社員の方に「売り場」をお願いしています。体を動かすという意味では、もしかしたら「カフェ」の方が大変かもしれません。
閉場した時に商品にかけた埃よけのシートを外し、床に掃除機をかけ、商品を整え、雑巾で拭き、窓も拭きます。カフェでは土日ではランチのためにおいなりさんを作ります。お米を炊き、酢飯を作る。前日に仕込んだ油揚げに一つ一つグラムを計り作っていきます。アイスコーヒーを仕込み、お客さんに出すおしぼりを一つ一つアロマとお湯でつけて絞り、包んでいきます。開場中によくこれがなくなるので、1日の人数を予想して作ります。カフェは正直、全く儲かりません。そしてお客さんが来れば来るほど人手が必要になり、「売り場」のスタッフが手伝いにいきます。そういう仕事も頻繁にあります。コーヒーは半田のマメドイさんのを一杯づつハンドドリップします。今はお水もおしぼりもセルフで持って行ってもらっていますが、昔はフロアに出てお出ししていました。
お客さんの中にはハンドドリップなどしなくてもいいから安くて早く出てきた方がいいという方もいます。しかし、私たちの目的は「阿久比の文化度を上げる」ですから、丁寧で上質なものをカジュアルに提供して、場所のクオリティを感じてもらうことが出発点です。町の中にはカフェがたくさんあります。そんな中で「d newsに行こう」と思ってもらう背景には「あそこの方がちょっとかっこいい」とか「あそこはいろんな町の情報がスタッフから聞ける」とか、そういう場所を目指したいと思っています。
「売り場」では洋服コーナーを整え、食品コーナーを整え、配置を変えてみたりポスターを貼ってみたりします。音楽はLPをかけています。ナガオカが持ち込んだJAZZが中心ですが、知多出身のアンサリーさんの曲をよくかけます。店内音楽はdは基本的には禁止していますが、ここは新しいプロジェクトということもあり、「LPをかけていい音も楽しんでもらう」ことにしています。ここにも「文化度を上げる」意識があります。金庫からお金を出し、レジへ。とにかく細かい仕事を開場時間の中でやっていきます。
ナガオカを中心に店内イベント企画を作っていきますが、大抵、立案したナガオカはその後、東京か沖縄かどこかに行ってしまいます。その後は東京本社と東京デザインチームと連絡を取り合いながら、チラシを作ったり商品を決めたりします。とにかく遂行する。そこには「報告、連絡、相談」は必須です。当然「自分流」というのはチームの流れを乱すので、自分流を発揮したい方はdには向かないと思います。私たちは私たちが主役ではなく、d newsで販売している商品を作っている人やお客さん、その人たちが暮らす土地が主役。土地の文化度をあげないと、人は豊かに暮らせず、争いやいざこざが起こり、日常生活が曇って美しいものが作れなくなり、見れなくなります。民藝的な思考ですね。
お昼はまかないを作ります。交代でそれを食べますが、なかなか決まった時間には食べられません。僕は休憩中の事務部屋(1畳くらいの狭さ)で食べている時、外でお客さんの話し声がすると、とにかく早く食べてそこに加わりたくなります。休憩時間はもらっているので、ゆっくり休憩してもいいのですが、開場時間は12時から18時の6時間。その時間の中で「阿久比の文化度を上げる」ことの基本は「対話」です。町のこと、空き家のこと、行政のこと、農作物のこと、ご近所さんのこと、今度企画しているイベントのこと、商品の説明・・・・。そこの対話の質、視点、願いが一人一人の何気ないおしゃべりの中で生まれ、終わります。とにかくそのライブ感のために、床はきれいですあってほしいし、トイレに行ったら清潔な様子になっていてほしい。トイレ掃除も、きれいにすればいいということではなく、「何のためにきれいでないといけないか」をちゃんと考えられるようになっていてほしいです。
ここにトークイベントが割り込むと、椅子を並べたりマイクをセットしたり、ゲストを迎えに行ったりお茶を出したりします。手が足りない時は「チーム愛知」と呼んでいるこの場所の発足メンバーがどこからともなく手伝いに来てくれます。本当に心強い仲間です。集まってきたお客さまの車で駐車場が埋まっていきます。ここの交通整理も立派な仕事です。皆さんもそうだと思いますが「こんなところもしっかりしてる」「こんなこともできない」とお店の様子を感じることはあります。お客さんの眼は厳しいのです。しかし、ここでは「お客さん」「店員」の垣根はなるべく作りたくないので、一人一人のお客さんを半ば「教育」するように対話していくのです。するとお客さん同士でお店のことを考えてくれるようになり、駐車場の交通整理も椅子の片付けも何も言わないうちに手伝ってくれていたりします。こんな状態を目の当たりにすると、とても感動します。一緒にこの場所を作っているなという感動です。声に出して、文字に書いてお願いするのは簡単で失敗がありませんが、お客さんと店員の垣根を外し、一緒に阿久比の文化度に関心を持ってもらう。そこがd news で働く意味です。
とにかく人数が少ないので、いろんなことをやります。そうしていくと自分の中の「自分」が現れてきます。テンパらず、落ち着きを自分から作れる人かどうか。誰かの何かのせいにせず、スタッフ同士で相談しあって遂行できるかどうかの自分。抱え込んで人に言わずに迷惑をかけてしまうかもしれない自分・・・・。スタッフが少ないと、相談相手すらいないので、とはいえ遂行しなくてはならないし、そこに「質」が必要となれば、遂行の方法を自分で編み出すことも必要だと思います。
仕事はこんな感じです。ものを作っているメーカーと違い「商品」を作り出す訳でもなく、毎日わかりやすい売上の手応えがあるわけでもありません。とにかく気の遠くなるような地道なこだわりで、1ミクロンづつ、阿久比の文化度をあげていくことでしかできないことにたどり着くこと。それが町を超え、県を超え、国を超えて響き、日本が豊かな国になるようなイメージを笑われるかもしれませんが、持ってほしいです。そのためのトイレ掃除です。
他にも古書店が付随していますのでそこの管理や、これからゲストルームを開始するのでその予約管理などとにかく掃除し続けながら、上質な場所を作っていくというのが、あなたが履歴書を送ったd news aguiの考えです。
ちょっと話は戻りますが、d newsはどうして作ったのか。なぜD&DEPARTMENTの「愛知店」ではないのか。そのお話を少しします。僕は2000年に「全国の長く続いている素晴らしいものやことがその土地の人たちによって守られ、応用され、より”その土地らしい”状況になっていくことがいいんじゃないか」ということで、D&DEPARTMENTとしてフランチャイズ、直営など展開しています。また、d design travelなどのそうした同じ考えのトラベル誌も発刊しています。なので、まずここで働くスタッフは、ここに関心がないと楽しく働けないと思います。
そんなD&DEPARTMENTは「47都道府県」をテーマに展開し、仲間として連動しあいながら続いています。続かなかった店舗は残念ながら、前記したことよりもお金を重視した結果の退陣だと僕は思っています。もちろん大切な判断ですが、やはり、活動体なのでその活動の真意がお客さんに伝わっていないと来店したり、応援されたりはしないでしょう。そこがとても他の「店」とは違うところでしょう。
さて、d newsは「市町村」をテーマにしたD&DEPARTMENTです。一号店は韓国済州島(JEJU島)にあります。簡単にいうと「人口の少ない土地の魅力を同じルールで掘り起こし紹介し進化させる」です。都会と違い、コミュニケーションも価値観も見ている目線も違います。隣に誰が住んでいるかわからなくても普通という都会ではなく、ご近所さんを大切にしないと土地の住み心地につながっていくので大切という考えがベースにあります。なので、お役所のようであり、観光案内所のようではないと、ここでは働けないと思います。人に案内したい、阿久比を、知多を知ってほしいと思える人にむいています。
長々と書きました。今回の採用で週6日営業に変えていこうと思っています。なので副店長採用者はシフトを組みながら週5日は勤務していただきたいですし、副業はできません。留守がちな僕と連絡を取り合い、アルバイトさん、パートさんと一緒に素晴らしい町にするための場所を作っていきたいです。
パート、アルバイト希望の皆さんには、なるべく応募してくださった方と多く面談したいと思っています。d news aguiに興味を持ってくださったわけですので、友達になりたい気持ちでいます。そして、採用枠があるので不採用となってしまっても、例えば写真撮影のスキルを持っていれば、写真をお願いしたり、デザインのスキルがあり、イラストレーターなどソウトを使える方だとしたら、店舗採用は叶わなくとも、お仕事をお願いしたりしたいです。また、d news aguiは講演会などイベントをよくやります。そんな時に半日だけ手伝って欲しい時、あなたのことを思い出せたらと、勝手ですがd news aguiの活動をこれをご縁に応援していただき、一緒に阿久比を、知多半島を文化的な土地に進化させていけたらと願っています。
店(場所)は、まずは掃除です。そして取引先などの細やかな対応や伝票や在庫の管理です。イベントに申し込んだお客さんとの応対や、古書市にエントリーした方の急なキャンセルや、行政の方々との連携・・・・・・。やることは毎日たくさんありますが、まず、その背後にある「ロングライフデザイン」というビジョンに関心が心からあるかを、ぜひ、面接までに確認してみてください。そして、来店はもちろんのこと、できる限り全店を巡って逆にdがやっていること確認してみてください。本当にそうしているか、そうなっているかを。
最後に一つだけ、何が一番大切に思って欲しいかというと「阿久比町の文化度を上げること」です。もちろん、阿久比町に住んでいる、もしくはこの機会に引っ越してくる気持ちの方に注目します。年齢は問いませんが、知多の素晴らしい醸造文化から作られる醤油や味噌はカナの重いです。笑
どうぞよろしくお願いします。
D&DEPARTMENT PROJECT代表
d design travel発行人
d newsディレクター
ナガオカケンメイ
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ナガオカケンメイの考え
あの「ナガオカケンメイの考え」の続編です。基本的に怒っています。笑なんなんだょ!!って思って書いています。
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