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無性愛者の話をしよう

こんばんは。

ちょっと話したくなったので話しますね。今回の話題はセクシャリティの話です。センシティブな内容ですがオブラートには包みます。ちょっと汚い表現も入りましたすみません。苦手な方はブラウザバック。

率直に申し上げてわたしは無性愛者です。アセクシャルというらしいですがその言葉の定義があやふやなので、あえて漢字で言いました。読んで字のごとく、なにも愛さないし性的対象にもしない者、です。端的にいうと恋愛も性欲もわかんないよ〜っていう人。

って自己紹介すると「それはちゃんと好きな人と出会っていないからそう思うのであって」とマジレスされるのですが、こちらからもマジレスさせてください。じゃああなたは食べられるう○こがあったらう○こ食べられるようになるんですか? 無理ですよね? 我々にとってはそういうことなんです。いくら食べられそうな安全なう○こと知っていても、う○こがう○この時点で無理なんです。意味わかんないこと言ってると思うでしょ? 我々にとっては「ちゃんと好きな人」というのが意味がわからんのです。

じゃああなた恋愛経験も性行為もしたことないのね、はい、芋は黙ってろ。みたいな人もいるんでしょうが、わたしに限ってはAからZまで経験済です。自分でも、したことないから怖がってるだけかな……? と思ってたんですが、どうもそうではないらしくて。この人との相性が良くないのか……? と思って、そりゃもうとっかえひっかえやって、いま考えたら自傷行為なんですけど、そうやってわからないことをわかろうとして逸脱してた過去もありました。

恋愛もいろいろしてみましたよ。ありがたいことに10代後半から20代初頭はお声がかかることがあったので、お付き合いもさせてもらいました。でもね、自分から「好きだな」って思ったことがそういえばない。ほんのり好意は持っても、キスしたいとかハグしたいとか思ったことがない。

それは根が深くて、保育園のお遊びで手をつないだり肩に手を置いたりするのがどうにも苦手で、寒気を感じていたくらいなので、生まれつき人間に触りたくも触られたくもないらしいのです。この時点で生物として欠陥品でしょう。

あとね、恋人関係のあれこれが無理です。好きかどうかを毎日確かめられて毎日嘘つかなきゃいけなかったことや、毎日の通話を求められて「なんの時間だよ」とフラストレーションためてたこと、「いま何してる?」「会いたい」でケータイぶん投げて『うぜー!!!!』と叫んだこと、様々な記憶がフラッシュバックして、恋人がいることがいいこととは思えなくなってしまいました。

だから「彼氏ができたの!」とか妹に聞かされると『うわ〜かわいそう』ってマジで思ってしまって。でもわたしは哲学的ゾンビだからそれが道徳的ではないことを知っているので「おめでとう」というわけなのですが、それも正直しんどい。

妹や弟の恋人事情とかいちばん聞きたくない。これはヘテロの人でも当てはまる方いらっしゃるのでは? 想像力をたくましくして妹たちのそういう姿を想像してしまっているわけではなくて、「それがいいことだと思える価値観」が欠落しているわたしには「告白されて〜」みたいな話ふられても『迷惑!!』と変換されるから、妹や弟の恋人は迷惑行為してくる人なんですよ。守りたいじゃないですかそういう迷惑からは。だから複雑な気持ちになる。実際目の前の妹は喜んでいるので、これは普通の人には嬉しいんだ、と自分の価値観とのギャップに疲れているというのもありますね。とにかくしんどい。

でもね、ちゃんと自分が無性愛者と気付いたのは最近で、22歳くらいの頃かな。そのとき関係があった人と乾いた夜ばかり重ねていて(向こうは湿った感情を持っていた)かなり疲弊していたときに、自分はもしかしたら同性が好きなのかな、でも好きってどういう感情なんだろう、と思って「恋愛 わからない」で検索して、初めて無性愛者という概念に触れました。目から鱗が10枚くらい落ちた。

「わかんない! で押し通してもいいんだ……」と思えたのが本当に楽で、その場で持ってるお相手の連絡先LINEもメールも電話番号もブロック削除して、スッキリしたのをいまも覚えてます。しばらく粘着されましたが。

わからないことはわからない。生まれつき目の見えない人の気持ちは、自分も生まれつき目が見えなければわからない。だからこの文章が理解できるのも生まれつき無性愛者の人だけだと思う。それ以外の人には、人生がつまらないだろうなこの人、と思われてるくらいでいいです。わたしにもあなた達のことはわからない。

ちなみに人生がつまらないかと聞かれると、この人生しか知らんので、盛り上がりもへったくれもなくてただ下り坂ばかりの人生だけど、坂道は速度が上がって楽しいよね、って思ってます、としか答えられない。精神疾患が消え去ればもうちょいハッピーかもね。前半の人生ハードモードだったので、虐待をサバイブしてきたのでちょっといまは休ませてほしいかなみたいな笑 ペットがいて、家族がいて、文章を仕事にしようと机にかじりついて、ハンドメイドの仕事もやってて、忙しいくらいなので楽しいのかもしれません。じゃなきゃとっくにスーサイド決行してましたよ。死んでないのはつまりそういうことだ。(何度か警察沙汰にはなったけど)

自分には、自分が生物として欠陥品だという自覚がはっきりあるので、あまりこういうことは仲のいい友人にも話していません。アラサーなのに恋人もいないし結婚する気もさらさらなさそう、事故物件なんじゃない!? とか思われててもぶっちゃけ構わない。結婚式場でバイトしてたけど、結婚していく人たちはみんな幸せそうだった。わたしもそういう幸せを幸せとして受容できるレセプターがあったら、結婚したのかもしれないけれど、あいにくそれは持ち合わせていないらしい。

結婚に対しては人生の墓場という表現がよくあるけど、わたしは足枷をはめるようだと思っている。邪魔じゃないですか、人間触りたくも触られたくもない人にとって、他人って。親戚にもそれ発動してるので、相手に迷惑かけるだけだと思うんですよ。家族なのに触らないって難しいでしょう。社会的信用を得る代わりに、四六時中気を遣い続けなければならないことになる。わたしはそれが嫌で、友情結婚もナシだと思っています。ペットと結婚できたらしますけどね。寿命が釣り合わないからな……。(それ以前の倫理観)

とにかく生身の人間のノンフィクション恋愛話は苦手です。恋愛モノフィクションは小説ならモノによるけどいける。漫画もいける(モノによる)。映像はキツいですね。特に実写映画は……特にハリウッドは……絶対にキスシーン入れないと呪われてしまうのかというくらいガッツリするでしょ、……失礼ですけど気持ち悪くて。本当に失礼ですけど、ごめんなさい。ほのかに香る恋愛の匂い、くらいがちょうどいいですね。

自分も文章書くにあたって恋愛要素全くなしというのはほとんどないのですが、それは読者ウケという下世話な打算もあるけど、登場人物が動いてくれなかったりするから、しゃーなしで入れてます。わたしの執筆スタイルは監督型で、脳内に登場人物たちを召喚して、「今回はこういう流れです、よろしくどうぞ」と台本を伝えて動いてもらう。実際それでやれてるので問題ないでしょう。しらんけど。

恋愛がわからない作者なのに恋愛が書けるのか、答えは書けます。なぜなら理解はしていないが知っているので。周りからの情報やフィクション作品たちによって形作られた『レンアイ』という概念を解像度高めに再現すればいっちょあがりですわ。哲学的ゾンビなので、そういうことしがち。

まあなんやかやと長々綴ってきましたが、こういう人もいるんだよというのが知られたら嬉しいかなと思ってます。嬉しいというか、認知されることで「長尾さんが結婚したらさ」みたいなないない妄想を語られることがなくなりますようにという願い、切実な願いですね。母にも理解されてないもんね。もう26年の付き合いやでママン。


今日は小説の更新の話はしません。なぜならリンクを引っ張ってくるのが面倒だからです。こんな記事にまでリンク貼ってまでして読まれたいもんではないし……。

ではでは、世界中の無性愛者が報われることを願って。

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