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獅子の牙も首位の致命傷には至らず
今週も開催された.WE League。AC長野パルセイロレディースは、ホームに暫定首位のINAC神戸を迎えての一戦でした。
開幕戦から負けなしの上位対決らしい素晴らしい試合だったと思います。
それでは、マッチレビューに入りましょう。
メンバー&システム
AC長野パルセイロレディース(以下パルセイロ)は4-3-3のシステムを採用。第3節まで積極的な採用をしていた3-4-2-1ではなく、4-3-3を採用していることからも小笠原監督が策を練ってきたことが窺えます。テーマに掲げている『カメレオンサッカー』をメンバー編成、システムから体現していて非常に面白いですよね。
対する首位のINAC神戸(以下INAC)は3-4-3のシステムを採用。試合前予想フォーメーションは中島選手をアンカーに据えた3-1-4-2でしたが、試合中は3-4-3の形が多かった気がします。至るところに三角形を作り出しやすいシステムでポジショナルプレーを得意としていることが読み取れます。今季初アウェイ戦で勝利を掴み、開幕3連勝を達成できるかがテーマだったのではないでしょうか。
①前線からの積極的なボール奪取
小笠原監督は「3バックは押し込まれると5バックになり、後方が重くなってしまう」という考えから、首位に対して一歩も引くことのないフットボールを狙っていました。
そして、パルセイロの前線からのプレッシングは、首位に対しても有効性を発揮します。
3バックに対して3トップが捕まえにいきます。当然、奪った場所が奪うべきゴールに近ければ近いほど相手にとって苦しくなります。
しかし、さすがは失点0の首位クラブ。そう簡単に3バックに対して3トップが圧力をかけたところでボールを失いません。
ただ、小笠原監督のプランはその次の段階に重点が置かれていたように感じました。
②自陣ゴールから遠ざける守備
30番(國澤)を中心に大きな三角形が形成されていることが分かるでしょうか。システム的には4-3-2-1と言える大きなピラミッドのような陣形です。
ボールを持っている相手選手基準で1列目に4人、2列目に3人が構えています。ボールを持たれても守るゴールからボールを遠ざける意図が分かるでしょう。
さらに、このピラミッドの中心に國澤がいることが、この守備組織の肝に思えて仕方ないのです。ボール保持者に対して4人で1列目を形成することで、國澤の予測能力を最大限に生かすことができます。各選手の間である3箇所から中央に刺されるパスは予測しやすくなり、國澤が自慢のボール回収力で奪い切ります。
前半のほとんどはパルセイロの狙いがうまくINACに効いていたと思います。
③INACのプレス回避
「やはり首位だな...」そう感じたのはINACの個人能力の高さでした。
INACには強力な攻撃陣が揃っていることが分かっているから、中央を破られたくないパルセイロ。ただ、全ての縦パスをインターセプトすることは不可能です。そのため、INACの3トップにボールが入った時は、一気に集結して自由を奪います。
しかし、集結の外側にいる中島選手のキックが正確でした。集結したパルセイロブロックの頭上を越えるフライスルーパス。スピードに特徴のある杉田選手をスペースに走り込ませます。前半、パルセイロがピンチを迎える時は大概この攻められ方をした時だと思います。
④阪口選手投入
後半立ち上がりからエース瀧澤千聖を入れ得点の姿勢を強めたパルセイロでしたが、阪口選手の投入により歯車が狂い始めます。
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