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Jリーグ11年生、落第危機の君へ
君が大好きです。
君との初めての記憶
2014年3月、私が覚えている限り、君と出会った最初の記憶。それ以前にも、佐久陸に会いに行ったはずだけど、はっきりといつだったかは覚えていない。
当時の私は、鹿島アントラーズ・川崎フロンターレ・浦和レッズ・ガンバ大阪・セレッソ大阪くらいしかJクラブそのものを認識していなかった。当然、佐久陸で君が戦っていた試合が、JFLだったかどうかも知らない。
君との思い出は、長野駅東口からツアーバスに乗車し、東京のどこにあるかもわからない西が丘フィールドに到着したところから始まる。どうやら、Jリーグに入学できたらしい。ゴール裏の一体感、ピッチで躍動する仲間、勝利を分かち合う瞬間、どれもが最高で何にも代え難い感情を初めてくれた日だった。
その日、私は君と君を支える仲間に一目惚れをしたんだ。
2013年のJリーグ入学前テストで、君は主席の成績を残し、鳴り物入りで入学した。そして、進級候補筆頭として、下馬評通り良い成績で1年間を駆け抜た。リーグ最終戦、君の進級を信じて、6,600人超の人が集まったね。その期待に応えるように、6-1と大勝した姿はとてもかっこよかった。
1年目でJ3クラス主席は逃がしたけど、J2クラスの先輩に直接挑戦する下剋上チャンスを掴んだんだ。1st Leg、君の進級の後押しに約9,000人の人が詰めかけてた。あの空間は、君たちが待ち望んだ光景でもあったはず。
それでも、ひと足先に入学していた、かつてのライバルの壁は厚かった。君も私も、ピッチで駆け抜けた仲間も、進級を願う仲間も、あの丸亀の光景は忘れることができない。
君との11年間
2015年、君と仲間の悲願が1つ叶った。今も、君と私と仲間が1つになれる、あの素敵な家との出会い。
君や進級を願う他の仲間がどれだけ努力したかは想像もできないけど、一度入学を断られた経験がある君にとっては、涙が出るほど嬉しかったはずだよね。
でも、この年に入学してきた1年生とJ2クラスで落第になったライバルを上回れなかったね。君は3位だったけど、4位のライバルとの最終勝点差は12だったんだ。悔しかったけど、君も私も仲間も来年こそって切り替えた。
2016年、J1クラスの大先輩に勝って、キングが所属する相手もあと一歩まで迫った。それでも、君はまた進級を逃した。また、3位だったね。でも、元々J2クラスの先輩に及ばなかっただけって考えたんじゃないかな。
2017年、上位クラスの先輩を1年で2人も倒した。君は、自分より強い相手に勇敢に立ち向かうのが得意みたいだね。一方、新入生2人に自分より上位を明け渡してしまった。上位3位に入れない初めての経験で、君も私もとても歯がゆい思いをした。
2018年、ついに最終順位が2桁になることを経験した。途中で、君の不甲斐なさに憤慨して居残る仲間もいたシーズンかな。
2019年、君はギリギリ1桁順位に舞い戻った。でも、進級を願った仲間たちは、徐々に君の家に帰ってこなくなった。3,000人も集まらないことが、当たり前になりつつあった。
2020年、未曾有の事態で開幕は6月にずれ込み、君に声が届けられない1年だった。それでも君は、自分とピッチの仲間の力で、上位クラスへの挑戦を最後まで続けた。進級を賭けた試合には、6,000人を超える人が見にきてたね。ただ、また重い扉を開けなかった。
2014年とは違う、君の家でチャンスを逃した。
2021年、久しぶりに進級候補として名前が上がった年初め。その期待とは裏腹に序盤10試合でリーグ戦は、わずかに2勝だった。息を吹き返したように思える時期もあったけど、最後まで持たなかった。仲間の引き抜き、その先に仲間になる監督による連勝ストップ、五輪中断。
君のことを運が悪いって片付ける人もいるけど、それが現実で実力なんだと思う。
2022年、なぜか落第してきた緑色の彼ら、猛将との出会い。出会いの1年だった。入学以来経験したことのない熱量を感じた1年になったけど、この年も1年生に進級の座を奪われた。そして、同期にも先を越された。
でも、君と君に熱さを与えた猛将の姿を見たら、久しぶりに来季こそって本気で思えたんだ。
2023年、君は猛将と一緒にてっぺんからの景色を経験した。落第してきた彼らにも、入学後初めての勝利を収めた。あの夜は、いつまでも色褪せることはないと思う。
でも、君は緑色の彼らを討つことで安堵してしまったのか、調子を崩してしまった。公式戦10試合勝ちなしのスランプに陥り、序盤の勢いを取り戻せず、入学後最悪の14位で1年を終えた。
2024年、君は、前年途中から仲間になった髙木さんを軸にチームを作っていった。そして、上位クラスの先輩やふらっとやってきた同じ色の彼らに、果敢に立ち向かう姿は痛快だった。
でも、苦手な6月に入って以降、今まで2勝しかしていないんだ。18試合(東京V戦を除く)で2勝。君は、苦労して入学したJリーグから落第してしまいそうな位置にいる。
残り6回
君も私も仲間たちもこんなはずじゃなかった。でも、こんなはずじゃなかったのは、君だけじゃない。「Jリーグでやりたい」って、君と順位の近いライバルたちも真剣に思ってるんだ。
君に残された定期試験はあと6回か8回。幸か不幸か、11年前、君が望んでいたように入学したいって後輩が何人もいる。本当に落第になる子が出るのかわからないけど、少なくとも1人は落第になるんだと思う。
もしかしたら、Jリーグでの君と戦えるのは残り6回しかないかもしれない。いや、君と戦えること自体、ラスト6回の可能性だってある。
君との物語をこんなところで終わらせたくない。プロリーグのプライドを持って、どんな相手にも果敢に挑む君のかっこいい姿を見ていたい。そんな君と一緒に戦わせてほしい。
長良川の夜
君の大切なピッチ上の仲間と進級を願う仲間が、10月11日に言葉をぶつけあった。
そもそも、ぶつけ合える関係じゃないから会話が成り立ってなかった。だって、「Jリーグに残りたい」「勝ちたい」って想いは同じ方向を向いている、同じ方向に向いて発せられる言葉は、推進力にはなるけどぶつけ合うための言葉にはなりようがない。あるピッチ上の仲間の言葉「ここで説明しても何の解決にもならない」を噛み砕くとそういうことだと思う。
君はどうしたい?
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極論だけど、君の目標は、進級しても退学しても目指し続けられるものだし、そこが素晴らしいところだと思う。一方で、いつでも言えることだから「今、君がどうしたいのか」がわからない時もある。みんなが苦しい今だからこそ、君の声を聞かせてほしい。どこに向かっているのかわからないまま進まないでほしい。
私は、自称サポーターだけど、「Supporter」は支持者・維持者だ。君が進んでいる方向を後押しすることしかできない。だから、君と目指している場所が違うなら、支持者でも維持者でもなく、変革者・指示者になってしまう。その時は「Supporter」を名乗るべきではないし、一歩身を引こうと思う。
目指す方向が同じなら全力でサポートをさせてほしい。君が輝く最高のステージを用意したい。
君と過ごした11年間は、楽しいことばかりではなかったけど、私の人生の半分だ。気づけば、そう簡単に関係を断つことはできないようになってしまっている。あの日、君と君を支えるみんなが見せてくれた最高の景色があるから、まだまだこの日常から離れたくない。
やっぱり、君が大好きだから。