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二度と入らない

これは あるお寺の敷地にある洞窟の話

ボクの住む地域内にあるお寺、そこには昔から洞窟がある

いつからあるのかはわからない、なにせ古い洞窟で とても薄暗く 後から取り付けられた電灯では 手元のモノすら良く見えないくらい

さて この洞窟には 様々な噂話がある

洞窟は別の世界通じているとか、行方不明者がいるとか、ヒトの様なものがうろついているとか、よくある噂の域は出ない内容

このお寺には 平日の昼間はもちろん休日になると、住民はもちろん 噂を聞いた周辺地域からも興味をそそられたヒトたちが たまに来たりする、当然ながら 何も起こらない

然し ボクは その洞窟に入らない

この洞窟の中には 枝分かれする場所があり そこは立ち入り禁止の仏像が展示している袋小路があるが その仏像の先にあるさらに暗い壁の先は、、

別の世界に繋がっていて、「ボク」はそこから来た、そこでは ちょっとした習慣というか文化がある

極端すぎる少子化が進んだその「世界」では 子供を何よりも優先する習慣が行き過ぎた末に、子供は 大人を食べて生きていることが常識となっている

実は 偶然にも 此方の世界の同じくらいの子供が この洞窟を通って「ボク」と入れ替わったのだ

あれから 30年、あの時の子はどうしているだろう、と時々思い出すことがあるが、その洞窟には 近づかない

もし また入れ替わったりしたら ボクは食べられる

でも ボクの代わりに入れ替わった子が 30年後どうなったかが とても気になる、然しながら ボクは 絶対にその洞窟には入らない

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