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メディアリテラシーって何?

メディアリテラシーという言葉は、定義が幅広いものです。
狭義には、「技術の進化やSNSの普及に伴って増えてきたフェイクニュースを見破り、正しい情報を選び取り判断する力」といった意味で、メディアリテラシーを捉える向きもあります。
しかしそれは、あまりにも狭い見方です。
フェイクニュースだけでなく、世の中に大量に流れている正しい情報についても、やはりそれらを的確な判断力で読み取り、理解する力は必要です。
また、SNSの時代だからこそ、発信者としての立場になった時に、一定の倫理やルールに則って適切な情報を発信する力も大切です。
こうした広い意味で、受信者として発信者として適切に情報を扱えることが、一般的に解釈されている「メディアリテラシー」という言葉の意味なのでしょう。

そのためには、制作する経験がとても大切です。
一度でも、現場に赴き、カメラを構え、インタビューをして、編集をして、テロップを入れて映像作品を作ってみると、一つの映像の裏側にどのような制作者の意図や考え方や努力が隠されているかが見えてきます。
そうした「裏側を見る力」こそが、正しく情報を理解する「メディアリテラシー」につながっていくのだと思います。
映像制作を学ぶ意味は、より良い映像を作るだけではなく、制作者の意図を読み解くことに、その本質があるのだと思います。

そして、メディアリテラシーとは、必ずしも制作者の意図を批判的に見抜くことだけではありません。
情報を正確に読み取り理解する、という一般的な「メディアリテラシー」と同時に、私はもう一つの大切な「メディアリテラシー」があると考えています。
それは「映像作品をより深く味わう」力です。
映像制作の経験を積んでいくと、映画やドラマ、ドキュメンタリーなどの名作に出会った時に、それらを作った制作者の巧みな技術や施された工夫までを読み取り、より深く味わうことができるようになります。
それは普段料理をする人が一流の料理を食した時に、ダシのきき方や茹で具合、盛り付けなど細かな点にまで気づき、深く味わい感動できるのに似ています。
必ずしも懐疑的・批判的な目で情報を読み取り理解するだけでなく、制作者が魂を込めて卓越した技術を施して完成させた作品を、隅々に至るまで味わい堪能できる力を身につけてほしいと願っているのです。








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